選んでもらった本を読む

最低でも月に1冊は小説を読もう、そう決めて早5ヶ月がたちました。
しかし、読んだ本はまだ2冊半。(実用書はノーカウント)
月に1冊というのだって、かなり余裕をもたせた数字だったはずなのに。
このままでは小説を見ただけで自己否定感がわき起こる嫌なリレーションができてしまうかもしれない。
それはマズい。
そんなわけで、今月は少し早く読めそうな内容の本を選ぶことにしました。
ズルいかな? と思いつつ、でも普段こういうアプローチで本を読むことはないから、逆におもしろいものに出会えたりするかも、と期待もしつつ。

そうして選んだ本が『都会のトム&ソーヤ』です。
かなり若いお友達に教えてもらいました。
その年代の方にはものすごく有名なお話らしいのですが、私はもっともっと前の世代なので初めて聞いたタイトルです。
すぐさま近所の本屋で実物を手にして、さすがに子どもっぽすぎやしないかと思ったのですが、人に尋ねておきながら買わなかった・読まなかったじゃ、あまりに失礼かなと。
そんな義理立てするような気もありつつ買ってみたのですが……すごくおもしろい!
1冊目はすぐに読み終わり、次が気になって今は2冊目を読んでいるところです。
やった! これで冊数稼げる!
……なんて、思っていませんよ。少ししか。

内容はざっくりいうと、中学生の男の子2人が驚異的な知恵と行動力で謎を追って冒険をする話。役割的にはホームズ&ワトソンのような関係と雰囲気に見えなくもないけれど、ワトソン・ポジションである視点人物の働きがすさまじく、どちらかというと(1巻の時点では)ホームズ・ポジションの少年は〈知識〉先行型の印象が強い。
ホームズ好きとしては、いや、ホームズのすごさっていうのは、知識もさることながらそれを目の前の現象と結びつけることのできる知恵と、目的を達成するためにあらゆる知恵を総動員して臨める実行力にあるわけで、それをこの子に重ねるのはちょっと難しいのでは、と思ってしまうんだけど、それはとりあえず置いておくとして。
今の日本はどこへ行ってもそれなりに拓けていて、ちょっと冒険気分で入れるような洞窟も、気軽にいかだを出せるような川もない。怖そうな大人の男の人は、「怖そう」じゃなくて本気でヤバい人の方が多いし、木の上に住んでいる友達もいない。こんな状況で冒険なんて、と思いきや、このお話に出てくる2人の少年はいとも簡単に冒険に出てしまうのです、都会の中で。
地下の下水や、テレビ局や、デパートの中や、大人になった今では別になんとも思わない場所も、たしかに子どもの頃はみんな初めてで、どこへ行ってもわくわくする場所でした。地下の下水は別としても。
大人になると、用があるところにしか行かないものね。冒険の地図を自ら捨ててしまったということか。
……などといちいち感慨深く読んでいたのに、あっという間に読み終わることができたのだから素晴らしい。

書き方やお話の内容は小中学生、いっても高校生くらいまでが想定された対象かなと思いますが、おもしろい話に年齢なんて関係ないですもんね。逆に、年端もいかない若い人たちが楽しく読めるように書かれている本ということは、大人だって相当頭が硬くなっていない限り、おもしろいと感じるものです。
もちろん、人によって好みもあるし、読み進むうちに物足りなさを感じてくる場合もあるのかもしれませんが、私はこの1冊でとても楽しい時間を過ごすことができました。
少年少女向けの本。改めて読むと、おもしろいものですね。
伝わりやすく書くには、っていう視点で読むと奥深いものでもあります。

たまには自分セレクトじゃない読書も楽しいなぁ。
こうして一万円選書とかに導かれていくのかもしれません。

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