【戦略編①】理念こそ経営の要!店をやる上で大切にしていた想い (#9)
こんにちは。
神奈川県三崎でやっていた間借り飲食店『きむら』の店主です。
第9回からはいよいよ戦略編スタートです。
戦略編は全6回(第9回~第14回)になります。
【戦略編①】と題した今回は『きむら』の戦略の全体図、そして目指す店づくりについて。
では今回もよろしくお願いします。
“理想”と“現在地”、それらをつなぐ“戦略”
▶間借りでの『きむら』を通じて僕自身が考えていたのは、いかに成長できるかということでした。
それは料理のみならず、店づくりやマーケティングなども含めた店の経営全般において、いかに理想の店づくりに近づけられるかということでした。
▶そこで、まずは個別具体的なことを述べる前に『きむら』という店を僕自身が思い描く理想の店に近づけていくまでの戦略の全体図を以下に記します。
▼『きむら』の戦略全体図
▶今回はこの全体図の中でも、理想となる目指す店づくりについて記していきたいと思います。
目指す店は「家にいる感じで呑める、美味しい小料理屋」。
▶「家にいるような感じでダラダラしながら大声で笑いながら、仲間とくつろぎながら、料理と酒は感動するほど美味しいものが出てくる」。これが僕の目指す店づくりであり、理念です。
▶『きむら』はこの方針に沿って色々な決め事をしていきました。
一方でこれは裏を返せば、この方針に合わない考え方や意見は基本的には排除していく、ということにもなります。
▶『きむら』は三崎では比較的金額の高い店でした。
当初三崎には受け入れられないという声もありましたが、値段を下げれば“感動するほど美味しい料理“を出せないことにつながり、これは目指す店づくりとは違うものになるので値段を下げることはしませんでした。
全ての料理で感動を。
▶お通しをはじめとして、『きむら』では全ての料理で感動してもらいたいという想いがありました。
中途半端な料理やありふれた和食を出す気はありませんでした。それでは人は感動しないし、他の店と比べたときの競争優位にもならない。見たこともない料理、味わったことのない料理を食べて初めて人は感動するし、その店に来る理由になると考えていました。
▶ただし、実際にはこうした感動体験を生むことは非常に難しく、まだまだ自分には出来ないことがほとんどなのですが、自分がそのようなレベルにどれくらい達していないのかを意識していくことが重要であると考えていました。
お金をかけるのは少し我慢。その代わり手間をかける。
▶あくまでも間借りは試しの場。
調理器具も器も、日本全国の選りすぐりの食材も、本格的にお金をかけて仕入れるのは将来独立したとき、という考え方でした。間借りの店では食材面では理想を求めず手に入れられる範囲内で勝負しようと考えていました。
そのためには一切の手間を惜しまずに料理を作っていました。長い時は朝8時から仕入れを始め、仕込みが終わるのは明朝5時ということありました。
▶しかしながら、それでも結局間借りゆえの効率の悪さから原価率はおおよそ40-50%程度(一般的な飲食店は30%程度)になっていたと思います。
原価率が40-50%程度になった分売値を上げることも考えましたが、料理の金額は自分なりに妥当な金額かつ不満につながらない金額にしたいという理由でやめました。
1人オペレーションだったので人件費がかかっていなかったため、客足が安定し始めてからはこの原価率でも経営を成り立たせることができていました。
やりたいことをやる。
▶将来開くお店を見据えた間借りだったので、出来る限りやりたいことをやろうと考えていました。そのため、他の人からの意見に耳を傾けすぎることはせず、基本的には自分の考えに従って店づくりを行っていきました。
▶あくまで個人的な考えですが、将来の練習場として間借りでお店をする場合、自分のやりたいことを試していった方が良いように思います。
三崎の『あるべ』でのトライアルキッチンの場合、色々な方々が意見やアドバイスを下さいました。これは非常にありがたいことでしたが、すべての意見を採用するのはかなり難しいというのが本当のところだと思います。別々のお客様から正反対の意見を頂くこともありました。
もちろん納得できる意見は積極的に取り入れるべきだと思いますが、納得できないものは基本的にはあまり気に掛けすぎる必要はないように思います。人によって食の好みも経験値も違います。最初は否定的な意見を言ってくる方でも途中で意見が変わってくることもしばしばあります。
▶将来の独立を見据えた間借りの飲食店では、そうした周りの意見に左右されすぎず、自分の信念や考えを曲げずに作り上げた店が本当にお客様に喜ばれるのか、ということを実験していく方が良いように思います。
成長の場として、新しいことをやっていく。
▶『あるべ』でのトライアルキッチンは、自分にとってあくまで将来のお店の練習台。自分の料理がどの程度ウケるのか、そして自分がその期間にどれだけ成長できるかが重要なポイントでした。
▶“成長”という言葉の定義を“出来ないことを出来るようになる”と捉えると、当たり前ですが出来ることばかり繰り返していては成長はありません。出来ないことを日々やるいくことで成長につながっていくという考えのもと、間借り営業に挑んでいました。
▶そのため『きむら』では出来る限り新しいメニューを考えたり、同じメニューでも毎回少しずつ違うレシピで作ったり、コース料理の順番を入れ替えたり、オペレーションを組み替えたりなど、毎回の営業で少しずつでも試行錯誤していました。何が自分の目指す店づくりにフィットするのかを一つ一つ確かめていました。
今回はここまでです。
戦略のうち、まずは理想の店づくりや想いについて記しました。
次回は今回の冒頭にご紹介した全体図(現在地、戦略、理想)の中でも”現在地”についてお話していきたいと思います。
どういうことかというと、間借りは自分の現在のレベルを測るのにちょうどいい!といった内容です。
では次回もよろしくお願いします。
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