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【オペレーション編④】店舗設計 (#25)

こんにちは。
神奈川県三崎でやっていた間借り飲食店『きむら』の店主です。

『間借り飲食体験記』の最終回です。

第25回の今回は【オペレーション編④】。
オペレーション編は全4回(第22回~第25回)です。

第22回:【オペレーション編①】仕込み
第23回:【オペレーション編②】営業
第24回:【オペレーション編③】洗い物
第25回:【オペレーション編④】店舗設計

part④の今回は店舗設計についてです。
現場感を意識した店の設計について簡単ではありますがお話できればと思います。

では、今回も宜しくお願いします。


オペレーション④ 店舗設計


設計は動線や従業員の人数を踏まえた上での設計を。

▶店の設計をする上では、実際に使う人や現場感のある人の意見も取り入れた方が良いように思います。調理を2人で行う前提の店の調理場で通路幅が1人しか通れないといったような現場感の薄い設計の目立つ店も数多くありました

▶私見ですが、自分の働いてきた店の中ではオペレーションしかりこういった設計面は個人店よりもチェーン店が非常に優れているように感じました。

余裕のある収納スペースを設計時に確保しておく。

▶よくあるミスが、収納が狭いためにスペースに余白がなくぎちぎちにモノが入っている状態です。
収納のポイントはモノを置く位置が使用頻度に応じて決められていてそこからずらさないことです。
スペースに余白がないととりあえず場所を空けて収納することが多くなり、モノの置く位置がずれていき少しずつ非効率かつ乱雑になっていきがちなように思います。


調理台の高さは非常に重要。

調理台の高さはそこで働く料理人の身長に合わせて慎重に検討した方が良いように思います。ときには設置後に高さ調節するなども必要です。
料理する際の姿勢は中長期的に見て身体への負担が大きく、作業効率だけでのなく腰などの故障につながります。

調理の手元を照らすための照明。

▶現場に立っていると意外と重要なのではないかと感じています。
天井からの照明だと角度によっては自分の影で手元が暗くなる店もありますが、調理スペースを直接照らす照明は設計段階で考えておくと良いかと思います。(もちろん後付けでも可)

魚を多く捌く店など、まな板を頻繁に洗う場合には舟型のシンク(シンクの上にまな板を設置できるもの)が良いと思います。

▶これは合う合わないなど個人差があることですが、頻繁にまな板を洗う場合、通常の調理台だと何度もシンクにまな板を運んで洗う手間が出てきます。
しかもまな板はシンクに入りきらないことが多いです。飲食店によっては魚を捌くポジションは舟型、そうでないポジションは通常の調理台といった区分けをしている店も多く見られます。

調理設備全般、床と接合できるならした方が良い。

▶ほとんどの飲食店は調理設備(調理台や冷蔵庫などなんでも)に脚がついているので、床と調理設備の間にわずかなスペースがあります。
収納スペースにもなるので良い点もありますが、一方で床流しの際にこのスペースを完全に洗いきることはかなり難しいはずです。
そしてこのスペースの汚れがゴキブリなどの虫の発生源にもなります。
自分の働いてきた店の中では1店舗しかありませんでしたが、床と調理設備が完全に接合されており隙間のない構造であれば、店の清潔さを維持しやすいように思います。(この点は費用面や調理設備の型の問題もあるかと思いますが)


洗浄機はスペースが許せば可能な限り設置した方がいい。

▶個人店では入れないところも多いように思いますが、僕個人の意見としては多少無理してでも入れるべきと思います。

▶洗浄機を設置するメリットは、①人件費や洗い物にかける時間を減らせる②高温殺菌と素早い乾燥が見込める、の2つが大きいと思います。

▶漆や作家ものの器などは洗浄機に入れることは難しいですが、調理器具だけでも十分に助けになります。
現場で働いていて日々感じるのは、②素早い乾燥が見込めることが非常に大きいです。洗浄機のない店では一つ一つ器を拭くのにかかる時間は計算してみると非常に長いですし、これが結果として人件費に関わってきます。

▶近年では非常に薄いワイングラスも洗うことのできる洗浄機(ウインターハルタ―社製など)もあるので、自分の店にあった機種の選定も大事になってきます。

▶洗い場についての理想を付け加えます。
①洗浄機の設置位置はシンクの左側に設置
(右利きの場合、右手にスポンジ、左手に器を持つので、洗浄機を洗い場シンクの左に設置すると、洗い終えて左手に持っている器を持ち替えることなく洗浄カゴに載せることができる)、
②スペース的に問題ないのであれば高さは腰より上の高さのもの
(腰より下の高さ洗浄機の場合、予洗いした器を洗浄カゴに載せる度に腰をかがめて手を伸ばす必要があります。両方経験しましたが、腰よりも上に設置された洗浄機の方が断然早いです)、
③そして洗い終えた食器を一時的に置いておく乾燥スペースは棚などをうまく活用しながらなるべく広く設ける
(器の片付けはまとめて行う方が効率がいい。また、乾燥スペースにはお盆やバットを複数枚並べておき、その上に洗い終えた食器を“返却場所別に”分けて並べていくのがよい)


今回はここまでです。

これにて全25回に及んだ『間借り飲食体験記』は終了です。
お読みいただいた方、ありがとうございました。

今後も料理についてや日本酒のテイスティングについてなど記事にしていきたいと思いますので引き続き宜しくお願いします。


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※『間借り飲食体験記』記事一覧

はじめに
『間借り飲食体験記』データファイルver 購入用記事
【総まとめ編】飲食店の売上、戦略、レシピ、全て公開! (#0)
【店の概要編】間借りで和食と日本酒のお店を7ヶ月やった話 (#1)
【自己紹介編】元会社員の僕が飲食店を開くまで (#2)
【開店準備編①】実際のオープンまでにやったこと ~前編~ (#3)
【開店準備編②】実際のオープンまでにやったこと ~後編~ (#4)
【収支編①】間借りって儲かるの?初期費用も売上も全て公開! (#5)
【収支編②】7ヶ月間の売上の変遷と5つの要因 ~ざっくり編~ (#6)
【収支編③】7ヶ月間の売上の変遷と5つの要因 ~詳細 前編~ (#7)
【収支編④】7ヶ月間の売上の変遷と5つの要因 ~詳細 後編~ (#8)
【戦略編①】理念こそ経営の要!店をやる上で大切にしていた想い (#9)
【戦略編②】間借りで自分の店がうまくいくかを試してみよう! (#10)
【戦略編③】誰もいない夜の街でも満席に。ターゲットと差別化 (#11)
【戦略編④】開店半年で予約満席。理想の店づくりへのシナリオ (#12)
【戦略編⑤】お店が知られない!?集客へのインスタ活用術 (#13)
【戦略編⑥】間借り飲食店のメリット・デメリット (#14)
【料理編①】料理は愛と論理。僕の料理に対する考え方 (#15)
【料理編②】レシピ、仕入れ先公開! (#16)
【料理編③】ミシュランのレシピも魚の熟成も!参考YouTube集 (#17)
【料理編④】間借り営業までのスケジュール (#18)
【料理編⑤】仕込みの順序や優先順位の付け方 (#19)
【日本酒編①】テイスティング講座 (入門編) ~6つのタイプ~ (#20)
【日本酒編②】タイプ別解説&おすすめ銘柄 (#21)
【オペレーション編①】仕込み (#22)
【オペレーション編②】営業 (#23)
【オペレーション編③】営業 (#24)
【オペレーション編④】店舗設計 (#25)


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