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【オペレーション編③】洗い物 (#24)

こんにちは。
神奈川県三崎でやっていた間借り飲食店『きむら』の店主です。

第24回の今回は【オペレーション編③】。
オペレーション編は全4回(第22回~第25回)です。

第22回:【オペレーション編①】仕込み
第23回:【オペレーション編②】営業
第24回:【オペレーション編③】洗い物
第25回:【オペレーション編④】店舗設計

part③の今回は洗い物のコツ集です。

では、今回も宜しくお願いします。


オペレーション③ 洗い物


~洗い~

①お湯で洗う。

▶お湯の方が汚れが落ちやすいこともありますが、なにより水切れが良いので乾燥の時間が短くなります。

②大きいものから洗う。

▶スペースの確保のためです。狭いスペースで洗い物をするとどうしても効率が悪くなります。

③水を張った容器にまとめて浸しておくのも良い。

▶箸やスプーンは水を張った容器にまとめて指しておくのが良いと思います。他にも数の多い小鉢系のモノや汚れの取れにくいもの、乾燥すると汚れを落としづらいものなどは、種類別に小さいタッパなどに分けて浸けておくなど。

④油ものや汚れの多いものはシンクの中に置いておかない。

▶油ものをシンクに入れておくと他の皿に汚れが移ります。
こうしたものはあらかじめキッチンペーパーなどで拭ってから洗うとシンクや排水設備が汚れないで済むでしょう。
また、ごはん茶碗などは水を張って漬け置きしておいて汚れを浮かし、時間を置いた後に洗った方が早く、洗い漏れも少なくなります。

⑤洗剤は適度に薄める。

濃さの具合は、①泡立って汚れが落ち、②すすぎの際にサッと落とせる、の2ポイントを意識します。
特に②すすぎの際、洗剤が濃すぎてねばついたり泡立ち始めるような状態は作業を遅くするので注意が必要です。
イメージとしては、「出来る限り薄く、でも洗浄力は保たれる」程度。洗浄機のない環境での洗い物は意外にすすぎや乾燥、拭き上げにかかる時間が長いので、出来る限りすすぎなどの時間を削減していきたいところです。

⑥丁寧に洗う必要のあるもの、サッと洗えばいいものを区別する。

▶ごはん茶碗は丁寧に洗う必要がある一方、味噌汁椀はサッと洗えば十分に汚れは落ちます。全ての洗い物を同じように丁寧に洗うのではなく、汚れの性質に応じて洗い方を区別するのが良いと思います。

▶また、食器一つとっても、丁寧に洗わなければいけない箇所とそうでない箇所が存在します
グラスで言えば口元の部分と持つ部分(手の脂がつく)の2ヶ所を意識して、それ以外の箇所は軽くゆすぐ程度で十分です。
洗い物を早いということを考えたとき、雑にやっているから早いのか、要点を抑えて効率よくやっているから早いのかはよく考える必要がありそうです。

⑦小さい容器に洗剤をある程度の量まとめて出しておく。

▶いちいち洗剤を出してスポンジに漬けてという手間がなくなり、ちょんちょんと洗剤にスポンジを浸すだけで良くなります。意外と作業が早くなるのと、トータルで見たとき洗剤の使用量が減ります。

⑧洗い物は種類ごとにまとめて洗う方が早い。

▶ワイングラスを洗うときはワイングラスのみまとめてたくさん洗うなど、種類ごとにまとめて洗った方が良いです。
また、シンク内に器やグラスが混在すると、割れ物のリスクも高くなります。
洗浄機の食器カゴに並べる際や乾燥スペースに無駄なスペースなく置く上でも出来る限り同じものをまとめて洗う方がいいかと思います。


~すすぎ~

①水を張った容器の中で1回目のすすぎを行う。

▶スポンジで汚れを落とした後に、シンクの中に泡の付いた食器を並べていくのではなく、ボウルや大きめのタッパなどに水を張ってその中に泡の付いた食器をどんどん入れていくとすすぎのスピードがより速くなります。

▶すすぎという作業を分解して考えたとき、最初の濃い濃度のあわや洗剤を水で流し始める瞬間が一番時間がかかる(数秒の話ですが)ので、シンク内に水を張ったボウルなどに泡の付いた食器をどんどんいれていくことで、食器についた濃さのある洗剤をある程度落としておけます。ある程度ボウル内に洗い物が溜まったら蛇口から出る水ですすぎの仕上げをするという流れです。

▶小さいことですが、このひと手間で随分とすすぎが早くなる印象です。洗剤の落とし漏れが少なくなることもメリットです。


~洗浄機~

①洗い物が多い場合、洗浄機が常に回っている状態にする。

▶当たり前のようですが意外にできていないことが多いです。洗浄機を止めない、というのは一つポイントです。

▶そのために洗浄カゴを2つないし3つ用意している店もあります。
2つの場合、洗浄機内で1つ使っている間に、もう一つの洗浄カゴに洗い物を並べていきます。

②洗浄カゴに載せる段階で同じ食器は固めて置く。

▶同じ食器は洗浄カゴ内の同じ場所にまとめておいた方が良いです。
洗い終えた後の回収の早さが全く変わってきます。特に小鉢など数が多い場合。箸やシルバー類は向きを揃えておくなど、洗い終えた後にいかにスムーズに回収できるかまで考えるとより早く洗い物を終えることが出来ます。


③小物はざるなどをうまく使って。

▶洗浄器内に小物(箸置きなど)を入れる際はざるなどにまとめて入れ、洗浄カゴに並べると良い。洗浄カゴの網目から下に落ちるのを防ぐためです。


④洗浄が終わったら洗浄機の蓋を開けておく。

▶当たり前の人にとっては当たり前ですが意外とできてないケースが見受けられます。
10秒でも蓋を開けておくと、みるみる蒸気が飛んでいき、回収時には表面の水滴はある程度飛んでいます。これをしないで蓋を開けてすぐに回収すると、表面に水滴が残ったまま器が重ねられることになり不衛生です。


~乾燥、拭き上げ~

①洗い終えた食器はお盆やバット、カゴなどにまとめて並べて置いておく。

▶台の上に直接洗い終えた食器を並べない。台の上にお盆などを置きその上に食器を並べていけば、片付けの際に一気に移動させられます。数枚ずつ片付けていくと、洗い場と収納場所を何往復もしなくてはならなくなるだけでなく、洗い場のスペースをすぐに空けることができません。

②水切りカゴなどうまく使い、拭き上げの前にあらかじめ水を落としておく。

▶これをしないと拭き上げに使うトーション(布)がすぐに濡れ、何枚も使わなければならなくなります。
ただし、ワイングラスなど、自然乾燥により水垢が目立ってしまうものについては洗った後に多少水気を切ったらすぐ拭くのが良いかと思います。


③拭き上げはその後の自然乾燥まで考え、1つの食器を拭くのに時間をかけすぎない。

▶ただし、高い食器やワイングラスなどは水滴が残らないよう丁寧に拭き上げるなど、区別は必要。ここはお店のカラーや考え方にもよるかと思います。
一方で、全ての食器や調理器具を一色単にして水一滴残さず拭き上げるというのは作業効率面ではあまり良いとは言えないように思います。


④拭き上げの手数はなるべく少なく。

▶丁寧にやろうと何度もトーションで1枚の皿を拭くシーンはよく見られますが、基本的な原理として水気のある個所に1,2回布を当てれば水気は取れます(トーションが乾燥していれば)。

▶そう考えると、拭き上げの時にいかに食器とトーションの接地面積を大きくするかがポイントになってきます。接地面積が適切に接していない(食器と接地していない部分がある)と、拭き漏れが出てくるので何度拭いても効果的に水気が取れません。食器と布をちゃんと接着させておくことが大事です。

▶これで1つの食器を何周も何周も拭くということがなくなります。言われてみれば当たり前なことなのですが、あまり深く考えずに拭き上げをしているシーンをよく見かけます。同じ結果を生むなら手数は出来るだけ少ない方が良いです。


今回はここまでです。

次回は店舗設計についてです。
簡単ではありますが店舗設計をする上でのポイントを載せてみました。

では次回もよろしくお願いします。



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