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【料理編①】料理は愛と論理。僕の料理に対する考え方 (#15)

こんにちは。
神奈川県三崎でやっていた間借り飲食店『きむら』の店主です。

第15回の今回は【料理編①】。
料理編は全5回(第15回~第19回)です。

第15回:【料理編①】僕の料理に対する考え方
第16回:【料理編②】レシピと仕入先
第17回:【料理編③】参考にしていたYoutube集
第18回:【料理編④】間借り営業までのスケジュール
第19回:【料理編⑤】仕込みの順序や優先順位の付け方

料理編Part①の今回は、僕の料理に対する考え方について。

では、今回も宜しくお願いします。


料理編① 僕の料理に対する考え方


感動するほど美味しいものを出せるようになりたい。

全ての料理で感動させる 

食べた人があまりの美味しさに唸ったり、思わず笑ってしまったり、といった感動するほど美味しいものを作りたい、というのが僕の料理への想いです。

▶今でも忘れられないのが、閉店まで残り2週間というタイミングで来店してくださったご家族のお子様(6歳くらい)が僕の料理を一通り食べたあとに「夢の国のような料理だね」と言ってくれたことでした。
「今日ここにきて良かった。色々ツラいこともあったけど生きててよかった」なんて言ってくださったお客様もいて、そんな言葉を頂いたときほど嬉しいことはありませんでした。


料理は愛と論理でできている。

料理は愛と論理 

▶人を感動させるような料理を考えようと格闘している中で常々感じるのは、料理は愛と論理でできているということです。

▶「より美味しくて感動する料理にするためにはもっとこうしたらいいんじゃないか」といった発想は、食べた人に喜んで欲しいという愛ゆえだと思います。
だから一つの料理が出来るまで何度も何度も試作するし、同じ料理でも違うアプローチを日々考えます。

▶そして、その料理を組み立てるのは論理です。
人が美味しいと感じる塩分濃度は個人差はあるもののおおよそ決まっています。(旨味など他の要素にもよりますが、おおよそ0.8~1パーセント程度)
加熱時間による物質の変性にも科学があります。

ゴールとなる人を感動させるような料理を考えるのは食べ手への愛であり、それを実現するためにゴールから逆算して作り方を考えるのが論理なんだと僕は思います。


分量や調理時間は基本的に“数値”で。
“感覚”は最後の最後に。

15) 海老真蒸の唐揚げ② 

▶基本的には材料の分量や調理時間は“数値”で記録しながら日々調整しておりました。

▶料理をする際に分量を量らずに“感覚”のみで行うというやり方もありますが、『きむら』ではそういった”感覚“は塩の当たりの最終確認など最後の微調整をする際に使っておりました。
基本的な味付けは0.1g単位で測ることのできるはかりを使いながら数値的に行っておりました。料理本などのレシピを参考にして分量を量ることもあれば、一発目は自分の”感覚“を元に味見を繰り返しながら作る場合でも各材料の分量は必ず量って記録をつけておりました。


自分の料理を記録していくことはメリットが非常に多い。

料理のメモ 


メリット①
一度作った料理を再現することが容易に。


▶最終的な味付けは“感覚”で微調整する必要はありますが、一度作った料理を大まかに再現するには分量などを数値やデータを用いて記録していくことが有効だと思います。

▶例えば、ある課題で「全く同じ量の水が入った容器が2つあり、片方の容器には今日、もう片方の容器には明日、丁度いい味付けの塩分濃度になるような量の塩を入れる」というものがあったとき、優秀な料理人でも舌の“感覚”のみで今日・明日ともに全く同じ分量の塩を入れるといったことはなかなか難しいように思います。水の量が多ければ多いほどその差は露骨に出てきます。
一方、“感覚”ではなく、計りを用いて“数値”で把握していれば全く同じ量の塩を入れることが可能になります。

▶当たり前のことですが、一度作った料理を再現できないと、そこからさらに調整を加えてより美味しい状態にしていくことも難しくなります。


メリット②
作った料理の反省点、その原因を把握しやすい。


▶材料の分量や調理時間、温度帯、出来上がった味の感想などを記録しておくことにより、失敗したときでもなぜ失敗したのかが明確かつ具体的になります。
例えば、「少し塩が多かったから次回は少し減らそう」とかではなく「今回は塩を3g入れたが少し塩味を強く感じたので1g減らして次回は2gにしてみよう」といった具合です。また、記録をつけておくことで。気をつけるべきポイントを忘れてしまうといったことも防ぐことが出来ます。

※数値化の具体例:出汁
▶数値化の具体例で言えば、『きむら』では営業日の当日朝に鰹節を削って出汁を取り、そこに塩と香りづけ程度の薄口醤油を加えてある程度調味したものを営業用の出汁として用意していたのですが、その際も各材料の分量や温度、時間などは明確に決まっておりました。

出汁① 

出汁② 


最初の3品で決まる。


▶こちらは営業向けの内容となりますが、『きむら』では最初の3~4品で特にお客様の「美味しい」という評価を取れるようなメニュー作りを心がけていました。

▶代表的なメニューの流れとしては、①先付け(4品程度)、②ムースで作ったカクテル、③カルパッチョ、④焼き胡麻豆腐です。

最初の3品 

序盤に出てきた3~4品が美味しいと、お客様の中に「このお店は美味しいお店」という評価が出来上がるので、その後の料理でも基本的には「美味しい」という評価を頂きやすいです。

▶もちろん中盤以降の料理についても吟味を重ねますが、最初の数品については自分の中では特に慎重にメニュー作りを行っていました。


今回はここまでです。

次回は料理編②。
レシピや仕入先を公開します。

では次回もよろしくお願いします。



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