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エッセイ

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#日記

獣になりたい。

獣になりたい。

私は時々、自分には大事なものが欠けてるんじゃないかという考えに囚われることがある。

友人や家族が想像もしてない恐ろしい私が、確実に存在している。

とても冷徹に世界を見ていたり、美しいものに腹が立ったり。

ふとした拍子に、そんな私の中の悪魔が暴れ出してしまうんじゃないか。

そんな恐怖に長い間囚われている。

だからいつも、正解を探してきたんだ。

こんな状況の時はこう振る舞う。こう言われたら

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他の人の文章は読まない。

久しぶりに、他の人の文章を読んだ。

面白かった。

美味しかった。

するすると入ってくるそうめんのような清々しさ。

私はいつも、他の人の文章はあまり読まない。

エッセイや物語、日記など、なぜだかあまり気がのらない。

自分の文章は何回も何回も読み直して、味わうのにね。

自分に対する興味がなによにも強いんだなぁと思ってたけど、

違うのかも。

もしかしたら、単純にアウトプットする期間だっ

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どうしようもなく、確実に。

どうしようもなく、確実に。

海をみていた。

海面に反射する夕日を

肌をなでる冷たい潮風を

カラスと波の歌声を

波は止まらない

引いても、絶対にもどってくる

どうしようもなく、確実に

明日は、絶対にくる

どうしようもなく、確実に

止まらない波のように、日が昇り沈むように、

絶対に変えられないことはある

地球に生命が誕生することも

動き続ける空も

どうすることもできない

どうすることもできないことを

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さいきん。

さいきん。

いま、わたしは意外と満足している。

大学をやめて、肩書きは高卒フリーターだけど、

思ったよりも劣等感に苛まれることはない。

連勤すると、思考が止まってしまうから、2日働いて1日休み、のリズムでシフトを組んでいる。

自分が生きる分だけ働いて、休みたいときには休める生活。

わるくない。

安定とか、貯金がどうのとか、そんな基準からすると怖い生活かもしれない。

でもわたしは知っている。

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くじら

くじら

むかしむかし、クジラの絵を描いた。

二匹のクジラが、小魚の群れを追いかけてる絵。

中学の美術部で、海の絵コンクールに出したもの。

クジラの写真を見ながら、絵の具を重ねた。

重ねれば重ねるほどに、命が吹き込まれていくような、気がした。

真っ白とは言えない大きなお腹。

真っ青とは言えない深い青の背中。

つぶらなひとみ。

あのクジラが好きだった。

だから、クジラばっかり綺麗に描いていた

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21才女子。わたしのリアル。

21才女子。わたしのリアル。

休みの日は、ごはんを食べない。

正確には、きちんとした食事、をしない。

お腹が空いたら起きて、最低限の労力で食べられるものを食べる。

そんで一応、今日のやることを書き出してみたりなんかする。

まあもちろん、すぐに手をつけるわけもなく、
とりあえず、スウェットですっぴんのまんまお買い物にでかける。

チューハイとポテトチップスを買って、近くの公園に寄る。

家で飲んでもいいのだけど、時間がた

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焼きたてパンはしあわせの香り

焼きたてパンはしあわせの香り

朝7:00に起きて、パン屋さんに行く。

焼きたてパンを買ってきて、コーヒーを淹れる。

新潟の朝、まだつめたい空気。

あついコーヒーとともにパンをいただく。

あぁ、今、しあわせだなぁ。

豊かだなぁ。

気づいたら、涙が溢れていた。

するするっと糸がほどけたみたい。

こんな時間、いつぶりだろう。

時間を気にしなくていいあさごはん。

おひるね。おさんぽ。

こういうことが、じんわり嬉し

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グレーゾーン

あらゆる義務を放棄したい。

なにかのせいにしないと、なにもしない人を受け入れない世の中は終わってると思う。

いや、でも世の中ってそういうもんか。

免罪符みたいなのがほしい。

お年寄りなら、年金がもらえるし

障害者なら、手当がもらえるし

病気なら、生活保護がもらえるし

わかんないけど。

なんかそういう隠れみの的なのがあればいい。

社会不適合者だから、社会に適合できなくても許してほし

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どこか。

どこか。

「その道はどこに行けるの?」

小道を見つけた。

ふらっとその道へ入ったとき、通りすがりのおばちゃんは言った。

「知らないです」

そう答えたわたしに、おばちゃんは

ふふふっと笑って行っちゃった。

どこへたどり着けるか分からない。

そんな道を歩くのって楽しい。

その小道の先には、竹林があった。

初めて、たけのこが地面に埋まってるのを見た。

たけのこから、たけのせいねんになって、

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学生という立場

学生という立場

怖かった。

身ぐるみを剥がされた気がした。

なんにもできないわたしの、唯一の隠れみのだった「学生」という立場。

ぬくぬくとその中で好き勝手言ってたのを、急に外の世界に放り出されたみたい。

今までは、何を言っても所詮「学生」という枠の中での発言だった。

着付け講座を開いている学生

大学を辞めたい学生

好きなことで好きなように生きたい学生

あったかいところであれやこれや言ってるだけの学

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