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日本国憲法を勉強す📚(#7)〜憲法9条と国連憲章の敵国条項について〜

【 日本国憲法を勉強す📚(#1)〜(#6) 】を語ってきました。現行の憲法は、私たち国民が主役です。国民には多くの権利が保障されており、その権利を国家が邪魔してはいけないと定めています。しかし、自民党の改正案では国家が主役となり、国民に対して「○○の権利を保障する」としています。一見問題なさそうに見えますが、国家は「公益及び公の秩序に反しない限り」という条件をつけています。公益や公の秩序とは、国家の都合によるものです。たとえば、国家が「国民は全員ワクチンを打たなければならない」と決めた場合、それが公の秩序となり、これに反する行為は違反とされます。つまり、国家の定めた枠内でしか権利が認められず、その枠を超えれば権利は否定されることになります。これは独裁政権と同じです。したがって、憲法改正は絶対にあってはなりません。

さて、今回は少し視点を変えて、国連(国際連合)のルールブックである国連憲章の敵国条項に焦点を当て、日本国憲法の特に9条と絡めて考えていきたいと思います。

※ 【 日本国憲法を勉強す📚(#1)〜(#6) 】は、一番下にリンクを貼っておきます。


国連憲章とは

第二次世界大戦後、戦争の再発を防ぎ、国際平和を維持するために、国連(国際連合)が設立されました。その過程は以下の通りです。

1941年:米国と英国が戦後の平和のための基本原則である大西洋憲章を発表。

1942年:26カ国が戦後の平和維持のために協力することを宣言した連合国共同宣言が行われた。

1944年:米国、英国、ソ連、中国が国連の設立案を策定したダンバートン・オークス会議が開催された。

1945年2月:米国、英国、ソ連の指導者が国連設立の最終調整を行うためにヤルタ会談が開かれた。

1945年6月:50カ国の代表が集まり、国連憲章を起草・採択したサンフランシスコ会議が開催された。

1945年10月24日:国連憲章が正式に発効し、国連が設立された。

国連憲章は、国連のルールブックです。この憲章の目的は、世界の平和と安全を守り、人権を尊重し、国同士が友好的な関係を築くことです。また、経済や社会の問題を解決するために国際協力を促進していくものなのです。


敵国条項とは

本日のメインテーマ、国連憲章の敵国条項です。

敵国条項は、第二次世界大戦後に国連が作った特別なルールです。このルールは、戦争中に連合国の敵だった日本、ドイツ、イタリアなどを対象としています。敵国条項によれば、これらの敵国が再び戦争を起こそうとした場合、国連加盟国は特別な許可なしに、その国に対して軍事行動を取ることができるというものです。

「敵国が再び戦争を起こそうとした場合」とは、実際に戦争を始める意図がなくても、その国が軍事力を増強し始めた場合、「これは脅威だ。戦争を起こそうとしている」と国連加盟国が認識すれば、その国に対して攻撃できるという意味です。

これを日本に置き換えてみます。たとえば、日本が防衛のために軍事増強をしたとします。その場合、国連加盟国が日本が戦争の準備をしていると判断した瞬間に、日本に対して攻撃を行うことができるということになります。このとき、国連軍は日本を攻撃する側の味方をしなければならないのです。つまり、もしロシアや中国が日本を攻撃したら、国連軍はロシアや中国の側につくことになるのです。


憲法9条について ~改正したらどうなるか?~

敵国条項と合わせて、憲法9条について、改正したらどうなるのかを考えたいと思います。

憲法9条 ー 現行 ー 

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

『日本国憲法(昭和21年憲法)』より

憲法9条 ー 自民党案 ー

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。
 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。

憲法9条の2 ー 自民党案(新設) ー
我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するために、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する
② 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

『日本国憲法改正草案(現行憲法対照)|自由民主党 平成24年4月27日(決定)』より

自民党案では、憲法9条1項および2項の文言が変更され、新たに9条の2が加わりました。この9条の2には「国防軍を保持する」と記されています。

前述の敵国条項と合わせて考えると、「国防軍を保持する」ということは、いくら日本が「これは自衛のためだ」と主張しても、たとえば中国が「日本が軍備を拡張して攻撃するつもりだ」と解釈した場合、9条改正と同時に中国が日本に攻め込むことも可能になります。そして、その際には国連軍が中国の味方をすることになるのです。

これは非常に恐ろしいことです。敵国条項は既に死文化していると主張する人もいますが、外交の場面では依然としてこの敵国条項が持ち出されることがあります。


日本とNATOが北海道で合同軍事演習を計画

憲法改正の話からは少し外れますが、日本はNATO加盟国であるドイツとスペインとともに、北海道で合同軍事演習を計画しています。この演習は今月19日から25日にかけて行われる予定です。合同軍事演習を行うとロシアを刺激してしまいます。プーチン大統領は理性的なので、このために日本を即座に攻撃することはないと思いますが、ロシアはすでにこの演習に対して抗議し、十分な対抗措置を発表しているのも事実です。

この軍事演習が行われると、理論上、国連憲章の敵国条項によってロシアが日本を攻撃することが可能になります。もしそうなった場合、国連がロシアを味方するという奇妙な状況が生まれるかもしれません。いずれにせよ、そのようなリスクを生む土台を作ってしまうのです。


つづく・・

今回はここまでです。

敵国条項を中心に語りました。憲法9条改正はとんでもないことです。改正されなくても、敵国条項は非常に危険な条項です。政府はいいかげん外国の言いなりになるのをやめて、日本の平和のためにまともな外交をしてほしいです。

このシリーズはまだまだ続きます!


【 日本国憲法を勉強す📚(#1)〜(#6) 】はこちら👇


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