マガジンのカバー画像

人材紹介業をアップデートする

72
私が属する「人材紹介業」の未来について個人的見解をつぶやきます。
運営しているクリエイター

#転職

なぜか研究者が職務経歴書に書き忘れること

なぜか研究者が職務経歴書に書き忘れること

 研究者が転職の際に職務経歴書に書くべき研究実績について、「問題関心(問い)と動機」が書かれていないことが多いように感じます。
 これらは、大学(院)の入学ガイダンスで一番初めに"最も大事なこと"として教わることです。

 実験の内容や使用した実験機器、研究室内での役割などは事実情報として重要ですが、面接官が研究者としてのスキルやマインドを判断する上では"問い"や"動機"が欠かせません。

 そし

もっとみる
人材紹介コンサルタントの専門性とは

人材紹介コンサルタントの専門性とは

 労働市場の流動性が高まり、より豊富な経験や高度なスキルを有する人材の採用(転職)が増えることで、それを仲介する人材紹介コンサルタントにもビジネスや製品、各技術分野に関する知識が一層求められています。

 登録人材(求職者)の経験や強みを適切にヒアリングし理解する上で、同じ(近い)分野で働いた経験をもつコンサルタントは適任といえます。
 また取引先企業との関係においても、人材の需要家である事業部門

もっとみる
人材紹介は成功報酬、という常識を疑ってみる

人材紹介は成功報酬、という常識を疑ってみる

 私が属している人材紹介業(登録型)は、成功報酬型の料金体系で、求人を行なう企業(クライアント)に対して推薦した候補者が入社した時点で手数料(売上)が発生します。

 募集広告を掲載した時点で料金が発生する求人広告や、候補者の探索を開始する時点で着手金が発生するサーチ型(リテーナー型)の人材紹介と比較すると、"入社"と"支払い"の前後関係だけを単純に比較した場合は確かに"後払い"と言えます。

 

もっとみる
人生100年時代のキャリア設計を考えてみた②

人生100年時代のキャリア設計を考えてみた②

 仮に75歳定年を想定した時に生じる55歳(役職定年)からの20年にどう備えるのか。前回は、今後多くの人がその"20年"に見舞われるであろうことを以下のように挙げてみました。(※前回の投稿は以下↓)

(1)多様性ギャップ

(2)ジョブ型

(3)環境や技術への適応

(4)物理的制約

(5)経済的制約

 * * * * *

 これらのことに予め備え

もっとみる
隔月連載14稿目

隔月連載14稿目

 日経産業新聞で連載させていただいている「HRマネジメントを考える」。

 今回は、『VUCAの時代、能動的に計画採用を』

※有料会員限定です

 不透明で不確かな時代、2〜3年先まで見通すことなんか不可能、と、中期経営計画の有効性さえ疑われている昨今。しかし、高齢化と人口減少による国内市場の縮小は「既に起こった未来」として確実です。

 それに伴い、成長戦略の軸足を一層海外に移していくことは日

もっとみる

対話によって生まれるナラティブなストーリー

ユニクロのアルバイト面接に臨む18歳の若者に対して筆者(※)が行なった対話によって、真の「志望動機」が原木から彫刻物が削り出されるように明らかになっていく様が、軽やかなタッチで記されています。

 もともと履歴書に記されていた"志望動機"は、「シンプルで合わせやすいユニクロの服をたくさんの人たちに知ってもらい、着ていただきたいと思ったから」。

 これに対して筆者は、次のような対話を始めます。

もっとみる
人材紹介に明日はあるか②

人材紹介に明日はあるか②

スペックを下げる

人材紹介会社のコンサルタントが、取引先企業から受けた求人の相談に対し、現実的に候補者を紹介し得る水準にまでその要件の緩和を求めることを言います。
特に新しい表現ではなく、私がこの業界に足を踏み入れた20年前には既に業界用語として定着していました。

経験や能力、専門知識に加え、表立っては制限してはいけない年齢層など、企業が中途採用募集を行なう時には様々な要件が指定されま

もっとみる
人材紹介に明日はあるか

人材紹介に明日はあるか

コロナショックに伴う経済損失や人々の行動様式の変化から、世界の自動車販売数が減少しています。近年、グローバル市場の拡大に加え、国内景気の長期安定もあって堅調に業績を伸ばしていた完成車メーカーも厳しい状況に見舞われています。
この苦境をいかにして脱するのか、またこれを契機に一気に構造改革を進めて組織として生まれ変わるのか、或いはコロナ後の新たな社会に対して新たな存在価値を打ち出すのか、各社の

もっとみる