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人材紹介コンサルタントの専門性とは

 労働市場の流動性が高まり、より豊富な経験や高度なスキルを有する人材の採用(転職)が増えることで、それを仲介する人材紹介コンサルタントにもビジネスや製品、各技術分野に関する知識が一層求められています。

 登録人材(求職者)の経験や強みを適切にヒアリングし理解する上で、同じ(近い)分野で働いた経験をもつコンサルタントは適任といえます。
 また取引先企業との関係においても、人材の需要家である事業部門を訪問して求人の理解を深めたり要件の擦合せを行なう際に専門知識は強力な武器になります。

 私もかつて部門長や支店長として営業をしていた時には、メーカーのエンジニアや海外駐在経験者、MRや看護師など、ターゲットとする領域の直接的な経験をもつ人材をコンサルタントとして積極的に採用し、布陣していたものです。
 しかし、業界や職種、技術分野の専門知識をもつコンサルタントに私が求めていたのは、(その分野の専門家ではなく)採用のプロになることでした。

 私たちの"専門分野"はあくまでも採用や人材戦略なのであり、顧客とのコミュニケーションにおいても話題は求人要件だけに限りません。むしろ、取引先企業との関係性を深める上での主な窓口である経営者や人事部長との対話を深めるべきは、採用(=手段)よりも経営や事業の計画や展望(=採用の目的)、それに紐付く組織や人事の戦略についてではないでしょうか。

 いま、経営者の頭の中にある人事の重要論点は何か?(経営者は人事部長に何を命じているのか)
  人的資本経営
  ジョブ型雇用
  ダイバーシティ
  働き方改革
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 "人事の専門家を目指す"という意識で日々メディアに注意を向けていればトレンドは掴むことができます。
 それらが何を意味するのか、いま何故それらが議論されているのか、ということは最低限の"たしなみ"として頭に入れるとして、重要なことはそれぞれの顧客にとっての今(今後)の問題意識がどこに向いているか【経営の論点は何か】を各論として積極的に知ろうとすること。
 そこには必ずその会社ならではの、他社とは同じに見えて異なる、違って見えて本質的にはよく似た課題があります。

 学習の方向性が"業界知識"にだけ向かっていないか、顧客との話題が"募集要件"に偏っていないか、、

 そのように自身を顧みることは、自身が提供するサービスがテクノロジーに対して対抗力を持つかを考えることにも繋がるのではないでしょうか。


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