見出し画像

「介護の大変さを、少しでもやわらげる方法」㉚「身体を整える」。

 いつも読んでくださっている方は、ありがとうございます。
 おかげで、書き続けることができています。

 初めて読んでいただいている方は、見つけていただき、ありがとうございます。
 私は、臨床心理士/公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。家族介護者の心理的支援を仕事にしています。


家族介護者の負担


 まるで、コロナが明けたかのように
言う人も増えてきたようになりましたが、ご高齢者に関わることが多い家族介護者の方にとっては、実際はコロナ禍が終息したわけではありませんし、それほど不安の大きさが変わっていないかもしれません。

 それに、もともと、介護が始まってから、いつ終わりが来るか分からない毎日が、ずっと続いているかと思います。

 その気持ちの状態は単純ではなく、説明しがたい大変さではないかと推察することしかできないのですが、それでも、ほんの少しでも負担感や、ストレスを減らせるかもしれない方法は、お伝えする努力はしていきたいと考えています。

 時間的にも余裕がなく、どこかへ出かけることも出来ない場合がほとんどだと思いますが、この「介護の大変さを、少しでもやわらげる方法」シリーズでは、お金も時間も手間もなるべくかけずに、少しでも気持ちを楽にする方法を考えていきたいと思います。

 今回も、「自律神経」に関わる書籍を読んで、前回と似たテーマになるかもしれませんが、参考にできるかもしれないと思い、紹介することにしました。

自律神経

 前回のこのシリーズでは、「自律神経」について取り上げ、その失調によって体調を崩しがちだと思われるときに、少しでも、体調が整うかもしれない方法をいくつか紹介させていただきました。

 もしかしたら少しは役に立てていただいたかもしれませんが、この「自律神経」に関しては、さらに補足が必要かと思い、「歯学博士・医学博士。専門は生理学」であって、「現在、日本保健医療大学保健医療学部教授、昭和大学医学部生理学講座客員教授兼務」である専門家の著書も、紹介させてもらいたいと思いました。


『自律神経の科学 「身体が整う」とはどういうことか』   鈴木郁子


 自律神経について、少しでも詳しく全体的に知りたいということでしたら、まずは、こうした書籍から始めるのが適しているのでは思いました。

「心身の不調は自律神経が原因かもしれない」「自律神経のバランスが乱れている」などとよく耳にします。
そもそも、自律神経とはどのような神経なのでしょうか?
簡単に言えば「内臓の働きを調整している神経」。
全身の臓器とつながり、身体の内部環境を守っています。
自律神経に関わる歴史的な研究を辿りながら、交感神経・副交感神経の仕組みや新たに発見された「第三の自律神経」の働きまで、丁寧に解説していきます。

 この書籍の紹介は、このように書かれていましたが、確かにその通りの内容だと思えました。

薬について

 特に、介護に関わっていらっしゃる方にとっては、介護を必要とされる方が高齢者の場合は、ある程度の数の薬の服用は日常になっているかと思います。薬の処方に関しては、医師だけではなく薬局などでも説明がされているはずですが、どうしても、全部を克明に覚えているのは難しいと考えられます。

 その副作用についても、いくつかいっぺんに伝えられると、どうしても忘れがちですが、こうした書籍で再確認することもできそうです。

 唾液は高齢者で減るといわれます。これは自然な現象ではなく、服用している薬が誘因となって減っている場合が多いようです。
 唾液を減らしてしまう薬の最たるものに、アセチルコリンの受容体を遮断する抗コリン薬があげられます。

(「自律神経の科学」より)

 唾液が減ると、食事の時の飲み込みや、口の中の環境にも作用しそうですが、ただ、年齢で仕方がないというわけではなく、薬が関係することもあるようです。

 抗コリン薬には、パーキンソン病に対しての薬や、頻尿-------特に膀胱の過活動が原因となった場合には、それを抑える薬が処方されますが、それは抗コリン薬が多いので、唾液が減るだけでなく、便秘の原因になり得ることもあると、この著者は指摘しています。

 唾液が減ったり、便秘になったりといったことも、年齢だけを原因とせず、こうしたことを知っていると、少しでもその状態を改善することができる可能性もあります。

オキシトシン

 オキシトシンは、最近「幸せホルモン」などとも言われることもあり、そうした名称は専門家から見たら、あいまいな表現になり、もしかしたら、避けられがちかもしれませんが、抗ストレス作用のために、そんな呼び名がついているのでしょう。

 ただ、このホルモンについては、誤解もあるようです。

オキシトシンというのは女性に特有のホルモンではありません。

オキシトシンを分泌させる因子としては、授乳と分娩以外に、マッサージなどの触刺激、親しい人との会話、共感などが挙げられています。

(「自律神経の科学」より)

 ということは、男性であっても、このホルモンを分泌させることができるわけですし、このホルモンに抗ストレス作用があるとすれば、その分泌によって、少しでも楽になる可能性はあります。

 マッサージを受けたり、親しい人と会話をし、共感し、という気持ちいい時間を持つことが、有効だと言えそうです。

腸内細菌

 これも学術的には正確な表現ではないのでしょうけれど、「腸活」などと呼ばれ、腸内の細菌環境を整えることが、健康につながりやすい、と言われるようになりました。

 ただ、やはり、腸の状態が健康を左右するのは、間違いないようです。

腸の情報は脳の健康に重要である。腸と脳のつながりを脳腸相関という。

 腸のためには、食生活を考えるのが、効果的です。

 何を食べたらよいのかは、昔からよく言われていることで、専門書でも指摘されていますが、海藻やゴボウなどの食物繊維、大豆やヨーグルトなどの発酵食品、魚介類や野菜、果物などさまざまな食材を少しずつ摂れば、いろいろな腸内細菌が私たちの腸内に棲みつけることでしょう。体調がすぐれないとき、食生活習慣を見直してみるのも一考ですね。手間はかかりますが、副作用はありません。
 過敏性腸症候群や不安症状は、自律神経失調症の症状といわれます。食の改善によって腸内細菌の多様性を増やせば、症状は回復できる可能性があるでしょう。「病は腸から」とは古代ギリシャのヒポクラテスが紀元前に残した言葉です。時代を超えて、そのことが実証されつつあります。 

(「自律神経の科学」より)

自律神経活動の調整

 介護をされている方にとってみれば、体調が多少悪いくらいが通常モードかもしれません。それ以上、生活を整えるといっても、介護が続く限りは難しいのも事実だと思われます。

 そのうえ、「自律神経失調症」に悩む方も少なくないかもしれませんし、すぐに改善するのは難しいとしても、自律神経の調整について知っておくことは無駄ではないかとも思います。

自律神経活動の調整は意思によってある程度可能である。たとえば体を動かすと交感神経活動を、リラックスすると副交感神経活動を高められ、自律神経のバランスをとることで症状を軽減できる。

(「自律神経の科学」より)

 体を動かすことや、リラックスする時間を少しでもとることで、ベストは無理としても、ほんの少しでも自律神経が調整でき、身体が整う方向へ向けることは可能かもしれません。

よい生活習慣の継続が自然治癒力を高め、病気の予防につながる。

 介護生活が続く限りは難しいとしても、この原則を知っておくと、毎日の生活の中で、少しでも心身にいい選択をすることができるようになるかもしれません。

 なるべく正確な情報をお伝えしようと考え、前回に続き、今回も「自律神経」について、紹介させていただきました。

 少しでも、お役に立てば、幸いです。



(他にも介護のことについて、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。




#介護相談       #臨床心理士  
#公認心理師    #家族介護者への心理的支援    #介護
#心理学       #推薦図書 
#家族介護者   #臨床心理学   #今できることを考える
#介護の大変さを少しでも 、やわらげる方法
#家族介護   #介護家族 #介護職 #介護者相談
#介護相談 #心理職   #支援職  #家族のための介護相談
#私の仕事      #介護への理解
#専門家  #介護者相談

この記事が参加している募集

推薦図書

 この記事を読んでくださり、ありがとうございました。もし、お役に立ったり、面白いと感じたりしたとき、よろしかったら、無理のない範囲でサポートをしていただければ、と思っています。この『家族介護者支援note』を書き続けるための力になります。  よろしくお願いいたします。