『「40歳を超えてから、大学院に通う」ということ』①大学院に行くことを考え始めた理由
いつも、このnoteを読んでくださっている方は、ありがとうございます。おかげで、こうして記事を、書き続けることができています。
初めて読んでくださっている方は、見つけていただき、ありがとうございます。
私は、臨床心理士/公認心理師の越智誠(おちまこと)と申します。
自己紹介
元々、私は家族介護者でした。
1999年に介護を始めてから、介護離職をせざるを得なくなり、介護に専念する年月の中で、家族介護者にこそ、特に心理的なサポートが必要だと思うようになりました。
そうしたことに関して、効果的な支援をしている専門家が、自分の無知のせいもあり、いるかどうか分からなかったので、自分で少しでも支援をしようと思うようになりました。
介護をしながら、学校へも通い、2014年には、臨床心理士の資格を取りました。2019年には公認心理師資格も取得しました。現在は、家族介護者のための、介護者相談も続けることが出来ています。
改めて、「大学院進学」のことを伝えようと思った理由
少し前ですが、主婦が大学院に行くことが非難されていたことがありました。
そういえば、自分が大学院を修了してから、インターネットの「Q &A」を見たときに、30歳を過ぎた人間が大学院に進みたい、といった質問に対して、かなり辛辣な言葉が向けられていて、その中には、「その年齢になって、無理」という批判的な言葉もありました。
私自身が大学院に通いたいと思い始めたのは、40歳を過ぎていましたから、もし、こういう質問のサービスを使ったら、どれだけの否定をされたかと思うと、ちょっと怖くなったのと、実際に勉強を始めたり、学校に通っていた頃に、こうした情報に接していたら、やはり、しばらく落ち込むと思いました。
すでに、マガジンとして、自分がどうして臨床心理士になろうとして、そのために大学院を目指した話は書いているので、繰り返しの部分も多くなりそうですが、それでも、改めて、大学院のことを書こうと思ったのは、20代の前半で、大学の学部からそのまま大学院に進む以外に、年月を経てから大学院で学びたいという人も、一定数いらっしゃると思ったからです。
私自身は、今、振り返っても、40歳を超えてから大学院に入学し、そして学んで修了したことは、とても意味があることでしたし、辛さや大変さもあったのですが、学ぶこと自体が初めて楽しく感じ、充実した時間でした。
その経験について、伝えることで、もしも、大学院に進学する気持ちがあり、その条件を整えられる環境がある方に対して、少しでも肯定的な思いになってもらえるかもしれない、と不遜かもしれませんが、思いました。(もちろん、資格試験のために大学院へ入学するのは、やや一般的ではないかもしれませんが)。
同時に、家族介護者へ個別な心理的支援を仕事として続けてきたのですが、少なくとも、臨床心理士で、この分野を専門としようと思っている方が、かなり少ないことは、この10年間、感じてきました。
もしも、このnoteを読んでいらっしゃる方の中で、心理職に興味があり、臨床心理士や公認心理師を目指したいと思い、さらには、家族介護者の心理的支援をしたいと思ってくださる方がいらっしゃるとしたら、できたら、さらに学ぶ機会を作っていただきたい、という思いもあり、改めて、こうして伝えることにしました。
このnoteの中では、もしかしたら、かなり毛色が違うのかもしれませんし、不定期ですが、何回かに分けて、お伝えしようと思います。
よろしくお願いいたします。
「介護保険」への気持ち
個人的なことですが、介護を始めて、仕事を辞めざるを得なくなって、介護に専念し始めた時と、「介護保険」が始まる頃(2000年)が、ほぼ一緒でした。そして、その介護保険は、5年ごとに「改正」するのですが、その度に、ざわざわしていました。
確かに、「介護保険」自体が、とても重要な変化ではあったのですが、「改正」するたびに、利用者の家族にとっては「サービス抑制」にしか思えず、「改正」という言葉を使うことに抵抗感があるくらいでした。
どうして、こんなに負担感を増やすような「変え方」をするのだろうか、と思っていて、介護をする家族介護者だけでなく、プロの専門家にとっても、大きな声では言えないけれど、納得のいく「改正」ではなかったと思います。
現場を少しでも知る人であれば、かかる予算を減らしながら、これほどの「サービス抑制」をしなくてもいいのに、と思えていたのですが、あまりにも納得がいかないので、介護保険の「改正」のための説明会のようなものがあったときに、区役所に原稿用紙で30枚くらい(約1万2千字)の意見を書いて、そこに並ぶ「識者」の方々に配ったり、行政への「ご意見」を受け付けるような機会には足を運んだりしました。
そうしたある意味では政治的な動きは大嫌いなほうでした。そうした政治的な、もしくは思想的な団体に属したこともありません。だけど、そうしないと、知らないうちにつぶされる気がして、必死でした。だけど、もちろん、何も変わりませんでした。
誰も聞いてくれない。
このままでは、何を言っても、いつになっても、届かないのではないか。
その無力感と怖さによって、自分も、何かしらの専門家になって、少しでも伝えるべきことは伝えないと、いけないのではないか。そんな妙な、義務感のような思いが生まれてきていたのかもしれません。
家族介護者の支援
介護を続けていく中で、介護している人たちとも知り合うようになり、他の家族介護者の方々が、わたしどころではない大変さの中で黙々と介護を続けているのを知りました。そのことで、自分だけが大変みたいに思っていたことが、恥ずかしくなりました。
また一方では、介護保険の「改正」のおかしさを伝えようとして、いろいろと調べる中で、介護殺人や介護心中が、毎年何十件も起こっていて、「介護する人間のストレスそのものを和らげることを本気で考えないと」、と自分も介護を続けている当事者であるのに、思うようになりました。
それでも、具体的には、どうすればいいのか分かりませんでした。ただ、焦りと共に、そんな思いは、自分の中に、ずっとどこかにあったようでした。
臨床心理士
最初の介護保険の「改正」は、2005年で、おそらく、その頃に、介護者の支援について、どうしたらいいのか分からずに、図書館で「カウンセラーになるには」といったタイトルの本を読もうと手に取りました。
自分の中では、気持ちを支える人、と言えば、「カウンセラー」という名前が、すぐに浮かぶので、その本を読んだのだと思います。
私自身は、若いときに通った大学では、法学部でした。卒業後は、マスコミの世界で働き、介護で仕事を辞める前は、10年間、フリーライターをしていて、インタビューが仕事の中心にありましたが、「カウンセラー」に関しては、知らないことばかりだと、その本を読んで、改めて自分の無知に気がつくことになりました。
「カウンセラー」は、「ライター」と同様に、(仕事が依頼されるかどうかや、専門家としての仕事の質を問わなければ)明日、名刺に「カウンセラー」と入れれば、「カウンセラー」には、なれることも知りました。
同時に、それまで「カウンセラー」よりも、さらに、ぼんやりとした「臨床心理士」という資格のことが、この本の冒頭に取り上げられていて、そして、「カウンセラー」の中では、この書籍によれば、高く評価されていました。
それは、他の「カウンセラー」と比べて、「臨床心理士」という存在が偉いというわけではなく、その資格を取得巣るまで、学んだり、訓練したりする期間が長い、ということによっての高評価であることも知りました。
私のイメージでは、資格というものは、勉強をして、試験を受けて合格すれば、資格を取得できる、というものでした。それ自体も、無知による貧弱な知識であることもわかってくるのですが、この「臨床心理士」は、すぐに試験を受けられるわけではなく、臨床心理学を専攻すること、しかも、指定大学院という限られた場所に入学し修了しないと、資格試験自体が受けられないことが分かりました。
これだけ手間がかかることや、自分の年齢や、今、ただ介護をしているだけの人間であることや、金銭的なことや、受験を突破することや、何しろ、介護をしていて、心身が追い詰められている今の生活の中では無理だと思いました。
大学院
だけど、それからは、家族介護者の心理的な支援を考えるたびに、「臨床心理士」のことを、思い出しました。
ただ、情報を得るたびに、今の状況では、自分の能力では、大学院へ通うなど無理だと、より思うようになりました。
1990年代にスクールカウンセラーという存在が注目され、多くは、臨床心理士の資格を持った人たちが、その役目を担っていることも知り、同時に、そのためか、一時期、臨床心理士ブームといったものが起こったらしく、それは、年数が経って落ち着いていたものの、今(200年代後半)も、臨床心理学専攻は、大学院にも関わらず、かなりの倍率であることも知るようになったせいもあります。
だから、余計に無理だと思いながらも、それでも、どこかで完全に諦めきれ内容でした。
だから、母親の病院へ毎日のように通い、帰ってきてから、義母の介護をする、という生活は変わりませんでしたが、電車の中で手にとる本が、少し変わっていきました。心理学をテーマにしたものが、少しずつ増えていました。
そのころは、40歳を超えていました。
今回は以上です。
次は、「②大きい本屋へ行く」の予定です。
(他にも、介護のことをいろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえると、うれしいです)。
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