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「介護の大変さを少しでも、やわらげる方法」㉒「身体感覚に意識を向ける」

    いつも読んでくださっている方は、ありがとうございます。
 おかげで、書き続けることができています。

   初めて読んでいただいている方は、見つけていただき、ありがとうございます。
 私は、臨床心理士/公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。家族介護者の心理的支援を仕事にしています。

 いつも読んでくださる方には、繰り返しになり、申し訳ないのですが、私も家族の介護をしていた時期があります。その時間の中で、家族介護者の方の、こころのサポートが必要だと考え、臨床心理士になりました。その後、公認心理師の資格も取得しました。

家族介護者の負担

  コロナ禍の収束が見えない上に戦争まで始まってしまい、不安の増えるこの頃ですが、家族介護者の方にとっては、介護が始まってから、いつ終わりが来るか分からない毎日が、ずっと続いているかと思います。

 その気持ちの状態は単純ではなく、説明しがたい大変さではないかと推察することしかできないのですが、それでも、ほんの少しでも負担感や、ストレスを減らせるかもしれない方法は、お伝えする努力はしていきたいと考えています。

 時間的にも余裕がなく、どこかへ出かけることも出来ない場合がほとんどだと思いますが、この「介護の大変さを、少しでもやわらげる方法」シリーズでは、お金も時間も手間もなるべくかけずに、少しでも気持ちを楽にする方法を考えていきたいと思います。

身体感覚に意識を向ける

 以前、「セルフマッサージ」を行うことをきっかけとして、自分の体に触れ、そのことによって、自分に意識を向け、少しでも大変さをやわらげる方法を紹介しました。

 今回は、この本の中で紹介されていた方法です。

 小休止を取るには、まず身体感覚に意識を向けることから始めましょう。全速力でいるのを中断して、吸う息、吐く息に注意を切り替えましょう。すると、身体が発するシグナルに波長を合わせることができ、何か調子が狂っているのに気がつきます。呼吸に意識を向けるだけで、状況に反応する神経物質の状態に変化が起こります。そして、不健全に心を駆り立てていた不安が、いくらか和らぎ始めます。また、ほんの一瞬の休止であったとしても、害を及ぼすことなく役立とうという私たちの意図を思い起こすには十分です。これは、自分にも害を及ぼさないという意図です。 

 ここだけ抜き出すと、少し不思議なニュアンスになってしまうと思いますが、介護を継続しているのは、ずっと緊張が続いているということでもあり、それは、身体も心もずっと動き続けている、という状態でもあると思います。

 この状況に対して、どうすれば、少しでも休むことができるのか、と考えると、介護環境に適応されている場合ほど難しいとは思うのですが、このように自分に意識を向けることで、ちょっとだけ、今の介護に集中している意識を変えることができるかもしれません。

 ここには明言されていませんが、自律神経系でありながら意識でもコントロールできるのが呼吸なので、より自分自身に関心を払うことができると思います。

 可能であれば、目をつぶり、数分でいいので、普段と違う時間を過ごす、というだけでも、負担感がやわらぐきっかけになり得るのだと思います。

 深呼吸も効果的ですが、さらに少し踏み込んだ方法として試しみるのはいかがでしょうか。

コンパッション

 今回、紹介させてもらった本のタイトルは、それほど聞いたことがないような言葉だと思いますが(恥ずかしながら、私は知りませんでした)、日本語だと「慈愛」という意味合いに近いようです。

 あまり、日常生活では使うことがなさそうですが、この本を読むと、この「慈愛」を本当の意味で身につけると、様々な困難にも強くなるような印象もありますので、もし、興味が持てるようであれば、少し厚めなので時間がかかると思うのですが、一読をおすすめしたい気持ちがあります。

 それは、これまで、いろいろな形で出会ってきた家族介護者の方々に、この「コンパッション(慈愛)」を感じることが少なくなかったせいもあります。

人間の欲求は物欲も性愛の喜びも家族関係も基本的に個人的なものだと想定されてきましたが、それが覆されたのです。経済学、社会学、神経科学、心理学など多様な分野における昨今の研究が明らかにしたのは、人間は他者の求めや苦しみに同調する、コンパッションの生物としての起源を持つということです。 (「コンパッション」より)

 これは、このこととも、関係あるように思います。

 さらには、こうしたこと↓が本当に広まっていけば、とも思います。

 コンパッションは、その受け手に幸福をもたらすうえに、コンパッションある行いをした当人にも有益だと、科学的な研究で示されています。それだけでなく、コンパッションの行為を目撃しただけの人も恩恵を受けます。コンパッションは、与える者、受ける者、目にする者、いずれの立場でも、人の心に奥深く影響を与える経験なのです。
 コンパッションは、身体的な健康状態も向上させると言われます。
                  (「コンパッション」より)

 自分への反省も込めてなのですが、コンパッション(慈愛)がベースにある心理的支援ができれば、その支援を受ける方だけではく、支援する側にとっても有益であり、それは実現すれば、かなり理想的な状態になりそうです。

 難しいとは思いますし、こうしたことがきれいごとだったり、理想的すぎるとは言われそうですが、心のどこかで、忘れない方がいいのもしれません。

 今回は、1冊の本に、頼った形になってしまいましたが、以上です。




(他にもいろいろと介護のことを書いています↓。よろしかったら、読んでいただければ、うれしいです)。



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