マガジンのカバー画像

ジュエリー法務の4Cs

21
ジュエリーの法律問題や、ジュエリー関連企業の法務を向上するために必要なことを、なるべくわかりやすくお伝えしていくマガジンです。 #ジュエリー #宝石 #宝飾 #法律
運営しているクリエイター

記事一覧

二人の天才(真珠王・御木本幸吉と法学者・穂積陳重)の交流について

二人の天才(真珠王・御木本幸吉と法学者・穂積陳重)の交流について

画像は『御木本真珠島のあゆみ』(御木本真珠島、昭和50年発行)33-34頁「御木本幸吉とゆかりの人々」より。左上が箕作佳吉、右上が穂積陳重。

最近面白いなと思って興味を持っているテーマが、御木本幸吉と、穂積陳重との関係についてです。

(この二人がどういう人物かの基本事項については、リンク先のwikiをご覧ください。)

二人は年齢も近く(御木本は1858年生れ、穂積は1855年生れ)、いろいろ

もっとみる
宝石商もきちんと知ろう。消費者事件の歴史と消費者法

宝石商もきちんと知ろう。消費者事件の歴史と消費者法

最近ではYOUTUBEやオンラインサロン、clubhouseなどさまざまなメディアが登場したため、

過去の消費者事件を知らない世代をターゲットにした「昔あったのと似た手法」を手を変え品を変えさまざまな方法が散見されるようになりました。

私も各ジュエリー関連団体で消費者契約法や景品表示法、特定商取引法の講義やセミナーなども行ってきましたが、これらの法律が制定・改正を繰り返しているのも、「これまで

もっとみる

「ジュエリーと知財~知財で勝ち、知財で負けないように~」感想

JGS(日本宝石協会)オンラインセミナー「知的財産権の国際化」(辻本希世士 弁護士、大阪弁護士会)を受講しました。

ふだん他の法律家の方がどのように説明されるのかは聞く機会がないので、とても貴重な勉強の機会でした。

<講義メモ>○自らが開発したデザイン・ブランドを模倣から守るには?(他社から訴えられないようにするのは?)

○モノマネは原則自由か?⇒原則自由 知財はその例外

Q 社会にとては

もっとみる
「ケシ」ってどこまで呼んでいいの?主要なパール定義ガイドラインの比較

「ケシ」ってどこまで呼んでいいの?主要なパール定義ガイドラインの比較

※本記事は2021年2月11日時点の調査に基づいています。将来各ガイドラインが改正される可能性もあるので常に原典にあたるようにしてください。

instagramを見ていたら、気になる投稿がありました。

ケシパールとは、海洋真珠に限定し、淡水真珠への使用を禁止することを推奨しているそうです。

とありましたので、気になって調べてみました(KJM様いつも楽しい投稿ありがとうございます)。

1 J

もっとみる
民法改正で何が変わった?ジュエリー業の契約書見直しチェックポイント3つ

民法改正で何が変わった?ジュエリー業の契約書見直しチェックポイント3つ

2020年も宝飾業界(ジュエリー、時計、リユースなどなど)の皆様大変お世話になりました。

今年は、約120年ぶりともいわれる民法の債権法分野の大改正が4月に施行されるなど、ジュエリー業界の取引にも大きな影響がありました。

ちょうど年末から年明けにかけて、新たな取引の契約書を交わす場面、または更新の際に契約書の見直しをするという場面も増えてくると思いましたので、

新民法がジュエリーの取引に影響

もっとみる

2021年4月から何が変わる?ジュエリーの価格表示(総額表示義務化へ)

1 消費税転嫁対策特別措置法の適用期限は令和3年3月31日まで消費税が10%になった際にいろいろ話題になったので、もうすでに総額表示に切り替えているという宝飾・時計店も多いかとは思いますが、まだ切り替えが間に合っていないお店もあるようなので、改めて周知いたします。

財務省「消費税における「総額表示方式」の概要とその特例」

https://www.mof.go.jp/tax_policy/sum

もっとみる
ジュエリー展示会・ミネショの万引き対策について

ジュエリー展示会・ミネショの万引き対策について

(ヘッダー画像出典:https://www.freetemplate.jp/attention/626.php )

1 ジュエリー催事での万引き被害今年も何件か、百貨店催事やミネショ等での高額商品の万引き被害の相談が私のもとにすでにありました。

犯人不明の事例では弁護士としては警察(被害届)やAGL(加盟鑑別団体への品触れ)の連絡を繋ぐくらいしかできないので、出店者側も高額品は扱い注意してくだ

もっとみる

ジュエリーの金属アレルギーと製造物責任

ブランド立ち上げ直後に相談が多いのが、

PL保険や保証書などの注意書きについてのお話です。

今回はジュエリーブランドをはじめたばかりの若手ジュエラーが見落としがちなポイントをまとめておきます。

1 ジュエリーの金属アレルギー一番おそらく問題になりやすいのが金属アレルギーですね。

いちばん起こりやすいのがピアスだと思います。指輪は表皮の厚い指につけるので、金属が体内に入りにくいのですが、ピア

もっとみる
ジュエラーなのに、まだ商標取ってないの?

ジュエラーなのに、まだ商標取ってないの?

ジュエリーブランドはもちろん、宝飾小売店や、ジュエリーリモデル業、はたまたルース販売業や買取店であっても、その商品やサービスを他者と区別するための「のれん」が「ブランド」です。

業態にかかわらず、「ブランディング」の重要さにそろそろ気づきはじめた方からのご相談を最近多くいただきます。

商標とは何かや、取得していないとどんなリスクがあるか、などのお話は他に譲るとして、

今回は「商標とらなきゃな

もっとみる

まだ貴金属買取相場で消耗してるの?(リユース広告再考)

※重要!(令和6年4月23日加筆)令和6年4月18日付け消費者庁長官決定にて、このたび古物商も景表法の対象となることになりました!
消費者庁 

該当部分「景品類等の指定の告示の運用基準について」3(4)

以下の記事は2020年10月当時の内容なので十分注意してください。

1 現状の貴金属買取店の誇大広告問題どぎついフォントで、

・どこよりも高く買い取ります!

・なんでも高額買取!

そん

もっとみる

ジュエリーショップの転倒事故防止対策

台風の季節ですね。

雨などで店舗内がすべりやすい状態になると、お客様が来店中に転倒する事故が起きかねません。

今回は飲食店の事例ではありますが、店内で滑って転倒してケガをしたという最新裁判例をもとに、店舗施設の安全性について考えます。

【名古屋地裁平成30年11月27日判決(平成28年(ワ)第5080号 損害賠償請求事件(控訴後和解))自保ジャーナル2069号163頁以下】

事案の概要原告

もっとみる
RJC(責任ある宝飾品協会)のセルフアセスメントで自社のSDGsチェックしてみませんか?

RJC(責任ある宝飾品協会)のセルフアセスメントで自社のSDGsチェックしてみませんか?

みなさんこんにちは。ジュエリーローヤーの新田真之介です。

最近ではジュエリー産業でもSDGsの取り組みに関する話題が増えてきました。

もちろん各社が自社にあった方法で取り組むのが一番なのですが、ある程度取り組みが進んできたら、

「自社の取り組みが、国際的なスタンダードと合っているかな?」

と気になってくるかもしれません。

そんなときは、RJCのセルフアセスメントキットを使ってみることをお

もっとみる
ジュエリー現場で何が変わる?健康保険証を身分確認に使うときの注意点(告知要求制限)

ジュエリー現場で何が変わる?健康保険証を身分確認に使うときの注意点(告知要求制限)

podcast『ジュエリー法務のインクルージョン』でもおしゃべりしていますので、よければ一緒にお聴きください。

来月(2020年10月1日)から、健康保険証を本人確認に使うときは運用が変わるのを知っていましたか??

私も先日リユース業の方から聞いてはじめて知りました(情報提供ありがとうございます!)。

今回は何がどうかわって、それで現場はどうしたらいいか、について調べたこと、考えたことをシェ

もっとみる