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「我が性的成長と大学時代編」(つづく)

 大学に入り、わたしは初めて女性を知った。
 こう書くと非常に簡単に女性と初めて性的経験をすんなりと結んでしまったかのように聞こえるかも知れないが、実はそうではない。
 
 今の時代は、若い人たちは風俗関係の所へ行き簡単に童貞を喪失して来るらしい。もちろん、わたしの同級生や友人にもそういう人はいた。
 わたしは、ロマンチストであったので、片思いの女性との恋が叶い彼女と婚約出来てから性交渉をしたいと、今で言うとドラマのようなことを考えていた。主演は、わたしであり、監督もわたしである。シナリオは片思いの女性との共同制作というところであろう。わたしが、オスカー賞のようなものを頂くとしたら、わたしが主演男優賞で、片思いの子が主演女優賞である。その他の人は端役、エキストラといったところである。
 
 わたしは、大学の文芸部に所属していた。
 
文学・芸術に関心があり、そのことについて、話し合ったり議論したいからであった。別に女性が多く集まるかもしれない、だから、女性との出会いがあるかもというような下心は全くなかった。

 大学へ行くと講義に出る前に荷物を置きに文芸部の部室へ行く。それから講義へ出席し、お昼は、学生食堂か売店で買ったりしていた。時々、文芸部の窓が開いていると、誰かがいるなあ、と話をしに文芸部の部室でお昼を食べた。必ず、行くとワインかビールを飲んでいる先輩たちに勧められ、アルコールを飲んだ。昼から飲むと、すごくまわる。チーズ、生ハムなどのつまみまで買ってあった。
 わたしは、控えめで礼儀正しく、如才なかったので、どの先輩たちからもかわいがられていた。幸せ者だと純粋に思った。
 午後から講義に出、夕方に講義が終わるとまた部室へ行った。これには理由があった。文芸部の部員たちは、アルコールでも飲まなくちゃ素面で文学談義何てできないよ、と斜に構えているところがあり、先輩たちが行きつけのお店へ連れて行ってくれた。みな先輩たちのおごりであった。
 飲んでもわたしは変わらない。生まれつきアルコールに強かったのだろう。
 先輩たちのおかしな大きな作り話が始まる。創作と言えばそれまでだ。
「山手線に飛び降りて電車を止めることはできるけれど、あの楠木(くすのき)の大木を見上げた時、俺は負けたと思ったね」とか、分かるようで、結局は分からない話が多かった。車の免許がない先輩が、「俺は、今、ヘリコプターの免許を取ろうとしているんだ。これからは、自家用ヘリの時代だよ、乗せてやろうか?」とか、ここまで突飛な作り話をされると、自慢話ではないし、ウソつき!とも言えないし、何とも不可解な世界であった。後輩たちは、真剣な顔をしてそれに聞き入っているのだから、どこか異常なのであろう。女子が「ヘリコプター何て話のスケールが大きすぎますよ」と指摘されるとその先輩は、「少し話が大きすぎたかなあ、と笑い、君の分は自分で払えよ」というのであった。彼女は奢ってもらいたいので、「ごめんなさい、わたしそちらの方面は全く知らないで」と謝っていた。

  そういう文芸部に6月の梅雨に入った頃、スレンダーでスタイルの良い女性が入部し来た。
 ふらりと入って来たという感じで、一言、「入部しても良いですか?」と言っただけであった。髪は肩まであり顔は卵形で目がぱっちりとした子だった。白のジーンズが似合う脚の長い子だった。
 わたしは、すぐに惚れてしまった。色っぽい子だと思った。
 その子が入部の手続きが終わり、部室を出ていくと他の女子部員が、わたしの顔をわざとしっかり見ながら、「あの子が好きになったんでしょう?スタイルがいいし、胸だって大きかったじゃない、ああいう子が好きなのね」
という。そういわれても、胸が大きいかどうかなんてそこまで見ていないし返答に困った。馬鹿正直に惚れたの!何て言う勇気はなかったし、そんなことを言ったら部室の女子全員を敵に回すことになる。そうなるとわたしは部室へ行きにくくなるし、まして居心地が悪い。
 新しく部へ入った女性の涼しい顔に惚れてしまったというところが、本当のところだろう。
 わたしは、毎日4回はオナニーをしていた。それだけ、都会は女性の姿が派手で性的に刺激されたからだ。
 朝起きて1回、帰宅後1回、夕食後に1回、夜ベッドの中で1回、それで合計4回だった。20歳のこともあり、精子が作られるスピードが早かったみたいだ。朝起きるともう満タンになっていた。いつも機関銃にフル装備で弾丸、ロケット弾が詰まっている状態だった。
 こんなにオナニーをしていても、女性に惚れるなんて、わたしは何と性欲が強く本能のままに生きているのだろうかと、自慢に思ったり、少し異常かなあ、とおもったりしたが、誰にも言わず秘密にしておいた。
 
 部室で彼女に会った。相変わらず、涼しそな顔をしている。名前は、絵美子と言った。名前まで色っぽく思えて来るのだから、一目ぼれは怖い。
 講義が終わり帰宅するとき、絵美子さんが男性と一緒にいた。梅雨で雨降りが続き、男性の傘に絵美子さんが一緒に入り、大学の門の所に立っていた。簡単に言えば、相合傘なのだが、気が付かなかった。もう、恋敵が現れたかと思っていた。かわいい、個性的な子だから当たり前だろう。それでこそ、わたしが、わざわざ惚れる価値があるとなぜか、自分中心に物事を考えていた。二人は、雨の中で相合傘のまま立ち続けておしゃべりをしていた。
 彼女が、わたしに気づき挨拶をしてくれた。わたしは、その男性を無理やりしかとして、彼女にだけ微笑んだ。
 自宅に帰宅後、いつもより時間をかけ念入りにオナニーをした。

 帰宅した夜、絵美子さんと彼氏のことがどういう関係なのか心配になり、女友達のところに電話した。
 彼女が言うには、他の大学の先輩と交際しているらしいよ、と勝ち誇ったかのように、あなたじゃ絵美子さんとは不釣りあいよと言わんばかりの雰囲気で言われた。
 若い者の恋なんてすぐに終わる、破局は目前だ!と、自分もまだまだ若いのにそう楽観的に考えた。そうでもしないと気がおかしくなりそうだったからである。

雨の降る日の女性

                  つづく・・・
 
    
 
 

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