記事一覧
2023年に公開された受講者による文章一覧
浄土複合ライティング・スクールでは、今年も一年、受講者がライティングに取り組んできました。特に今年度から一年間の基礎コースの修了者を対象として、継続的に文章の執筆と発表を行っていく「実践コース」を開講しました。実践コースの受講者を中心に、外部メディアとも連携しながら、選抜した文章を公開しています。
今年2023年に外部メディアで公開された批評や記事を以下にまとめておきます。
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AMeeTで
展覧会レビュー「走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代」(京都国立近代美術館)
陶芸をめぐるかたちの攻防
松村大地
皿と壺は同じ形をしている。ろくろの上で回る土の上端を絞れば壺に、開いてゆけば皿になると言えるだろう。陶芸制作の要であるろくろは、必然的に円筒の形を作り出す。その形は、器物としての「用」を陶芸作品にもたらしている。
「走泥社再考」展は、1948年に京都を中心に若手陶芸家たちによって結成された走泥社の半世紀にわたる活動のうち、その前半期25年の活動の全貌を紹
クロスレビュー「ダンスダンスレボリューションズ」(京都芸術センター)2/2
矢印はダンスを踊らない
文:各務文歌
京都の街の中心を流れる鴨川は、両岸に整備された遊歩道や平地を持つ水辺として、人々の憩いの場になっている。景色を楽しみながら歩く人、楽器を演奏する若者たち、疾走する自転車、手を繋ぎ散歩するカップル……穏やかな川べりに人は集い、日々ささやかなドラマが繰り広げられている。
今作「ダンスダンスレボリューションズ」の主な舞台として登場する「いつもの場所」も川のほとり
クロスレビュー「ダンスダンスレボリューションズ」(京都芸術センター)1/2
踊る言葉、場が呼び起こすダンス
文:神田恵理
スワンはディディが好き、ディディもスワンのことがきっと好き。それでもふたりは不意にワープしたり、ループしたり、ない過去や不確定なこれからを考えたり……空間も時間も超越するほどすれ違いながらも、言葉とダンスで不器用なコミュニケーションを続ける——。『ダンスダンスレボリューションズ』がどのような公演であったのかをできるだけ正確に描写するために、公演前に二
クロスレビュー「アンディ・ウォーホル・キョウト」(京都市京セラ美術館) 3/3
セルフィ以降のアンディ ── 《ギャングの葬式》と匿名映え
文:中島亮二
ひかえめな鍵盤の小気味よいリズムに複数の声が反響する。高木正勝による楽曲「Andy」(*1)は、大衆に埋もれながら楽天的に居振るまう狂言廻しを思い起こさせる。いわゆる「自撮り」が一般化して久しい私たちにとって、セルフポートレイトを多く残したアンディ・ウォーホルはずいぶんと身近な存在と認識されるのだろう。その意味において、私
クロスレビュー「アンディ・ウォーホル・キョウト」(京都市京セラ美術館) 2/3
引き延ばされる同一性、ドッペルゲンガーとしての「影」
文:よるの木木
黒地に赤、青地に紺、黒地に黄色、右手に葉っぱのような形が浮かぶ、「ANDY WARHOL KYOTO」展で横並びに展示された三作は、どれも「影」と題される。著名人から商品ロゴや事件まで、何を示すのか一見わかりやすいアンディ・ウォーホルの作品のなかでは、ぱっと見なんだかわからない「影」シリーズは異色に見える。
光の角度や場所に
クロスレビュー「アンディ・ウォーホル・キョウト」(京都市京セラ美術館) 1/3
フラットな顔変換——アンディ・ウォーホル《三つのマリリン》
文:中村昌平
まるで観光地やアミューズメントパークで目にする顔はめパネルのような絵だ。「アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO」展の顔ともいうべきこの作品がそんなふうに見えてしまうのは、スマートフォンカメラのシャッター音がパシャパシャと鳴り響くこの会場の雰囲気がどこかの観光スポットを想わせるという、ただそ
オンラインレクチャー「ゲルハルト・リヒター展ができるまで」を開催します
9/17(土)19:00- 桝田倫広さん(東京国立近代美術館主任研究員)によるオンラインレクチャー「ゲルハルト・リヒター展ができるまで」を開催します。パンデミックやウクライナ情勢のさなかに展示はいかにつくられたのでしょうか。リヒター展を深く知る機会となるでしょう。ご参加をお待ちしています。
ゲルハルト・リヒター展ができるまで 講師:桝田 倫広
日 時 2022年9月17日(土) 19:00-21
ロームシアター京都のウェブメディア「Spin-Off」での掲載テキストをまとめました(2021.9-2022.8)
浄土複合ライティング・スクールでは、ロームシアターのウェブメディアSpin-Offにて、修了生がレビューやレポートを執筆・発表するプログラムを継続中です。昨年から一年間で6本の文章が公開されています。以下でこれまでの掲載テキストをまとめました。いずれも力作となっていますので、この機会にぜひご一読いただければ幸いです。
「Sound Around 001」公演評 楽器としての身体|文:足利大輔
夢と記憶の迷宮——森村泰昌 「ワタシの迷宮劇場」展レビュー
吉田理紗
5つの門からひとつを選ぶ。門の横幅は人がひとり、やっと通れるほどしかない。「だぶらかしの門」から、足を踏み入れる。展示室全体は無数の水色のカーテンで仕切られ、ポラロイド作品が掛かっている。どこからか物語の朗読と電車が走る音が聞こえてきて、その音の正体を探しにゆくが、道に迷ってしまう。通常、美術館で展覧会を見るときは、鑑賞の順路が設けられ、鑑賞者は企画側の意図に沿って視線も動きも誘導され