浄土複合スクール

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浄土複合スクール関連の情報を発信します。 浄土複合→https://jodofukugoh.com 浄土複合スクール→https://jodofukugoh.com/school/

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    Jodo Journal 5 [2024 SPRING]

    *4/23(火)-25(木)は都合により発送作業を停止しています。ご注意ください。--アートとライティングが交差する芸術誌『Jodo Journal』第5号。巻頭鼎談「かたちを見る、書く、つくる」(千葉雅也+山内朋樹+池田剛介)、レクチャーシリーズ「書くことのプラクティス」(細馬宏通 百瀬文 佐々木敦)、対談「淡々と作り、書くことのラディカリズム」(星野太+池田剛介)を通じて、書くことや作ることの多様な実践をめぐって考える。特集「造形思考の現在」では、マティスやキュビスム、現代作家の作品制作から、料理することや空間をリフォームすることまで含め、「作ること」の現在を多角的に検討する。また近年多く見られるようになったリサーチに基づく作品をめぐるクレア・ビショップによる論稿「情報オーバーロード」を特別掲載。*オンラインストア「浄土複合の本棚」でのご購入特典として、京都在住のアーティストqpさんの写真によるオリジナルクリアファイルを進呈します。本特典は、なくなり次第終了とさせていただきます。発行:浄土複合本体 1500 円+税A5変形版/並製/160頁刊行:2024年4月10日ISBN:978-4-9911963-3-1--[巻頭鼎談]千葉雅也+山内朋樹+池田剛介「かたちを見る、書く、つくる」[レクチャーシリーズ] 細馬宏通「未来を知らない人の生を、いかに書くか」百瀬文「エッセイ、あるいは裂け目の放置」佐々木敦「批評から「ことば」へ」[対談] 星野太+池田剛介「淡々と作り、書くことのラディカリズム」[特別掲載]リサーチ・ベースド・アートとは何か?クレア・ビショップ「情報オーバーロード」 訳:青木識至+原田遠[特集] 造形思考の現在マティスの切り紙絵、その特異な時空間|大久保恭子手は思考/試行する|THE COPY TRAVELERS 谷澤紗和子モノたちが反乱する舞台|ウィチャヤ・アータマート/For What Theatre「ジャグル&ハイド」もっとよくみるために——上演から観客を再考する|山川陸 レトロニム村を形づくること——バイソンの現在地点|バイソンギャラリー食べること/なおすことの再考——保存修復のエコロジー|田口かおりキュビスムのタッチ その理論と実践|松井裕美…
    ¥1,650
    浄土複合の本棚
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    連続講座:マティス、その平明な多層性(対面受講+録画)

    お支払いいただき、受講お申し込み完了となります。ご記入のメールアドレスにご連絡差し上げます。--国立新美術館で大規模なマティス展が開催される今、いかにマティスを視ることが可能でしょうか。私たちの感覚を大いに刺激する、その鮮やかな色彩や大胆なフォルムには、一見したところの平明な印象に反する多層性が宿っているのではないか——こうした問題意識のもと、画家や作品に複数の角度から光を当てながら、マティスを広く深く捉えなおすための連続講座を開催します。初回のイントロダクションではマティスをめぐる基礎知識の共有を行い、その後の講座は入門に留まることなく、さらに踏み込んだ内容となります。本講座がマティスを通じて絵画や芸術を、より深く見て、考えていくための機会となれば幸いです。追加レクチャー決定!:5/25(土)19:30-21:00 平芳幸浩さん(美術史家、京都工芸繊維大学)による「マティスとデュシャン」をめぐるレクチャーを開講します。--浄土複合スクール連続講座マティス、その平明な多層性講師:大久保恭子 田口かおり 平芳幸浩 松浦寿夫 池田剛介2024年 4/20, 4/27, 5/11, 5/18, 5/25|土曜日 19:30-21:00浄土複合スクール京都市左京区鹿ヶ谷法然院西町30-1受講費7,800円(税込)定員15名*会場、オンライン受講ともに、レクチャー後に5月末までご覧いただける録画を共有します。--各回概要4/20(土)講師:池田剛介イントロダクション:マティスやその同時代の芸術を大掴みするための基礎知識の共有を行います。20世紀初頭から戦後までにわたる画家の展開を紐解きながら、特に晩年に集中的に取り組まれた切り紙絵について、その空間的な広がりとディテールの双方を通じて考えます。4/27(土)講師:大久保恭子マティスは1930年にタヒチ旅行をし、当地の伝統的な樹皮布タパと近代以降の布ティファイファイを持ち帰った。それはのちに《花と果実》1952-53年、《仮面のある大装飾》1953年など、切り紙絵のモティーフとなる。当時オセアニアは文明の始原に位置付けられ、マティスも関わったプリミティヴィスムという他者観に連なっていた。マティスのプリミティヴィスムとオセアニアの関わりを切り紙絵の制作を通して考える。5/11(土)講師:松浦寿夫間隔化と配置:マティスはその制作の初期の段階で一時的に分割主義的な点描という画法を採用したが、この分割主義の体系への本源的な違和感から、この画法を放棄することになった。隣接する筆触の視覚混合の原理に依拠するこの体系において、筆触の隣接性はきわめて重要な役割をはたすが、マティスの場合、この方法に依拠した制作においてさえ、筆触相互の間には多くの場合、間隔が置かれている。あたかも視覚混合への抵抗態として作用するこの間隔は隣接する筆触との混合を回避し、その結果として、個々の筆触は自律的な色彩として出現することになる。また、この間隔化にともなう色彩の自律化は同時に筆触の配置の問題を提起することになる。そして、カット・アウトの作品群を自律的な色彩の間隔化と配置の問題として思考することもできるだろう。5/18(土)講師:田口かおり「切り紙絵」の経年変化と保存修復──《スイミング・プール》再展示の射程を手がかりに:アンリ・マティスの作品群をめぐる保存修復学分野からのアプローチは、光学的な手法を採用した描画技法の解明や彩色層の分析などをはじめ、各国においてさかんに行われ今に至ります。そのなかで特殊な位置を占めているのが、いわゆる「切り紙絵(Cut-outs)」の検討でしょう。紙素材の軽量さと色彩の多様性は、闘病生活中だったマティスにふたたび自由闊達な表現技法をもたらしましたが、皮肉なことにこの素材選択そのものが、後世においていくつかの問題を引き起こすことになりました。布の酸化、紫外線による紙の変色、大気汚染による劣化──「切り紙で空間を装飾する」という手法ゆえに浮上した諸問題に、保存修復はどのように対峙したのでしょうか。《スイミング・プール》(1952年 ニューヨーク近代美術館所蔵)の修復と再展示のプロジェクトを手がかりに、再考を試みたいと思います。--講師プロフィール大久保恭子|おおくぼ・きょうこ美術史家。博士(文学)。京都橘大学教授。専門は西洋現代美術史。二〇世紀フランスの他者観を含む芸術的諸問題を検討。著書に『〈プリミティヴィスム〉と〈プリミティヴィズム〉——文化の境界をめぐるダイナミズム』(三元社、2009年)、『アンリ・マティス『ジャズ』再考——芸術的書物における切り紙絵と文字のインタラクション』(三元社、2016年)、編著に『戦争と文化——第二次世界大戦期のフランスをめぐる芸術の位相』(三元社、2022年)などがある。田口かおり|たぐち・かおり保存修復家、京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。専門は絵画や現代美術の保存修復、展覧会コンサベーション。著書に『保存修復の技法と思想——古典芸術、ルネサンス絵画から現代アートまで』(平凡社、2015年)、共著に『タイムライン——時間に触れるためのいくつかの方法』(this and that、2021年)などがある。松浦寿夫|まつうら・ひさお1954年東京都生まれ。多摩美術大学客員教授。フランス政府給費留学生としてパリ第一大学に留学。東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。なびす画廊、ガレリア・フィナルテ、ギャラリー21yo-jなどで個展を継続的に行う。主な共著書に『モデルニテ3×3』(思潮社、1998年)、『絵画の準備を!』(朝日出版社、2005年)、『絵画との契約:山田正亮再考』(水声社、2016年)など。共同編集として『モダニズムのハード・コア──現代美術批評の地平』(太田出版、1995年)、『Art Trace Press』(Art Trace、2011年より刊行)などがある。池田剛介|いけだ・こうすけ美術作家。東京藝術大学大学院美術研究科修了。物質の変化やエネルギーへの関心を軸とした作品を展開し、並行して批評誌などでの執筆を行う。2019年より京都にてアートスペース「浄土複合」をディレクション。主な展覧会に「『新しい成長』の提起」(東京藝術大学大学美術館、東京、2021年)、「あいちトリエンナーレ2013」(愛知、2013年)など。著書に『失われたモノを求めて』(夕書房、2019年)。京都教育大学非常勤講師。
    ¥7,800
    浄土複合の本棚
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    連続講座:マティス、その平明な多層性(オンライン受講+録画)

    お支払いいただき、受講お申し込み完了となります。ご記入のメールアドレスにご連絡差し上げます。--国立新美術館で大規模なマティス展が開催される今、いかにマティスを視ることが可能でしょうか。私たちの感覚を大いに刺激する、その鮮やかな色彩や大胆なフォルムには、一見したところの平明な印象に反する多層性が宿っているのではないか——こうした問題意識のもと、画家や作品に複数の角度から光を当てながら、マティスを広く深く捉えなおすための連続講座を開催します。初回のイントロダクションではマティスをめぐる基礎知識の共有を行い、その後の講座は入門に留まることなく、さらに踏み込んだ内容となります。本講座がマティスを通じて絵画や芸術を、より深く見て、考えていくための機会となれば幸いです。追加レクチャー決定!:5/25(土)19:30-21:00 平芳幸浩さん(美術史家、京都工芸繊維大学)による「マティスとデュシャン」をめぐるレクチャーを開講します。--浄土複合スクール連続講座マティス、その平明な多層性講師:大久保恭子 田口かおり 平芳幸浩 松浦寿夫 池田剛介2024年 4/20, 4/27, 5/11, 5/18, 5/25|土曜日 19:30-21:00浄土複合スクール京都市左京区鹿ヶ谷法然院西町30-1受講費オンライン 7,800円(税込)*Zoom meetingによるオンライン配信を行います。*会場、オンライン受講ともに、レクチャー後に5月末までご覧いただける録画を共有します。--各回概要4/20(土)講師:池田剛介イントロダクション:マティスやその同時代の芸術を大掴みするための基礎知識の共有を行います。20世紀初頭から戦後までにわたる画家の展開を紐解きながら、特に晩年に集中的に取り組まれた切り紙絵について、その空間的な広がりとディテールの双方を通じて考えます。4/27(土)講師:大久保恭子マティスは1930年にタヒチ旅行をし、当地の伝統的な樹皮布タパと近代以降の布ティファイファイを持ち帰った。それはのちに《花と果実》1952-53年、《仮面のある大装飾》1953年など、切り紙絵のモティーフとなる。当時オセアニアは文明の始原に位置付けられ、マティスも関わったプリミティヴィスムという他者観に連なっていた。マティスのプリミティヴィスムとオセアニアの関わりを切り紙絵の制作を通して考える。5/11(土)講師:松浦寿夫間隔化と配置:マティスはその制作の初期の段階で一時的に分割主義的な点描という画法を採用したが、この分割主義の体系への本源的な違和感から、この画法を放棄することになった。隣接する筆触の視覚混合の原理に依拠するこの体系において、筆触の隣接性はきわめて重要な役割をはたすが、マティスの場合、この方法に依拠した制作においてさえ、筆触相互の間には多くの場合、間隔が置かれている。あたかも視覚混合への抵抗態として作用するこの間隔は隣接する筆触との混合を回避し、その結果として、個々の筆触は自律的な色彩として出現することになる。また、この間隔化にともなう色彩の自律化は同時に筆触の配置の問題を提起することになる。そして、カット・アウトの作品群を自律的な色彩の間隔化と配置の問題として思考することもできるだろう。5/18(土)講師:田口かおり「切り紙絵」の経年変化と保存修復──《スイミング・プール》再展示の射程を手がかりに:アンリ・マティスの作品群をめぐる保存修復学分野からのアプローチは、光学的な手法を採用した描画技法の解明や彩色層の分析などをはじめ、各国においてさかんに行われ今に至ります。そのなかで特殊な位置を占めているのが、いわゆる「切り紙絵(Cut-outs)」の検討でしょう。紙素材の軽量さと色彩の多様性は、闘病生活中だったマティスにふたたび自由闊達な表現技法をもたらしましたが、皮肉なことにこの素材選択そのものが、後世においていくつかの問題を引き起こすことになりました。布の酸化、紫外線による紙の変色、大気汚染による劣化──「切り紙で空間を装飾する」という手法ゆえに浮上した諸問題に、保存修復はどのように対峙したのでしょうか。《スイミング・プール》(1952年 ニューヨーク近代美術館所蔵)の修復と再展示のプロジェクトを手がかりに、再考を試みたいと思います。--講師プロフィール大久保恭子|おおくぼ・きょうこ美術史家。博士(文学)。京都橘大学教授。専門は西洋現代美術史。二〇世紀フランスの他者観を含む芸術的諸問題を検討。著書に『〈プリミティヴィスム〉と〈プリミティヴィズム〉——文化の境界をめぐるダイナミズム』(三元社、2009年)、『アンリ・マティス『ジャズ』再考——芸術的書物における切り紙絵と文字のインタラクション』(三元社、2016年)、編著に『戦争と文化——第二次世界大戦期のフランスをめぐる芸術の位相』(三元社、2022年)などがある。田口かおり|たぐち・かおり保存修復家、京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。専門は絵画や現代美術の保存修復、展覧会コンサベーション。著書に『保存修復の技法と思想——古典芸術、ルネサンス絵画から現代アートまで』(平凡社、2015年)、共著に『タイムライン——時間に触れるためのいくつかの方法』(this and that、2021年)などがある。松浦寿夫|まつうら・ひさお1954年東京都生まれ。多摩美術大学客員教授。フランス政府給費留学生としてパリ第一大学に留学。東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。なびす画廊、ガレリア・フィナルテ、ギャラリー21yo-jなどで個展を継続的に行う。主な共著書に『モデルニテ3×3』(思潮社、1998年)、『絵画の準備を!』(朝日出版社、2005年)、『絵画との契約:山田正亮再考』(水声社、2016年)など。共同編集として『モダニズムのハード・コア──現代美術批評の地平』(太田出版、1995年)、『Art Trace Press』(Art Trace、2011年より刊行)などがある。池田剛介|いけだ・こうすけ美術作家。東京藝術大学大学院美術研究科修了。物質の変化やエネルギーへの関心を軸とした作品を展開し、並行して批評誌などでの執筆を行う。2019年より京都にてアートスペース「浄土複合」をディレクション。主な展覧会に「『新しい成長』の提起」(東京藝術大学大学美術館、東京、2021年)、「あいちトリエンナーレ2013」(愛知、2013年)など。著書に『失われたモノを求めて』(夕書房、2019年)。京都教育大学非常勤講師。
    ¥7,800
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    Jodo Journal 5 [2024 SPRING]

    *4/23(火)-25(木)は都合により発送作業を停止しています。ご注意ください。--アートとライティングが交差する芸術誌『Jodo Journal』第5号。巻頭鼎談「かたちを見る、書く、つくる」(千葉雅也+山内朋樹+池田剛介)、レクチャーシリーズ「書くことのプラクティス」(細馬宏通 百瀬文 佐々木敦)、対談「淡々と作り、書くことのラディカリズム」(星野太+池田剛介)を通じて、書くことや作ることの多様な実践をめぐって考える。特集「造形思考の現在」では、マティスやキュビスム、現代作家の作品制作から、料理することや空間をリフォームすることまで含め、「作ること」の現在を多角的に検討する。また近年多く見られるようになったリサーチに基づく作品をめぐるクレア・ビショップによる論稿「情報オーバーロード」を特別掲載。*オンラインストア「浄土複合の本棚」でのご購入特典として、京都在住のアーティストqpさんの写真によるオリジナルクリアファイルを進呈します。本特典は、なくなり次第終了とさせていただきます。発行:浄土複合本体 1500 円+税A5変形版/並製/160頁刊行:2024年4月10日ISBN:978-4-9911963-3-1--[巻頭鼎談]千葉雅也+山内朋樹+池田剛介「かたちを見る、書く、つくる」[レクチャーシリーズ] 細馬宏通「未来を知らない人の生を、いかに書くか」百瀬文「エッセイ、あるいは裂け目の放置」佐々木敦「批評から「ことば」へ」[対談] 星野太+池田剛介「淡々と作り、書くことのラディカリズム」[特別掲載]リサーチ・ベースド・アートとは何か?クレア・ビショップ「情報オーバーロード」 訳:青木識至+原田遠[特集] 造形思考の現在マティスの切り紙絵、その特異な時空間|大久保恭子手は思考/試行する|THE COPY TRAVELERS 谷澤紗和子モノたちが反乱する舞台|ウィチャヤ・アータマート/For What Theatre「ジャグル&ハイド」もっとよくみるために——上演から観客を再考する|山川陸 レトロニム村を形づくること——バイソンの現在地点|バイソンギャラリー食べること/なおすことの再考——保存修復のエコロジー|田口かおりキュビスムのタッチ その理論と実践|松井裕美…
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    連続講座:マティス、その平明な多層性(対面受講+録画)

    お支払いいただき、受講お申し込み完了となります。ご記入のメールアドレスにご連絡差し上げます。--国立新美術館で大規模なマティス展が開催される今、いかにマティスを視ることが可能でしょうか。私たちの感覚を大いに刺激する、その鮮やかな色彩や大胆なフォルムには、一見したところの平明な印象に反する多層性が宿っているのではないか——こうした問題意識のもと、画家や作品に複数の角度から光を当てながら、マティスを広く深く捉えなおすための連続講座を開催します。初回のイントロダクションではマティスをめぐる基礎知識の共有を行い、その後の講座は入門に留まることなく、さらに踏み込んだ内容となります。本講座がマティスを通じて絵画や芸術を、より深く見て、考えていくための機会となれば幸いです。追加レクチャー決定!:5/25(土)19:30-21:00 平芳幸浩さん(美術史家、京都工芸繊維大学)による「マティスとデュシャン」をめぐるレクチャーを開講します。--浄土複合スクール連続講座マティス、その平明な多層性講師:大久保恭子 田口かおり 平芳幸浩 松浦寿夫 池田剛介2024年 4/20, 4/27, 5/11, 5/18, 5/25|土曜日 19:30-21:00浄土複合スクール京都市左京区鹿ヶ谷法然院西町30-1受講費7,800円(税込)定員15名*会場、オンライン受講ともに、レクチャー後に5月末までご覧いただける録画を共有します。--各回概要4/20(土)講師:池田剛介イントロダクション:マティスやその同時代の芸術を大掴みするための基礎知識の共有を行います。20世紀初頭から戦後までにわたる画家の展開を紐解きながら、特に晩年に集中的に取り組まれた切り紙絵について、その空間的な広がりとディテールの双方を通じて考えます。4/27(土)講師:大久保恭子マティスは1930年にタヒチ旅行をし、当地の伝統的な樹皮布タパと近代以降の布ティファイファイを持ち帰った。それはのちに《花と果実》1952-53年、《仮面のある大装飾》1953年など、切り紙絵のモティーフとなる。当時オセアニアは文明の始原に位置付けられ、マティスも関わったプリミティヴィスムという他者観に連なっていた。マティスのプリミティヴィスムとオセアニアの関わりを切り紙絵の制作を通して考える。5/11(土)講師:松浦寿夫間隔化と配置:マティスはその制作の初期の段階で一時的に分割主義的な点描という画法を採用したが、この分割主義の体系への本源的な違和感から、この画法を放棄することになった。隣接する筆触の視覚混合の原理に依拠するこの体系において、筆触の隣接性はきわめて重要な役割をはたすが、マティスの場合、この方法に依拠した制作においてさえ、筆触相互の間には多くの場合、間隔が置かれている。あたかも視覚混合への抵抗態として作用するこの間隔は隣接する筆触との混合を回避し、その結果として、個々の筆触は自律的な色彩として出現することになる。また、この間隔化にともなう色彩の自律化は同時に筆触の配置の問題を提起することになる。そして、カット・アウトの作品群を自律的な色彩の間隔化と配置の問題として思考することもできるだろう。5/18(土)講師:田口かおり「切り紙絵」の経年変化と保存修復──《スイミング・プール》再展示の射程を手がかりに:アンリ・マティスの作品群をめぐる保存修復学分野からのアプローチは、光学的な手法を採用した描画技法の解明や彩色層の分析などをはじめ、各国においてさかんに行われ今に至ります。そのなかで特殊な位置を占めているのが、いわゆる「切り紙絵(Cut-outs)」の検討でしょう。紙素材の軽量さと色彩の多様性は、闘病生活中だったマティスにふたたび自由闊達な表現技法をもたらしましたが、皮肉なことにこの素材選択そのものが、後世においていくつかの問題を引き起こすことになりました。布の酸化、紫外線による紙の変色、大気汚染による劣化──「切り紙で空間を装飾する」という手法ゆえに浮上した諸問題に、保存修復はどのように対峙したのでしょうか。《スイミング・プール》(1952年 ニューヨーク近代美術館所蔵)の修復と再展示のプロジェクトを手がかりに、再考を試みたいと思います。--講師プロフィール大久保恭子|おおくぼ・きょうこ美術史家。博士(文学)。京都橘大学教授。専門は西洋現代美術史。二〇世紀フランスの他者観を含む芸術的諸問題を検討。著書に『〈プリミティヴィスム〉と〈プリミティヴィズム〉——文化の境界をめぐるダイナミズム』(三元社、2009年)、『アンリ・マティス『ジャズ』再考——芸術的書物における切り紙絵と文字のインタラクション』(三元社、2016年)、編著に『戦争と文化——第二次世界大戦期のフランスをめぐる芸術の位相』(三元社、2022年)などがある。田口かおり|たぐち・かおり保存修復家、京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。専門は絵画や現代美術の保存修復、展覧会コンサベーション。著書に『保存修復の技法と思想——古典芸術、ルネサンス絵画から現代アートまで』(平凡社、2015年)、共著に『タイムライン——時間に触れるためのいくつかの方法』(this and that、2021年)などがある。松浦寿夫|まつうら・ひさお1954年東京都生まれ。多摩美術大学客員教授。フランス政府給費留学生としてパリ第一大学に留学。東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。なびす画廊、ガレリア・フィナルテ、ギャラリー21yo-jなどで個展を継続的に行う。主な共著書に『モデルニテ3×3』(思潮社、1998年)、『絵画の準備を!』(朝日出版社、2005年)、『絵画との契約:山田正亮再考』(水声社、2016年)など。共同編集として『モダニズムのハード・コア──現代美術批評の地平』(太田出版、1995年)、『Art Trace Press』(Art Trace、2011年より刊行)などがある。池田剛介|いけだ・こうすけ美術作家。東京藝術大学大学院美術研究科修了。物質の変化やエネルギーへの関心を軸とした作品を展開し、並行して批評誌などでの執筆を行う。2019年より京都にてアートスペース「浄土複合」をディレクション。主な展覧会に「『新しい成長』の提起」(東京藝術大学大学美術館、東京、2021年)、「あいちトリエンナーレ2013」(愛知、2013年)など。著書に『失われたモノを求めて』(夕書房、2019年)。京都教育大学非常勤講師。
    ¥7,800
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    連続講座:マティス、その平明な多層性(オンライン受講+録画)

    お支払いいただき、受講お申し込み完了となります。ご記入のメールアドレスにご連絡差し上げます。--国立新美術館で大規模なマティス展が開催される今、いかにマティスを視ることが可能でしょうか。私たちの感覚を大いに刺激する、その鮮やかな色彩や大胆なフォルムには、一見したところの平明な印象に反する多層性が宿っているのではないか——こうした問題意識のもと、画家や作品に複数の角度から光を当てながら、マティスを広く深く捉えなおすための連続講座を開催します。初回のイントロダクションではマティスをめぐる基礎知識の共有を行い、その後の講座は入門に留まることなく、さらに踏み込んだ内容となります。本講座がマティスを通じて絵画や芸術を、より深く見て、考えていくための機会となれば幸いです。追加レクチャー決定!:5/25(土)19:30-21:00 平芳幸浩さん(美術史家、京都工芸繊維大学)による「マティスとデュシャン」をめぐるレクチャーを開講します。--浄土複合スクール連続講座マティス、その平明な多層性講師:大久保恭子 田口かおり 平芳幸浩 松浦寿夫 池田剛介2024年 4/20, 4/27, 5/11, 5/18, 5/25|土曜日 19:30-21:00浄土複合スクール京都市左京区鹿ヶ谷法然院西町30-1受講費オンライン 7,800円(税込)*Zoom meetingによるオンライン配信を行います。*会場、オンライン受講ともに、レクチャー後に5月末までご覧いただける録画を共有します。--各回概要4/20(土)講師:池田剛介イントロダクション:マティスやその同時代の芸術を大掴みするための基礎知識の共有を行います。20世紀初頭から戦後までにわたる画家の展開を紐解きながら、特に晩年に集中的に取り組まれた切り紙絵について、その空間的な広がりとディテールの双方を通じて考えます。4/27(土)講師:大久保恭子マティスは1930年にタヒチ旅行をし、当地の伝統的な樹皮布タパと近代以降の布ティファイファイを持ち帰った。それはのちに《花と果実》1952-53年、《仮面のある大装飾》1953年など、切り紙絵のモティーフとなる。当時オセアニアは文明の始原に位置付けられ、マティスも関わったプリミティヴィスムという他者観に連なっていた。マティスのプリミティヴィスムとオセアニアの関わりを切り紙絵の制作を通して考える。5/11(土)講師:松浦寿夫間隔化と配置:マティスはその制作の初期の段階で一時的に分割主義的な点描という画法を採用したが、この分割主義の体系への本源的な違和感から、この画法を放棄することになった。隣接する筆触の視覚混合の原理に依拠するこの体系において、筆触の隣接性はきわめて重要な役割をはたすが、マティスの場合、この方法に依拠した制作においてさえ、筆触相互の間には多くの場合、間隔が置かれている。あたかも視覚混合への抵抗態として作用するこの間隔は隣接する筆触との混合を回避し、その結果として、個々の筆触は自律的な色彩として出現することになる。また、この間隔化にともなう色彩の自律化は同時に筆触の配置の問題を提起することになる。そして、カット・アウトの作品群を自律的な色彩の間隔化と配置の問題として思考することもできるだろう。5/18(土)講師:田口かおり「切り紙絵」の経年変化と保存修復──《スイミング・プール》再展示の射程を手がかりに:アンリ・マティスの作品群をめぐる保存修復学分野からのアプローチは、光学的な手法を採用した描画技法の解明や彩色層の分析などをはじめ、各国においてさかんに行われ今に至ります。そのなかで特殊な位置を占めているのが、いわゆる「切り紙絵(Cut-outs)」の検討でしょう。紙素材の軽量さと色彩の多様性は、闘病生活中だったマティスにふたたび自由闊達な表現技法をもたらしましたが、皮肉なことにこの素材選択そのものが、後世においていくつかの問題を引き起こすことになりました。布の酸化、紫外線による紙の変色、大気汚染による劣化──「切り紙で空間を装飾する」という手法ゆえに浮上した諸問題に、保存修復はどのように対峙したのでしょうか。《スイミング・プール》(1952年 ニューヨーク近代美術館所蔵)の修復と再展示のプロジェクトを手がかりに、再考を試みたいと思います。--講師プロフィール大久保恭子|おおくぼ・きょうこ美術史家。博士(文学)。京都橘大学教授。専門は西洋現代美術史。二〇世紀フランスの他者観を含む芸術的諸問題を検討。著書に『〈プリミティヴィスム〉と〈プリミティヴィズム〉——文化の境界をめぐるダイナミズム』(三元社、2009年)、『アンリ・マティス『ジャズ』再考——芸術的書物における切り紙絵と文字のインタラクション』(三元社、2016年)、編著に『戦争と文化——第二次世界大戦期のフランスをめぐる芸術の位相』(三元社、2022年)などがある。田口かおり|たぐち・かおり保存修復家、京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。専門は絵画や現代美術の保存修復、展覧会コンサベーション。著書に『保存修復の技法と思想——古典芸術、ルネサンス絵画から現代アートまで』(平凡社、2015年)、共著に『タイムライン——時間に触れるためのいくつかの方法』(this and that、2021年)などがある。松浦寿夫|まつうら・ひさお1954年東京都生まれ。多摩美術大学客員教授。フランス政府給費留学生としてパリ第一大学に留学。東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。なびす画廊、ガレリア・フィナルテ、ギャラリー21yo-jなどで個展を継続的に行う。主な共著書に『モデルニテ3×3』(思潮社、1998年)、『絵画の準備を!』(朝日出版社、2005年)、『絵画との契約:山田正亮再考』(水声社、2016年)など。共同編集として『モダニズムのハード・コア──現代美術批評の地平』(太田出版、1995年)、『Art Trace Press』(Art Trace、2011年より刊行)などがある。池田剛介|いけだ・こうすけ美術作家。東京藝術大学大学院美術研究科修了。物質の変化やエネルギーへの関心を軸とした作品を展開し、並行して批評誌などでの執筆を行う。2019年より京都にてアートスペース「浄土複合」をディレクション。主な展覧会に「『新しい成長』の提起」(東京藝術大学大学美術館、東京、2021年)、「あいちトリエンナーレ2013」(愛知、2013年)など。著書に『失われたモノを求めて』(夕書房、2019年)。京都教育大学非常勤講師。
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最近の記事

2023年に公開された受講者による文章一覧

浄土複合ライティング・スクールでは、今年も一年、受講者がライティングに取り組んできました。特に今年度から一年間の基礎コースの修了者を対象として、継続的に文章の執筆と発表を行っていく「実践コース」を開講しました。実践コースの受講者を中心に、外部メディアとも連携しながら、選抜した文章を公開しています。 今年2023年に外部メディアで公開された批評や記事を以下にまとめておきます。 -- AMeeTでの掲載 https://www.ameet.jp/ ■懶い「アリーナの時間、そ

    • 展覧会レビュー「走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代」(京都国立近代美術館)

      陶芸をめぐるかたちの攻防  松村大地 皿と壺は同じ形をしている。ろくろの上で回る土の上端を絞れば壺に、開いてゆけば皿になると言えるだろう。陶芸制作の要であるろくろは、必然的に円筒の形を作り出す。その形は、器物としての「用」を陶芸作品にもたらしている。 「走泥社再考」展は、1948年に京都を中心に若手陶芸家たちによって結成された走泥社の半世紀にわたる活動のうち、その前半期25年の活動の全貌を紹介する。本展は走泥社そのものに加えて四耕会や生け花など、周囲との繋がりにも言及す

      • 作品評|佐々木健《授乳室のためのドローイング》

        授乳室という庭 羽渕徹 キクイモ、アヤメ、ホトトギス、マツバギク、ヒメツルソバ。さらに奥に進むと、アサガオ、ウメ、ナンテン、サルビア、ハナビシソウ、ツバキ、レンギョウ、ハナトラノオ、アガパンサス、センダンと、多様な植物が壁面に直接描かれている──佐々木健の《授乳室のためのドローイング》(豊田市美術館 授乳室、2023年)である。授乳室は、使用中でなければ誰でも入室自由だ。 佐々木と同じく、ウィリアム・モリスもまた壁に植物を描いた。いや、正確には直接壁に描くことはなかった

        • クロスレビュー「ダンスダンスレボリューションズ」(京都芸術センター)2/2

          矢印はダンスを踊らない 文:各務文歌 京都の街の中心を流れる鴨川は、両岸に整備された遊歩道や平地を持つ水辺として、人々の憩いの場になっている。景色を楽しみながら歩く人、楽器を演奏する若者たち、疾走する自転車、手を繋ぎ散歩するカップル……穏やかな川べりに人は集い、日々ささやかなドラマが繰り広げられている。 今作「ダンスダンスレボリューションズ」の主な舞台として登場する「いつもの場所」も川のほとりだ。かつて発泡スチロール製の大きな「矢印」を宇治川に浮かべ中之島まで下るという前

        2023年に公開された受講者による文章一覧

          クロスレビュー「ダンスダンスレボリューションズ」(京都芸術センター)1/2

          踊る言葉、場が呼び起こすダンス 文:神田恵理 スワンはディディが好き、ディディもスワンのことがきっと好き。それでもふたりは不意にワープしたり、ループしたり、ない過去や不確定なこれからを考えたり……空間も時間も超越するほどすれ違いながらも、言葉とダンスで不器用なコミュニケーションを続ける——。『ダンスダンスレボリューションズ』がどのような公演であったのかをできるだけ正確に描写するために、公演前に二度行われたオープンリハーサルの様子をふまえながら公演の詳細に迫ってみたい。 中

          クロスレビュー「ダンスダンスレボリューションズ」(京都芸術センター)1/2

          Review:「すべて未知の世界へーGUTAI 分化と統合」(大阪中之島美術館、国立国際美術館)

          切り裂いてなお、戸惑う──白髪富士子と具体 文:懶い 早くも1955年に制作されていた田中敦子の《作品(ベル)》で大阪中之島美術館の展示は幕を開ける。来場者がスイッチを押しているあいだ、高らかなベルが鳴り響く。同年の第1回具体美術展でも展示され、1階、2階にまたがる会場を音で駆け巡ったこの作品の持つ性質を、白髪富士子はメンバー間の相互批評において次のように的確に言い当てている。 「やかましいベルの音は、すきなだけ、むさぼりたいだけのものをむさぼらせてくれる。いくらとっても

          Review:「すべて未知の世界へーGUTAI 分化と統合」(大阪中之島美術館、国立国際美術館)

          新年のご挨拶&「すべて未知の世界へ ー GUTAI 分化と統合」展レビュー寄稿のお知らせ

          2023年、明けましておめでとうございます。 浄土複合は今年5年目を迎えます。 このnoteでは引き続き浄土複合ライティング・スクール関連の文章やお知らせを発信していければと思います。今年はより活発に更新したいですね… -- さて大阪のアートを伝えるウェブサイト「PaparC」に、「すべて未知の世界へ ー GUTAI 分化と統合」展(大阪中之島美術館、国立国際美術館)のレビューを寄稿しました。田中敦子、正延正俊、白髪富士子、村上三郎に注目しながら、アクションや物質性とは異な

          新年のご挨拶&「すべて未知の世界へ ー GUTAI 分化と統合」展レビュー寄稿のお知らせ

          クロスレビュー「アンディ・ウォーホル・キョウト」(京都市京セラ美術館) 3/3

          セルフィ以降のアンディ ── 《ギャングの葬式》と匿名映え 文:中島亮二 ひかえめな鍵盤の小気味よいリズムに複数の声が反響する。高木正勝による楽曲「Andy」(*1)は、大衆に埋もれながら楽天的に居振るまう狂言廻しを思い起こさせる。いわゆる「自撮り」が一般化して久しい私たちにとって、セルフポートレイトを多く残したアンディ・ウォーホルはずいぶんと身近な存在と認識されるのだろう。その意味において、私たちはみなすでにウォーホル、というよりもアンディに近い。「だれでも15分だけ有名

          クロスレビュー「アンディ・ウォーホル・キョウト」(京都市京セラ美術館) 3/3

          クロスレビュー「アンディ・ウォーホル・キョウト」(京都市京セラ美術館) 2/3

          引き延ばされる同一性、ドッペルゲンガーとしての「影」 文:よるの木木 黒地に赤、青地に紺、黒地に黄色、右手に葉っぱのような形が浮かぶ、「ANDY WARHOL KYOTO」展で横並びに展示された三作は、どれも「影」と題される。著名人から商品ロゴや事件まで、何を示すのか一見わかりやすいアンディ・ウォーホルの作品のなかでは、ぱっと見なんだかわからない「影」シリーズは異色に見える。 光の角度や場所によって、伸縮し、濃淡を変え、形がゆがむ影という存在は、自分の写しであるはずなのに

          クロスレビュー「アンディ・ウォーホル・キョウト」(京都市京セラ美術館) 2/3

          クロスレビュー「アンディ・ウォーホル・キョウト」(京都市京セラ美術館) 1/3

          フラットな顔変換——アンディ・ウォーホル《三つのマリリン》 文:中村昌平 まるで観光地やアミューズメントパークで目にする顔はめパネルのような絵だ。「アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO」展の顔ともいうべきこの作品がそんなふうに見えてしまうのは、スマートフォンカメラのシャッター音がパシャパシャと鳴り響くこの会場の雰囲気がどこかの観光スポットを想わせるという、ただそれだけの理由によるのだろうか? たぶん、それもある。でも、きっとそれだけではない

          クロスレビュー「アンディ・ウォーホル・キョウト」(京都市京セラ美術館) 1/3

          クロスレビュー「展覧会 岡本太郎」(大阪中之島美術館)

          ダンシング with/as タロウ・オカモト(文:中村昌平) 太刀のように絵筆をたずさえ、そこからぐぅっと右脚に重心をかけ、撫で斬りにするように描く。手首をひねるような動きとともに絵筆を離し、体勢を起こし、ぎょろぎょろとした目つきでキャンバス全体を見回す。 展覧会場の一角に設置されたビデオに映し出されていた、制作中の岡本太郎の姿である。どの作品に取り組んでいるのかは定かでなかったものの、この映像を見た瞬間、思った。岡本の絵画に描かれたストロークは、こうして実際に彼がとった

          クロスレビュー「展覧会 岡本太郎」(大阪中之島美術館)

          オンラインレクチャー「ゲルハルト・リヒター展ができるまで」を開催します

          9/17(土)19:00- 桝田倫広さん(東京国立近代美術館主任研究員)によるオンラインレクチャー「ゲルハルト・リヒター展ができるまで」を開催します。パンデミックやウクライナ情勢のさなかに展示はいかにつくられたのでしょうか。リヒター展を深く知る機会となるでしょう。ご参加をお待ちしています。 ゲルハルト・リヒター展ができるまで 講師:桝田 倫広 日 時 2022年9月17日(土) 19:00-21:00 オンライン視聴|1000円 オンライン視聴+『Jodo Journal

          オンラインレクチャー「ゲルハルト・リヒター展ができるまで」を開催します

          ロームシアター京都のウェブメディア「Spin-Off」での掲載テキストをまとめました(2021.9-2022.8)

          浄土複合ライティング・スクールでは、ロームシアターのウェブメディアSpin-Offにて、修了生がレビューやレポートを執筆・発表するプログラムを継続中です。昨年から一年間で6本の文章が公開されています。以下でこれまでの掲載テキストをまとめました。いずれも力作となっていますので、この機会にぜひご一読いただければ幸いです。 「Sound Around 001」公演評 楽器としての身体|文:足利大輔 「妖精の問題 デラックス」公演評 「多様でガチャガチャした生/性」を見つめる |

          ロームシアター京都のウェブメディア「Spin-Off」での掲載テキストをまとめました(2021.9-2022.8)

          クロスレビュー「京芸 transmit program 2022」(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA)

          展示空間を散歩する(文:八坂百恵) 巨大な土塊が縦に長い部屋の真ん中に陣取って我々を迎えた。土塊の周辺には土がばらばらと散らばっており、作品の展示領域を広げている。我々は展示領域を侵犯しながら土を踏んで通る以外なく、するとカーペットに絡みついた土をさらに擦りつけることになる。ここで我々は、美術館でお行儀よく作品と対峙する態度から解放され、散歩をするように土塊の周りを歩き、作品を眺めることになる。この作品は野村由香《池のかめが顔をだして潜る》で、張り子の要領で成形した球体に、

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          夢と記憶の迷宮——森村泰昌 「ワタシの迷宮劇場」展レビュー

          吉田理紗 5つの門からひとつを選ぶ。門の横幅は人がひとり、やっと通れるほどしかない。「だぶらかしの門」から、足を踏み入れる。展示室全体は無数の水色のカーテンで仕切られ、ポラロイド作品が掛かっている。どこからか物語の朗読と電車が走る音が聞こえてきて、その音の正体を探しにゆくが、道に迷ってしまう。通常、美術館で展覧会を見るときは、鑑賞の順路が設けられ、鑑賞者は企画側の意図に沿って視線も動きも誘導される。しかし「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」展には順路がなく、5つある「門」のうち任

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          サイドストーリーから見る「ミニマル/コンセプチュアル」展

          八坂百恵 「ミニマル/コンセプチュアル:ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960-70年代美術」展では、造形やコンセプト等から語られる抽象的なメインテーマに対して、「労働」や「生活」といった、より身近で具体的なテーマが各所に浮かび上がる。さらに展示構成により、それらをひとつの流れとして読むことができる。本レビューでは、これをサイドストーリーと呼ぶ。 本展はあくまでもフィッシャー・ギャラリーで展示された作品や、フィッシャー夫妻と作家のやりとりを経て制作された作品にまつわる

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