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【ブックレビュー】ヤングケアラー わたしの語り
はじめに「ヤングケアラー」という言葉、そしてそれが、若者が介護を担わされている状態である、ということは何となく知っていたものの、これまでとくにそれ以上知ろうとは思っていなかった。この本を知り、当事者のナラティブに興味を惹かれて読んでみた。
これほど自分と関りが深いとは思わず…
ヤングケアラーの孤独と、子育ての孤独
この本には、7人の当事者が書いた文章がそのまま掲載されている。
当然だけれど、
【ブックレビュー】ほんとうの教育をとりもどす
「ほんとうの教育」ってなんじゃ??なんともまっすぐで高邁なタイトル。「ほんとうの教育」ってなんじゃ?
壮大なタイトルにちょっとちゅうちょしつつ読み始めたけれど、中は実際の教育現場での実践を取材して書かれたルポなので、ふむふむと読み進められた。
著者の主訴は、文科省に決められた学習指導要領どおりで一律の授業をおこない、全国学力テストで画一的に学力を測り(測った気になり)、点数を競う教育への疑義。
「失敗学会副会長」の本を読んだ
私はミスが多い。
人のことは知らないが、自覚としてミスが多い。
そこで、始めてミスについての本を読んでみた。
著者は「失敗学会副会長」だそうだ。失敗学会…なんだそれ、と思ったけど、まじめに失敗をなくすべく活動しているらしい。なにせ著者は原子力発電所の修理などに携わった工学者。ミスの重要度が段違い。それだけ「失敗」「ミス」の重要度が高い仕事で培ったミス撲滅策は聞く価値あるでしょう!
ミスにつ
【読書感想短文】飛ぶ教室(エーリヒ・ケストナー)
言わずと知れた名作児童文学。
今さら読みました。
きっかけは、読書講座で話題に上がったこと。
ちょっと今からすると暴力的過ぎる、というのはあれど、少年たちの生きざまが生き生きと描かれていて本当に魅力的だった。はらはらし、ドキドキし、くすっとして、ほろっとして、ずきっとして… この作品が出版されたのは1933年。約90年を経てもじゅうぶんに通用する物語を創った、その普遍性を見通す眼に驚くばかり
【ネタバレ注意】大豆田とわ子と三人の元夫と、三人の女
『大豆田とわ子と三人の元夫』最終回を見ての感想を書きます。まだこれから見る、という方は読まないでください!
観終わって、ああ、いいドラマだったなーと思った。
もともと、個性が濃いキャラクターが放つそれぞれの言い回し、かけあいが絶品でただただおもしろい、というだけでも観る価値はあったのだけど、
第一印象…「女性社長が主人公って、珍しいな」ということ、これが一番の肝だったのだな、と分かった。
【映画レビュー】「アメリカン・ユートピア」
一人で映画を観に行けるチャンスはなかなかない。悩んだ末、「アメリカン・ユートピア」にした。トーキング・ヘッズを率いていたデイヴィッド・バーンのライブ映像を映画にしたもの。
とくにデイヴィッド・バーンのファンというわけではなくて楽しめるのかな…と少し心配だったけど、結果的にそれは杞憂だった。めちゃめちゃ楽しかった。最高の体験だった。
始まりは脳の模型を持ったデイヴィッド・バーン。脳の歌を歌いだす
20年ぶりのポール・オースターとすぐそこにある危機について
はじめにポール・オースターの「シティ・オブ・グラス」「幽霊たち」「鍵のかかった部屋」の3冊を前に読んだのはたしか20年以上前だった。そして、「よく分からないけどめちゃめちゃ魅かれる」と思った。
そして今回、こんなに歳をとったのだからなんか違う受け取り方をできるだろうかと思ったが、同じだった。よく分からないがやっぱり魅かれる。
「ニューヨーク三部作」の共通点この3冊は全く違う3つの物語で、1冊で