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WAKIMIZU

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散文詩など
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#詞

ワルプルギスの霄

ミーハーなのよ。下世話なのよ。それが1番楽しいでしょう?ねェそうでしょう?

そんなことより花を一輪頂戴。1番真っ黒のをね。

ローリーかよこエズラさちよソフィマリアンエルシー芙蓉ねェそうでしょう?

どんなことよりソレの話が楽しい。1番楽しいのよね。

ジャスミンの香りが充満していても もう誰も気づかない。私達しか気付けない。

こんなに芳しい夜になったから この闇は私達のも

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令和初期、サンセットシティはいい天気

カムパネラは街中鳴り響き
不浄の切っ先がひび割れる 畏る 淡い海 桃源郷

サンセットは街中グラデーション
無常の一刻は迫り来る 私にも あなたにも 平等よ

大都会に住んでいたって 私の家の近所には
躑躅も藤も木香薔薇も 目が痛いほど咲いている

悲しいことが起きたって逃げられない 帰れない
ドルマンスリーブは空を飛べない

橙に桃紫藍色
苦渋の選択が下される お菓子にも 鸚鵡にも 想像よ

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桃色の雲

何百年ぶりの 外歩きだろう
ひどい風で 恐ろしいほどの花弁が踊る
清々しいほど しずかです この街は 今

明日のことは明日のことです
何百人がかつて歌った
昨日のことは昨日のことです
忘れることなどできないけれど
付けっぱなしの日常 消そうとしてやめました

西の空には桃色の雲 目指して歩いてゆこう
西の空には桃色の雲 目指して歩いてゆこう
耳が痛い 千切れそう 心は脆い 千切れそう
西

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秋の色移りにけりな

台風に揺れる金木犀がオレンジ色の香りを無惨に吹き飛ばしてゆきます。

私は今、ここを出て行かなくてはなりません。

暗い路地に落ち切ったオレンジ色の花が照る深夜に私は行かなくてはならないのです。

涼しい朝には、陽の光も私もオレンジ色の花も、同じ一つの存在に還って揺れます。

オレンジ色は懐かしく優しく、そして悲しく、ビニールの音がカサカサと鳴っています。

学校の校庭が砂を舞い上げながら秋を撒き

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カウントダウン

3、

無いはずの 平成32年から 未来人だと云う人が来た

姿見に 外の草木が 映されて

永遠の美を望まれている

髪結えば 神が鳴るなり 窓の外

天は蛇口を ひねって怒る

夕立は 凌霄花の 色をして

スカートの裾は 人魚の尻尾

2、

初めて来たはずの町から、懐かしい匂いがして狼狽えること

幼い頃、スーパーの棚の見えないところには、何か特別なものが置いてあると思っていたこと

記憶

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ワタシタチ休日ハ何時モ シャボン玉 何ガオワッテモ始マッテモ

足取リノ軽イ週末タチヲ縁取ル雷雲デ ケーキ ヲ焼ケバ

ソノ匂イニ揚羽蝶ハ誘ワレテ夏ヲ惜シンダ大人ノ餌食ニ

1.

サッキマデ暢気ニ眺メテイタ筈ノ 「東京都庁ヲ呑ミ込ム雲塊」

ターコイズブルーノ空気ヲ落トス雨

都会ノ空ヲ支配スル稲光

人々ガ大地ノ揺レル覚悟ナド出来ナイ内ニ光デ揺レテ

天ト地ヲ縫ッテ繋ゲテ往ク落雷

雨ヨリモ光ハ降ッテコノ淀ム空気ヲ震ワセテユクノデス

安堵スル鬼雨後ノ空

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グレースケール

雲早く 月をすり抜けて 雨を齎しに 我が掌に一雫を

雲の間を滑る太陽が地上へ救いのように光を投げかける様 かつての神を信じた人々を思う
弱体化 櫛風沐雨 青天井

過去が増えることに恐れをなした猛獣が空から落ちて来る
本当は皆世界の終わりを切望しているのに
一粒の希望が手を離してくれない
たった一粒の握ったら消えそうな希望

ジプシーのダンスを踊る 明日もきっと踊っている 雷鳴 も

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梅雨入りの心を降らせろこの世界中に

雨の空に魚を泳がせたい そう言った君の横顔に
傘から落ちた雫が光る 泣いているのは僕の方

五月雨の 音は優しく 低気圧

濡れた手に レインコートは へばりつき

紫陽花の 色をした心 スケルトン

雨粒と同じ数だけ君想い

紫陽花ゼリーを懐かしんでもお昼は自分で考えなくっちゃ

私が想いを空に託して 雨と一緒にあなたの上空へ あり得ないようでできるかもしれない そんなことを考える6月

雲の上

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青いあとさき

狭い路地から向かってる場所に
今まさに日が注ごうとしてた
或いは透き通った空気が
注ぎ込まれようとしていた
細かい模様を縫って歩く
人気のないこんな時間に
待ち侘びたものばかりが
とても速く遠く後ろへ

夏の思い出なんて要らないよ
私は今ここで感じてる鼓動だけ惜しい

朝の静けさなんて嫌いだよ
いつでも喧騒に揉まれてる世界に居たい

涙も夢も現実の息も
喜びも悲しみもドアの音も
くれたものなら全部

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