秋の色移りにけりな
台風に揺れる金木犀がオレンジ色の香りを無惨に吹き飛ばしてゆきます。
私は今、ここを出て行かなくてはなりません。
暗い路地に落ち切ったオレンジ色の花が照る深夜に私は行かなくてはならないのです。
涼しい朝には、陽の光も私もオレンジ色の花も、同じ一つの存在に還って揺れます。
オレンジ色は懐かしく優しく、そして悲しく、ビニールの音がカサカサと鳴っています。
学校の校庭が砂を舞い上げながら秋を撒き散らしています。
その中に混じるオレンジ色を見てしまった私は、秋のオレンジ色にとらわれてしまいました。
だからここから行かなくてはなりません。
あなたの秋の色は何色ですか?
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