鬼灯(ほおずき)や 朱色になりて 取る娘
知らぬ間に かりがね寒き 寮の窓
面接し 火照る頭で 寝待ち月
梶の葉へ 和歌を書きたり 月を見る
芍薬の 根を労わりて 土をかけ
雪しまき この世の白さ 舞う光
薄曇り 秋蒔き大根 栃の花
悶々と 白玉星の 花を見て
寒空の 真夜中の月 傘かかり
稲と蘆 山の黒影 虫送り
高き夢 星の貸物 縫て織り
萱刈る(かやかるる) 地に残りては 枯れ色に
邯鄲(かんたん)へ 始皇帝の地 水写し
森抜けて ガードレールに 田村草
山椒の 丸き実を煮る 底冷えに
鶉合(うずらのす) 地のくぼみから 口広げ
秋風に 野菜も花も 枯れ始め
いわひばり 土にこげ茶の 羽休め