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けがれた者達の歌 冬景

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冬の季節に書いた 冬の詩と物語の在り処 #雪ん子 #お化けの子 #妖 #柊 #白い狼
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冷たい笑顔

冷たい笑顔

私は私で
不愉快な事から
目を背け続け

いつしか
我が心を
マインドコントロールして
見失った事がある

楽しく無い事に笑う

過去の私は
冷たい笑顔だっただろうね…

仮面の下

仮面の下

此処に居る私は

仮面を白から
黒にも
赤にも

次々と変えて魅せ
素顔を見せる事をしない

此処に在る私は

偽りか?本物か?

なんて可笑しくなり

仮面の下で

私は嗤う

雨と湿気と

雨と湿気と

何度かの
稲光の後に大雨

湿気で滑る床に
残る足跡

外に出れば
雨が景色を隠す

雨が濡らす地面に
冷たさがなくて

湿気が柔らかく
纏わり付く

春の精霊

春の精霊

深い森の奥に
雨が降る

流れる川の水が
有る洞窟の中にも
流れて行く

春の精霊の
寝床を水で浸す

今春の
春の精霊は
目覚めが余り良くない

意識が冴える程の
水の冷たさが足りない と

暗い洞窟内で
思うのだ

バレンタイン

バレンタイン

風に言葉を乗せ
鼻歌を唄いながら

冷たい風に
混ぜる様に呟く
君の名前

何時だって
意識し過ぎて
言えない言葉を

今日 言えたなら
って思うんだ

Valentine

Valentine

何時も
気持ちを上手く
伝えられなくても

今日なら
伝わるはず

今日は
そんな日

今日は
そう言う日

チョコレート

チョコレート

一粒を手に取り

口に溶ける
チョコレート

ホワイトチョコなら
尚 甘い

一時の
甘く苦い
夢を喰う気分

欠片

欠片

積もった欠片は
時と共に増え

僕の手に収まらず
溢れてしまうんだ

欠片を
君に あげようとすると

もどかしさで
上手く渡せなくて…

小さな
欠片を一つでも

それだけでも
渡せばよかったのにって

朝 目覚めて思うんだ

音の無い音楽会

音の無い音楽会

人の出入りの無い
草むらの先に有る

創りの綺麗な外観の
古い洋館が
気になって
忍び込んでみた

此処はまるで
音楽堂だ

空いた窓から
風が耳を撫でる度に

鍵盤が弾かれ
管楽器が鳴り
打楽器が響き
誰かが歌っている

そんな
情景が見えてる
気がしてくるんだ

鳴き

鳴き

囀る声で
鳴いていたら
風に掻き消されそうなんだ

あの森の
山を越える遠くまでは

高く長く喉を震わせ
鳴いてみるんだ

墓守

墓守

腐敗臭と
焦げた
黒い煙の中

死んだ者に
付いて逝く
頭の無い雷鳥が
爛れた肉を引き連れて逝く

鴉達は忙しなく鳴き

梟が千切れた肉を狙う

私は
手懐けた禿鷹に
餌を与えるのを止め

死者の為の
鈴を鳴らすのだ

それは…

それは…

見えない所に
本物が有る様に

牙に欲望を
背中に邪気を
視線に不埒さを

それは穢くて
それは醜くい

僕の本質か

内面に
本当が隠れている様に

血に甘さを
肉に靭やかさを
骨に強さを

それは綺麗で
それは美しい

僕の嗜好か

黒本の主

黒本の主

📌黒本の主①

忌まわしい
鬼が居る

影に隠れて潜んでいる

鬼払いの日に
払われ無かったのか…

鬼共を
影から炙り出す為

僕は『BookCurse黒本』を
手に入れた

此の本が有れば
影を容易に扱える
影使いになれるんだ

此の身が呪われようとも

影に隠れた
鬼を僕は逃しはしない

📌黒本の主②

僕は影を引き連れ
地下鉄の無人のホームに
降り立つ

ねぇ聞こえる?

ホームの奥

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BookCurse黒本

BookCurse黒本

此の本の中を見た者は

黒い影が

躰を支配しようとする

躰を麻痺させ

肌の色を影の色に…

影の者になる呪いが

掛かるのだ

此の本を

読んだ者に呪いを

此の本を

利用した者に孤独を

此の本を

消す者に死を与える