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スタートアップ営業組織作りの教科書 ~はじめに~

アルー株式会社の池田と申します。

当社は、2003年に創業後、試行錯誤を経て、現在の主力事業としては企業向け研修サービスを提供しております。
顧客のメインターゲットは大手企業様、その中の人事人材育成部門に営業活動を行い、お客様の抱える人材育成の課題解決策のコンサルティングを行い、最適なソリューションを提供する事業を展開し成長して参りました。

特に当社が得意とするのは、大企業の新入社員研修分野になります。年間2万人以上の大企業の新入社員の育成をご支援しており、国内の企業向け研修サービス会社としては№1クラス(当社調べ)のシェアを持ちます。
(※従業員1000名以上に新卒入社をする大学生は、年間約18万人程度。当社シェアは10%を超えます)

2010年頃より、当社の第2の事業の柱として「グローバル人材育成」を掲げ、国内企業の人材のグローバル化の促進、海外企業の現地人材の育成のご支援をして参りました。

2018年12月には、東京証券取引所マザーズ市場に上場しました。更なる事業成長に向けて2019年にクラウド型ラーニングマネジメントシステム「etudes」を事業譲受したことで、企業研修のオンライン・デジタル化を推進するサービスを中心とした事業展開を行っております。


①本note連載の趣旨について

本noteは「スタートアップ営業組織作りの教科書」と題して、当社の創業後取り組んできた事業成長に向けた、主に営業面の取組みを紹介して参ります。

後述いたしますが、企業向け研修サービス業界の歴史は100年近くあり、当社は2003年創業と「最後発の企業」になります。そうした後発企業が事業を成長させるために、営業活動は極めて重要なファクターでした。

また、私は当社の創業メンバーの一人として参画しました。当社代表落合、書籍「無敗営業」がヒットしている高橋浩一さん(※2009年末に退任)を含めた3人で起業をしたタイミングでは、実は「何をやるか」は全く決まっていませんでした。

大まかに教育分野で事業を作る、という想い先行の起業でした。創業メンバー全員が戦略系コンサルティング会社出身であり、企業向け研修のノウハウはありませんでした。ゼロベースでの起業、プロダクトづくり、営業活動を試行錯誤しながら立ち上げてきた会社になります。

多くのスタートアップ企業の方々にとって、営業活動は苦戦する要素かと思います。当社の試行錯誤の末に積み上げたノウハウや、気付きが今後事業を立ち上げる方のお役に立てればと考えて本noteを公開することにいたしました。

また、当社は継続的な拡大に向けて、新卒および中途採用を現在も積極的に行っています。新たにアルーに入社したメンバーの方々にも、当社の創業の頃の営業活動の取組みがどのようなものであったかを共有できればと考えております。

本noteの連載が、多くの方にぜひ役立つものになれば嬉しく思います。


※アルー株式会社の研修プログラム開発の歴史とノウハウをまとめた「すごい研修プログラム開発バイブルnote」も公開しております。ご関心ある方はぜひ以下よりご覧いただけますと幸いです。

<アルーのすごい研修開発バイブルを読まれる際はこちら↓>

すごい開発バイブル


②企業向け研修サービスビジネスの特性について

営業活動、営業組織づくりと言っても、事業特性により大きく異なります。
本note連載のノウハウを生かしていただく際に、当社の事業である企業向け研修サービスがどのようなビジネスなのかを把握いただき、共通項として生かせる点、異なるためそのままでは参考にならない点を把握していただけるとよいかと考えます。

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(1)BtoBビジネスであること
アルーはBtoB(対法人向け)のビジネスを展開しております。BtoBの中でも、生産財ではなく、人事部門という所謂間接部門を顧客としたサービスを提供しています。

(2)顧客が2種類存在すること
企業向け研修サービスは上述の通り対法人向けビジネスですが、このビジネスには2種類のお客様が存在します。
一つ目のお客様は、直接の当社の顧客(発注者)となる購買部門。主として人事・人材育成部門・研修所等がお客様となります。
二つ目のお客様は、研修サービスを実際に受講する受益者。いわゆる顧客企業の社員が該当します。エンドユーザーに該当する方々です。
こうした2種類のお客様の両方のニーズにお応えする事業を行うことが求められてきます。(両者のニーズは時に、相反することもあり得ます)

(3)既存の予算が存在しているケースが多い
企業研修サービス業界は古くから存在しています。顧客企業は自社の人材育成を考える際に、自社の内部で行うか、当社のような企業研修サービス会社へのアウトソーシングを行うか、その両方を長年使い分けてきました。
そのため多くの会社において、企業研修施策のための予算を毎年計上しています。
スタートアップのビジネスにおいて、世の中にまだないサービスを作り上げ、市場を創造するタイプの事業がありますが(特に大成功する会社はその傾向が高い。一方で成功率は低い)、企業向け研修サービスはそうではない「既存市場攻略型」の事業です。

(4)競合企業が非常に多い
古くから存在する業界であり市場が存在するということは、既存のサービスベンダーが多く存在するということになります。
また、企業向け研修は、ノウハウを持った方であれば講師1名でも行うことができるサービスです。初期投資の必要も少なく、参入障壁がとても低い業界です。
矢野経済研究所が毎年発行している「企業向け研修サービス市場に関する調査」のレポートを見ると、少なくとも数百社以上が本業界にて事業を展開していることがわかります。

競合企業が多いということは、お客様への提案の際にほぼ100%コンペティションとなります。コンペティションに勝たなければ仕事を受注できません。当社は後発企業でしたが、どうすればコンペに勝てるかということと向かい合い続けてきました。

他にもありますが、上述の4点が企業向け研修サービス業界の大きな特性です。


③アルーの成長ステージと事業の状態の変遷

当社は2003年10月に創業後、2018年12月に東証マザーズ上場までに約15年間の時間が掛かりました。上述の通り既存市場で一つ一つコンペティションに勝ち、顧客からの信頼を積み重ねていくことを続けてきました。

15年間の歴史を振り返ると、会社・営業組織の状態や課題を、大きく5つの時期に区分することができることに気づきました。

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(1)シード期:
創業から最初の1‐2年程度。アイディアはあるが事業内容・プロダクトが決まっていない段階。独立後の試行錯誤段階。

(2)アーリー期:
自社の事業ドメインや初期プロダクトが出来た段階。そこから一定のプロダクトマーケットフィットを実現するまで。アーリー期後半では、資金調達を行い、事業をブーストするミドル期に移行する

(3)ミドル期:
事業をブーストし、拡大再生産を目指す時期。一方で、組織拡大やプロダクト拡大に伴い、組織上の問題が多発した時期。アルーはこのミドル期で大きく苦戦をしたと認識しています。

(4)レーター期:
市場の中で一定のポジションを獲得し、事業的に安定成長をする時期。組織的にも仕組化が一定進んだことで、会社としての体制が整ってくる

(5)プレIPO期:
IPOに向けた攻めと守りの両方に取り組む時期。攻めとしては特定市場での№1を実現すること。守りとしては、内部統制・リスクマネジメント等を公開企業としての水準を実現すること

本note連載では、上記の各期ごとにそれぞれ直面した「課題」と「対応策」を紹介していきます。課題によっては、よい解決策がないまま時間が解決したものもありました。そうしたものを含めて赤裸々にご紹介していきたいと考えております。


④コンテンツ目次

毎週月曜日・木曜日の週2回で以下のコンテンツを順次公開していきます。
2021年末頃の完結を想定しています。ぜひ長くお付き合いをいただけますと嬉しい思います。どうぞよろしくお願いいたします。

目次(スタートアップ営業組織作りの教科書)

シード期全体像

(1)知り合いづてにとにかく営業活動を実施する(シード期)

(2)最初期は自社ドメインと関係がなくとも、得意分野でマネタイズをする(シード期)

(3)自社ドメインのベンダーの下請けで開発案件を受託する(シード期)

(4)初期顧客案件でプロダクトをいったん完成させ、実績を作る(シード期)

アーリー期全体像

(5)初期のキャッシュ稼ぎ案件から撤退し自社プロダクトの立ち上げに集中する(アーリー期)

(6)パートナーセールスで実績を積む(アーリー期)

(7)直販立ち上げのために法人営業のノウハウについて学ぶ(アーリー期)

(8)直販テレアポは、継続すれば成果は出る(アーリー期)

(9)超絶能力を持つ営業責任者のノウハウを、営業メンバーに共有する(アーリー期)

(10)サービスクオリティの改善を優先しないと新規営業活動がストップする(アーリー期)

(11)パートナーセールスか?直販か?戦略の大きな分かれ道(アーリー期)

(12)営業組織の組成には、資金調達が不可欠(アーリー期)

ミドル期全体像

(13)KPIモニタリングの仕組みを早期に整える(ミドル期)

(14)営業部隊の成果が出るまでの期間を「なんとか乗り越える」(ミドル期)

(15)ミッション・ビジョン・バリューの再定義をし、道筋を明確にする(ミドル期)

(16)営業組織には「継続的な人材採用」と「退職の最小化の努力」が同時に必要(ミドル期)

(17)新商品の販売はフレッシュな人材が向いている(ミドル期)

(18)専門特化営業チームを成立させるには相当な企画が必要(ミドル期)

(19)営業マネジャーのフォローに集中する(ミドル期)

レーター期全体像

(20)目標設定次第で、業績はアクセラレートする(レーター期)

(21)インセンティブは高すぎる金額にしない(レーター期)

(22)営業生産性をベンチマークし限界突破する(レーター期)

(23)管理者をなるべく兼任させない(レーター期)

(24)育成機能に特化した組織を作る(レーター期)

(25)新規開拓活動が止まらない工夫をする(レーター期)

(26)営業企画機能を確立し、生産性向上を加速させる(レーター期)

プレIPO期全体像

(27)特定市場での№1を実現する(プレIPO期)

(28)重点大手顧客の深掘りには、ソリューションの幅が必要(プレIPO期)

(29)キャリアパスを複線化し、多様な人材が活躍する場を作る(プレIPO期)

(30)サーバントリーダーシップに基づく営業組織を創る(プレIPO期)

営業ステージの転換に伴い、営業責任者は変遷していく(appendix)

【保存版】スタートアップ営業組織作りの教科書(Executive summary)

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