見出し画像

(8)直販テレアポは、継続すれば成果は出る(アーリー期)

スタートアップ「アーリー期」の4つ目の記事です。
※アーリー期:一般的には「事業立ち上げから、プロダクトマーケットフィットまでの軌道に載るまでの段階」を意味します。

今回の記事は、課題(8)「直販テレアポは、継続すれば成果は出る」です。

課題8直販テレアポは継続すれば成果は出る

①新規アポイントメントを獲得するためのプッシュ型営業・プル型営業

自社事業の企業向け研修サービスの営業活動を開始して、最初に苦労をしたことは、新規商談アポイントメントの獲得でした。
どんな事業であっても、顧客との接点を作り認知をしてもらわなければ、その後の案件化や購買の検討にもつながりません。

株式会社エデュ・ファクトリー(アルーの創業時の社名)の事業は、企業向けの研修でしたので、その顧客は企業内で人材育成・教育研修を企画検討する方々となります。一般的には人事部や人材育成部・研修部門などに所属をされています。

創業時は知り合いづてにメールでアポを依頼して面会をしていましたが、知り合いの中に企業の人材育成担当の方がいたわけでありません。企業の人材育成担当者とどうにかして接点を作る必要がありました。

新規アポイントメント獲得には、プッシュ型プル型のコンタクト方法があります。

●プッシュ型:
こちらから顧客に接触し、アポイントメントを依頼する方法
代表的な手法は、飛び込み営業、コールドコール(テレアポ)、手紙送付等

●プル型:
顧客から関心を持ってもらい、問い合わせをしてもらう方法
代表的な手法は、広告宣伝、展示会出展、コンテンツマーケティング等
プル型のアポイントメント獲得手法は、広告に代表されるように実行をするためにはお金(外部発注コスト)がかかります。

現在のアルー株式会社では、プッシュ型とプル型の両方の手法を活用して、新規の顧客接点を作り出しています。
しかし、当時(2004年4月頃)の私達は、プル型の広告宣伝をする程の資金的余力はなく、必然的にプッシュ型営業活動を行うことになりました。

その中で私達が選択したのはコールドコール(テレアポ)でした。


②「48ポイントのフォントサイズ」のメッセージ

いざテレアポを開始しようとしましたが、すぐに障害に当たりました。
テレアポをするには、最低限2つのものが必要です。
一つは、電話を掛ける顧客候補企業のリスト。
もう一つは、当然ですが電話回線です。

●リストについて
当社は企業研修サービスの顧客を大手企業の人事部門と想定していましたので、リストについては、上場企業数千社が掲載されている「会社四季報」を買ってきてそれをリストにしました。

しかしながら会社四季報には、電話番号までは掲載されていませんので1社1社WEBサイトから調べました。ここで分かる番号は、殆どの場合において「代表電話番号」です。

代表電話に掛けると通常、受付の方につながります。受付の方から人事部・人材育成担当の方に繋いでいただく必要がありました。しかし、受付時点で営業電話はお断りされるケースも多くありました。

●電話回線について
もう一つの電話については・・・苦労をした思い出があります。
当時の湯島オフィスには、電話回線が一つしか通っていませんでした。また、1LDKのマンションオフィスでした。
そのため、複数人でテレアポを行うためには、携帯電話を使って掛ける必要がありました。そして広くないオフィスですので、周囲の声が聞こえてしまいますので、なるべく部屋の端と端で電話を掛ける必要がありました。

しかも湯島オフィスは、当時、私が使っていた携帯電話回線の電波状況が悪く、電話を掛けていても途中で切れてしまうということが頻発しました。

これは辛かったです。
お客様にお電話がつながったところで「プツリ」と電話が切れてしまい、
再度代表電話に掛けなおしです。

「先程、人事部におつなぎいただきました株式会社エデュ・ファクトリーの池田と申します。電波の状況が悪く切れてしまいまして・・・。大変お手数でございますが、再度おつなぎをいただけませんでしょうか?

再度おつなぎいただけたこともありましたが、当時のビジネスマナーとして携帯電話で営業活動をすることは一般的ではなかったため、その点を指摘されお断りをされたこともありました。

さて上記のような状況でのテレアポ活動は、営業経験がなかった私にとって、どうしても苦しく感じてしまいました。

1日のコール目標数を立てるものの、掛けても掛けても断られることを繰り返す中で、どんどんと自信が失われ、ネガティブな感情が湧いてきます。

人事部門につながって「ぜひアポイントメントをいただけませんでしょうか?」と懇願をしても「今は不要です」「研修ベンダーは決まっています」「研修は社内でしかやっていません」「二度と掛けてこないでください」等の言葉が私のエネルギーを奪っていきました。

時折、「資料を送ってください」というご依頼をいただくこともありました。
一日の終わりに、資料送付先への準備をまとめて行い、湯島オフィスの近くの湯島四郵便局まで自転車で資料類を運び送付をしていました。
(以下画像。春日通り沿いで湯島天神近くの郵便局です)

画像4

他の案件やパートナーセールス営業にも取り組む中、次第に私はテレアポ活動から逃げるようになってしまいました。
優先すべき別件がありテレアポの時間が取れなかった」等の言い訳を繰り返すようになりました。

そうした言い訳がしばらく続いたある日、代表の落合さんよりメールが届きました。
「行動をしなければ、成果にはつながらない。行動をすれば、きっと成果は出る」
それだけが大きなフォントサイズ(48ポイント)の赤い文字で書かれていました。

私は自分の弱い心を恥じました。
ストレートでしたが、本当に有難いメッセージでした。


③継続が成果につながる

代表の落合さん、高橋浩一さんのお二人は、断り文句に根を上げることなく日々テレアポを続けていました。

代表電話に電話を掛け、そこから人事部に繋いでいただける率が3割程度
人事部に繋がっても、担当者が在籍であることが3割程度
担当者に繋がっても、アポイントメントをいただけることが3割程度。
30%×30%×30%=2.7%です。

上記の数字は概算ですが、もっと確率は低かったかと思います。

それでも、電話を掛け続ければ一定確率でアポイントメントにつながりました。100回電話を掛ければ2~3件はアポが取れました。
(もちろんその先に受注に辿り着くには、案件化の確率があり、受注の確率がありますので、受注というゴールは遥か彼方です)

その後この2004年春夏のテレアポ活動がきっかけとなり、大きな受注をした企業が複数ありました。
代表的なケースとしては、落合さんがテレアポで獲得した、大手の精密機器メーカー様です。その後、高橋浩一さんが営業を担当し、2006年4月に「DNAワーク」というプログラムの開発と複数の研修の受注に至りました。

テレアポは確率が低いのは前提です。
地道にテレアポを継続することが成果につながると信じてやることが大切でした。

また、確率は短期では上がりません。現在のアルーであれば、知名度・規模・実績もありますので、当時の私達のテレアポより高い確率でアポイントメントを取ることができます。その確率の改善は、15年以上に渡り積み重ねてきた事業の取り組みがあってのことです。

スタートアップ初期段階であれば、確率は低くても数をこなせばアポイントメントは獲得できると確信して、電話のコール数を上げることが重要です。


④発注担当部署を見つけることが大切

当社事業のような階層別研修(新入社員研修・管理職研修など)を中心とした企業研修のアウトソーシングは、古くからあるサービス・業界でしたので、企業内で発注担当となる方が決まっていました。ほぼ全ての大手企業において人事部門、人材育成部署は存在しましたので、少なくともその部門・部署の方を探索すればよかったのです。

金融サービスであれば、管理部門・経理財務部門、広告宣伝サービスであれば宣伝部・マーケティング部などがおおよそ発注を担当されています。

一方で、手掛ける事業・サービス・商品によっては、BtoB(対法人向け)事業においても、発注部門が企業ごとに異なるというケースもありえます。

当社と同じ研修サービスでも、営業やマーケティングという事業部門の向けの研修となると、必ずしも人事部門・人材育成部署が担当しているとは限らず、発注担当部署を見つけづらい状況になり得ます。
仮に、人事部の方にアポイントメントが取れてもこれらのサービスが提案の中心である場合は、その企業内の別の担当者を探すことが必要となります。これは「受注」というゴールに辿り着くには大きな回り道です。

BtoBスタートアップ企業にとって、自社サービスの発注担当部署はどこなのか?を突き止めることがとても大切です。


本記事のまとめ

◆テレアポはプッシュ型の営業手法において効果的だった
◆確率は低くても数をこなせばアポイントメントは獲得できると確信して、電話のコール数を上げることが重要
◆自社サービスの発注担当部署を突き止めることがとても大切


次の記事はこちらです。

======================

本記事を含む「アーリー期」の全体像を解説した記事はこちらになります。
アーリー期のスタート時点・主たる活動・到達地点について解説しています。よろしければぜひご覧ください。

======================

<「スタートアップ営業組織作りの教科書」をまとめて読むには↓>

スタートアップ営業組織作りの教科書トップ画像

======================

本noteでは別途アルーの「研修プログラム開発のストーリーとノウハウ」を公開しています。ぜひご覧ください。

<アルーのすごい研修開発バイブルを読まれる際はこちら↓>

すごい開発バイブル

======================

お問い合わせ・資料請求

アルー株式会社への研修のご相談はこちらからご連絡をいただけますと幸いです。

お問い合わせ・資料請求

新入社員研修、管理職研修、DX人材育成、グローバル人材育成、Eラーニング、ラーニングマネジメントシステム等、企業内人材育成の様々な課題にお応えいたします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?