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(30)サーバントリーダーシップに基づく営業組織を創る(プレIPO期)

スタートアップ「プレIPO期」の4番目の記事です。
※プレIPO期:一般的には「レーター期」の後期に含まれます。私は本ステージを「IPO後の成長に向けて攻めと守りの投資を加速する段階」を定義しています。

今回の記事は、課題(30)「サーバントリーダーシップに基づく営業組織を創る」です。
本記事がプレIPO期、最後の記事となります。また各ステージにおける個別課題の最後の記事として、私の想いを含めて発信させていただきたいと考えております。


①現場こそが主役である

アルー株式会社は創業以来「100本ノック研修」という研修パッケージを多数開発してきました。しかし企業研修サービス市場においては、パッケージを顧客に当てはめるという物売り型の商売では、競合ひしめく市場で勝ち成長することはできなかったと考えています。

企業の人材育成は一社一社異なる状況が存在し、各社の課題も異なります。そうした多様な状況の中で人材育成のプロとして最適なソリューションを提供していく仕事です。
顧客と向き合い、顧客の声を聴き、顧客の課題を分析し、パッケージを活用しながら競合よりも成果を発揮する提案を練り上げていくことが求められます。

一つ一つの商談で、顧客と向き合う営業メンバー(とそれをサポートするソリューション担当メンバー、講師等)がよい仕事をすることが受注とリピートに繋がり、それが結果として組織全体の業績に繋がっていきます。

当社のサービスの価値は、顧客と営業メンバーが向かい合う商談の現場と、受講生と講師が向かい合う研修納品の現場に集約されています。

すなわち現場こそが主役なのです。


こうした事業特性がある中において、マネジャーや部長、そして営業部門の最終責任者は現場の営業メンバーを支えることこそがミッションであると私は強く考えています。

いわゆる会社方針で組織を動かすトップダウン的な活動をしてきたこともありますし、現在も一定の戦略(力の集中)のために行うことはあります。ただ、トップダウン方針は俯瞰的な観点からの「軌道修正」に過ぎないと考えています。活動エネルギーの源泉は、あくまで商談現場に存在しています。

創業当初は、「無敗営業」高橋浩一さん(創業メンバー・副社長)のようなスーパー超絶営業力を持った方の個人技で会社を支えていました。時を経てプレIPO期のように力強く業績成長が求められるタイミングでは、個人の力ではなく営業組織化によるサスティナブルな状態を作っていくことが必要です。人が変わっても、代表の落合さんや私等の創業メンバーが仮にいなくなったとしても成長し続けられる組織であるべきなのです。

この組織像を前提として、営業部門に所属するメンバー(責任者を含む)は、以下のような姿であってほしいと考えています。

●営業プレイヤー:顧客と向き合い、顧客を顧客以上に深く理解し、顧客に対する価値提案に集中できている

●営業マネジャー(GM):営業プレイヤーを支える。短期の問題解決・提案サポートをしたり、中期的に営業プレイヤーの能力開発・育成に取り組む。また長期的な観点で、営業プレイヤーのキャリア開発をサポートする

●営業部長:複数の営業マネジャー(GM)を支える。営業マネジャーは、問題解決・提案支援・育成・キャリア開発と複数のミッションが存在するためとても業務負荷が大きくなりがち。そうした負荷を減らし、営業プレイヤーに全力で向かい合える環境を整える。営業戦略方針を策定し、部署の軌道修正をし、業績達成に導く

●営業責任者(役員):複数の営業部長を支える。ひいては全営業メンバーを支えるサーバントリーダーとして、営業業績の短期達成と中長期成長に使命感をもって取り組む


②サーバントリーダーシップ

責任範囲が広い役職者になるほど「サーバントリーダーであるべき」と考えています。
営業マネジャーは、営業プレイヤーのサーバントとして、
営業部長は、(直接的には)営業マネジャーのサーバントとして、
営業担当役員は、(直接的には)営業部長のサーバントとしての意思をもって職務に取り組んでいくとよいでしょう。

その中でも特に、営業部門全体を統括する責任者(役員等)には、強いサーバントリーダーシップの発揮が大切です


サーバントリーダーシップとはどのようなものなのでしょうか。
一言でいえば「ミッションの名の下にフォロワーに奉仕する」リーダーシップです。

この「サーバント」という言葉ですが「従者」「召使い」の意味であり、普通に考えるならば、「指導者」の意味で使われるリーダーとは逆の立場のように思われます。

ですが「従者」ではなく、「尽くす人」「奉仕する人」と捉えます。
本当のサーバント・リーダーは「召使い」というよりも、自分が達成すべきことや夢に対して強い使命感を持ち、それを一緒に実現する部下(フォロワー)に対して自らの意志で「尽くす人」に徹するのです。

営業責任者は、組織の存在意義、社会的使命を理解し、それが果たされるように営業部門を導かなくてはならないのです。

サーバントリーダーシップの実践において大切となることは、
(1)他者がいちばん必要としているものを提供しようと努めることです。
(2)生まれつきのものではなく、身につけられるものであり、サーバントリーダーとしてありたいと願う基本姿勢が大切です。
(3)サーバント・リーダーも強くイニシアティブを取ります。サーバントだからずっと受け身なわけではありません。


まずリードするという個人の側の意識的なイニシアティブで「私はこう行きます。皆の力が必要です。皆の力を最大化するために皆を支えていきます」とはっきり言うことが大切です。イニシアティブを取らずにリーダーシップは存在し得ないと考えます。


営業責任者は、自分一人では、プレIPO期以降に求められる事業業績を達成することはできませんし、仮に一時できたとしても継続成長は困難です。

真に顧客への価値提供と業績達成・継続成長を実現するために、上記のサーバントリーダーシップの基本姿勢を営業責任者が強く発揮することが、部下(フォロワー)の方々からの「信頼性(credibility)」の獲得につながり、部下が生き生きと顧客に向けて価値発揮行動に集中できるようになるのです。


2018年~2020年まで私は当社教育研修事業の責任者を務めさせていただきました。
私自身は当社のキャリアの中で、営業職よりもソリューション開発や商品開発を中心に取り組んできました。そのため営業能力という面では、部長、GM、営業プレイヤーの方よりも低いものしかありません。ですから私よりも素晴らしい力を持った営業メンバーの方々が最高に活躍するためのサーバントになるしかありませんでした。微力ではありましたが、アルーの営業組織が、顧客を第一に向くチームになっていれば幸いです。

現在はさらに優秀な方々が当社に多くいらっしゃいますので引継ぎをさせていただきましたが、この「サーバントリーダーシップ」の考え方を伝え続けていきたいと考えています。


③アルー株式会社のMission

アルー株式会社は、2018年12月11日に東京証券取引所マザーズ市場に上場をいたしました。上場については、更なる成長をし、価値の高いサービスを持って顧客や社会に貢献し、様々なステークホルダーの方への還元を図っていくための手段にすぎないと考えております。

引き続き私達が目指し変わらないものは「Mission」です。
本記事の最後に、当社アルー株式会社のMissionについて改めてご紹介をさせていただきます。

夢が溢れる世界のために、
人のあらゆる可能性を切り拓きます
- all the possibilities -

このキーワードは、2009年に見直したものですが、創業のころから意味合いとしては変わっておりません。

このMissionは、私達の仕事に誇りや意義、情熱をもたらすものです。

Missionの背景にある「夢が人を育て、人が夢を創る」とは、「夢=自分が信じる何か(キルケゴールの言う主体的真理)」に向けて生き、その過程で自分の可能性が切り拓かれていくという「生き方」のことです。

※主体的真理については、当社代表落合さんのnote記事をぜひご覧ください。

夢が他人から見て立派なものかどうかや、その時点で具体的か、現実的かどうかなどは問題ではないと考えています。

重要なことは、自分に情熱をもたらすものであるかどうかと、それが願わくば自分のためという「野心」だけではなく、自分より大きな何かのためという「志」から生まれているかどうかです。

そういった生き方は、個人には人生の喜びをもたらし、社会全体には希望をもたらします。

そして誰かの夢・志の実現は、また次の夢への挑戦の始まりとなります。
一人の夢の実現が複数の夢の実現を誘発するのです。

そうした夢と志が循環する世界を実現するのがアルーの願いです。


本記事のまとめ

◆責任範囲が広い役職者になるほどサーバントリーダーであるべき
◆サーバントリーダーシップとは「ミッションの名の下にフォロワーに奉仕する」リーダーシップ
◆サーバントリーダーシップの実践において大切となることは、
(1)他者がいちばん必要としているものを提供しようと努めること
(2)生まれつきのものではなく、身につけられるものという認識
(3)サーバント・リーダーも強くイニシアティブを取る
◆上場は更なる成長の入り口に過ぎない。私達が目指し変わらないものは「Mission」


次回の記事は・・・・

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本記事を含む「プレIPO期」の全体像を解説した記事はこちらになります。
プレIPO期のスタート時点・主たる活動・到達地点について解説しています。よろしければぜひご覧ください。

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<「スタートアップ営業組織作りの教科書」をまとめて読むには↓>

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本noteでは別途アルーの「研修プログラム開発のストーリーとノウハウ」を公開しています。ぜひご覧ください。

<アルーのすごい研修開発バイブルを読まれる際はこちら↓>

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