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シード期全体像

アルー株式会社の池田です。「スタートアップ営業組織づくりノウハウまとめ」に関する本編最初の記事になります。

本連載は、企業向け研修サービスを提供する当社の創業から東証マザーズ上場までの15年間を事業ステージ毎に「シード期」「アーリー期」「ミドル期」「レーター期」「プレIPO期」と5つに分け、それぞれの段階で起きた当社の出来事と、課題、それに対する対応策や私自身の学びを紹介していきます。

各事業ステージ毎の構成は、最初に「期」の全体像を解説し、次の記事から各期で起きた出来事や課題を具体的にご説明していきます。

本記事は創業直後の「シード期」の全体像をご紹介します。

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①シード期の位置づけについて

当社創業メンバーの3名は、2003年10月創業の半年程前から事業の立ち上げ活動を行っていました。

当社代表の落合さんが創業メンバーの一人「無敗営業」高橋浩一さん(2009年末に退任)に声を掛けたのが2002年11月頃。その後高橋浩一さんが私を参画に誘ったのが2002年12月頃でした。

私は2002年の夏頃から、将来スタートアップベンチャーを立ち上げることを考えておりまして創業の仲間を探していました。その際に友人から紹介されたのが高橋浩一さんで、代表の落合さんとは当時面識はありませんでした。落合さんに最初に会ったのが2003年1月頃のことでした。

落合さんから「ビジネスを通じて社会の問題解決に取り組みたい」という趣旨を聞き、高橋さんからは「社会に大きなインパクトを与えられる教育分野で起業したい」という話を聞き、私はチームに参画することを決めました。

その後、約9か月ほどの時間を掛けて、事業アイデアや会社像について議論を重ね、2003年10月29日に当社を設立しました。

創業時の社名は「株式会社エデュ・ファクトリー」。エデュケーション(教育)の工房(ファクトリー)として、質の高い革新的な教育サービスを社会に提供することを掲げた社名でした。(その後2006年に現在の「アルー株式会社」に社名を変更します)

当社にとってシード期は、2003年1月~2004年末の2年間ほどが該当すると考えています。業績としては、2003年度4か月間(11月~3月末)の決算で約1,500万円の売上、2004年は通期で約9,000万円の売上でした。

2004年末の時点でチームの体制は、創業経営陣3名+最初のコアメンバー1名+事務サポート1名(+パートタイムでのボランティアCFO)の5名+1名でした。

また、株式会社エデュ・ファクトリーは、この時点ではエクイティ・デット両方での資金調達は行っておらず、創業時の資本金として持ち寄った1,000万円の自己資金を原資として運営していました。

売上グラフ期別


②シード期の全体像について

スタートアップ関連の用語として「シード」「シードステージ」という表現は良く使われます。一般的には「アイデアがあるが起業前」または「アイデアはあるが具体的な製品サービスがない段階」を意味します。

株式会社エデュ・ファクトリー(アルー)においては、2003年10月に法人設立をしましたが、その段階では具体的な製品サービスがない状態でした。

以下に、シード期の全体像の概略図を示します。

シード期全体像

図の上段左側は、創業時の当社の状態を示しています。
図の上段右側は、シード期が終わるころに到達した状態を示しています。


③シード期の初期段階

ミッション・ビジョンという会社として目指すべきものは、当時明確にありました。「社会の発展に貢献する次世代のパイオニア人材の育成に寄与すること」というミッションを2003年夏頃に定めました。

創業時理念

しかしながら「事業ドメイン」や「プロダクト」については、具体的なものが一切ない状態でした。

事業ドメイン」とは、どのような分野・領域・顧客課題が存在するテーマを会社として取り組むのかということです。創業時の当社では、おおまかに「教育分野」に取り組むとは決めていたものの、具体的に「誰が顧客なのか?誰に対してサービスを提供するのか?」ということは明確ではありませんでした。
(その後、幼児教育、大学生教育、社会人教育/個人向け・法人向けなど試行錯誤を続けて、結果として現在の法人向け教育研修事業が形になっていきます)

プロダクト」は商品・サービスそのものですね。多くのスタートアップ起業では、事業や具体的なプロダクトアイデアを持って会社を創業しますが、当社はこの点もとてもぼんやりとしたままのスタートでした。


④シード期の活動プロセス

図の上段中央が、シード期における主たる活動内容・プロセスです。

シード期におけるチームの活動の特徴を一言で表すと
営業マン兼開発者として動く
というものでした。

メンバー全員が、事業アイデアを考えつつ、営業活動を行い、具体化した案件や話があればプロダクトの開発に取り組んでいました。

この活動において、教育分野で事業を行いたいという想いがありましたが、必ずしも教育分野の仕事ばかりではなく、自分達の得意領域・経験のある分野の仕事を受注し、キャッシュを稼ぐということも同時に行っていました。
(当社創業メンバーは全員戦略系コンサルティング会社に新卒入社をしていました。コンサルティング会社の下請け的な仕事も多く行いました)

キャッシュを稼ぎつつ「教育分野の仕事」を求めて人に会い続け、少しずつ教育分野の仕事に関わるようになっていきました。こうした活動を通じて「事業ドメインの知識」を少しずつ蓄えていきました。

また、教育分野の仕事に関わりつつ、自社としてのプロダクトの開発にも同時に取り組んでいきました。教育分野のノウハウ・経験を積むことで、1~2年掛かりで当社としての「初期プロダクト」を形作っていく事に取り組みました。
※ここで生まれた「初期プロダクト」が「ロジカルシンキング100本ノック」という企業向け研修プログラムです。

また図の下段に、シード期において会っていた(≒営業をしていた)人は、基本的にはメンバーの知人が中心でした。

現在の当社の顧客である、企業の人事・人材育成担当者の方とはこの時点では直接接点を持つことが難しい状態でした。こうした方々は予算を実際に持っている方ですが、そうした方には多くの既存企業が営業活動をしています。創業直後でノウハウも実績も何もない私たちはお会いすることもできませんでした。


⑤シード期を通じて到達する状態

ミッション・ビジョンは当初から定まっていましたが、開始時点ではふんわりとしていた「事業ドメイン」が明確となり、ドメインに関する一定の知識・ノウハウ・経験が蓄積されました。

創業当初、幼児教育、大学生向け教育など様々な分野に対する試行錯誤を繰り返しましたが、企業向け研修分野で事業を立ち上げていくことが明確になりました。
そのための「プロダクト」がいったん形作られる状態に到達しました。

この段階において「プロダクト」は、PMF(プロダクトマーケットフィット)をしているレベルではありません。ロジカルシンキング100本ノックという研修プログラムが一つあり、それが初期顧客にトライアル納品ができた状態でした。
(ITサービスであれば、プロトタイプの動く画面がある程度という最小限のサービスができたというイメージです)


⑥シード期の課題と具体的な取組み

次の記事以降、シード期において直面した具体的な課題とその対応について紹介していきます。

(1)知り合いづてにとにかく営業活動を実施する(シード期)

(2)最初期は自社ドメインと関係がなくとも、得意分野でマネタイズをする(シード期)

(3)自社ドメインのベンダーの下請けで開発案件を受託する(シード期)

(4)初期顧客案件でプロダクトをいったん完成させ、実績を作る(シード期)


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本noteでは別途アルーの「研修プログラム開発のストーリーとノウハウ」を公開しています。ぜひご覧ください。

<アルーのすごい研修開発バイブルを読まれる際はこちら↓>

すごい開発バイブル


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