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正岡子規『はて知らずの記』#33 八月十九日 黒沢尻→水沢→(汽車)
(正岡子規の『はて知らずの記』を紹介しています)
公園に寄り、汽車で帰る。十九日、曇天。
小雨、折り折り来る。
午後の汽車にて
水沢に赴く。
当地、公園は町の南端にあり。
青森、仙台間、第一の公園なりとぞ。
桜、梅、桃、梨、
雑樹を栽う。
夜汽車に乗りて、
東京に向ふ。
水沢
公園(→水沢公園)
駒形神社の祭礼なりとて商人の用意頻りなり。(初出)
水沢午後八・二四発(全集第13巻)
正岡子規『はて知らずの記』#32 八月十八日 黒沢尻
(正岡子規の『はて知らずの記』を紹介しています)
宿にSTAY。十八日、旅宿に留まる。
けふは、七夕といふに、
風雨、烈しく吹きすさみて、
天地、惨憺たり。
黒沢尻(→岩手県北上市)
黒沢尻の宿は「伊勢屋」か。(全集第22巻)
正岡子規『はて知らずの記』#21 八月七日 楯岡→大石田
(正岡子規の『はて知らずの記』を紹介しています)
疲れて午後休。七日、晴れて熱し。
殊に、前日の疲れ、全く直らねば、
歩行困難を感ず。
三里の道を、半日にたどりて、
やうやう大石田に着きしは、
正午の頃なり。
最上川に沿ふたる一村落にして、
昔より、川船の出し場と見えたり。
船便は朝なり、といふに、
ここに宿る。
大石田
⇒大原恒徳(自宅へ十円の送金願い。朝、楯岡から発信)(全集第22巻)
正岡子規『はて知らずの記』#19 八月五日 仙台→作並温泉
(正岡子規の『はて知らずの記』を紹介しています)
移動を再開。歩いて山の温泉へ。五日 南山閣を辞して、
出羽に向ふ。
留別
広瀬川に沿ふて遡る。
嶄巌、激湍、
涼気、衣に満つ。
橋を渡りて、愛子の村を行く。
路傍の瞿麦、雅趣、めづべし。
野川橋を渡りて、
やうやうに山路深く入れば、
峰巒、形、奇にして、
雲霧のけしき、亦、ただならず。
作並温泉に投宿す。
家は山の底にありて、
翠色、窓間に滴