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墓まで

 またしても空白少女が二人宙を飛んで、どちらがどちらだか知らないが、大事にされず、ゴムされず、それだからと、価値がないもはや価値すらわからないと泣いたあと、トニン&パブロンの両翼で飛び、馴染み深かったアスファルトにを口づけをしたという「ニュース」、

そんなリアルは目のまえにあるようなのに、リアリティを失っていると耳をすませば、政治家の絶叫が鼓膜を破ろうとする、評論家もお決まりの挑発、電話相談所はため息をかえす、

鈍麻した感覚をせめて彩ろうとLIVEを浴び、もっと七色に包まれようとしたとたん打ち捨てられ、逃げ込んだショートムービーのなかは煽りあい、呆気にとられつつ気がつくともう午前、ASMRのささやきが悪魔の手つきで八つ裂きにしてくるから思わず目覚めれば、一時間半睡眠の自分を持て余し、なんだか聴こえるのは狂いはじめていた世界の軋む音、

信じるものを求めて路上へいくべし、利用してやろうと利用者たちが待っている路上には気をつけるべし、だがしかし家よりはましであるべしと。

 路上にて。薄い足跡を証に路上にて。翌朝に起きるだろう、となどかんがえられず、夏のまえの夜にもふるえ、テナントビルの影で暖をとれば叩きだされ、たどりついたただ一つの自然である墓地にて目を閉じる。──

 死者たちの沈黙はほんとうの寡黙さを持っている。冷たくなどない。その静けさは多くを語らせる。
 大丈夫、この場所の沈黙を、恐れなくても大丈夫。むしろ沈黙にたいして語らなくてはならない。
 語れ、語れ、大丈夫、吃音のくちびるでも大丈夫。むしろそうあるがいい。ただたどたどしくこの沈黙の場所で語らなくてはならない。


I wrote this yesterday. And now I'm posting this. Literature is always so lazy.


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