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心象空間 エッセイ・小説

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エッセイは日常の出来事に触れ感じたことを心のままに、書き連ねています。 小説は頭の中のモヤモヤを言葉にする作業です。
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#言葉の力

ショートショート「沈む石」

ショートショート「沈む石」

今日もツイテナイ。

その女は、足元にあった小さな石を蹴った。もちろん周囲にはだれも人がいないことを確認しての行為だったが、その行為が女にとって、ちょっとしたストレス解消になる。だがまたすぐ、イライラした。

イライラの原因は、別にこれといって特定するものもないのだが、つかみどころのない自身の感情が、女のイライラをさらに加速させるのだった。

「なにかいいことないかなぁ」

何の気なしにつぶやいて

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ショートショート「超・回復傷薬」

ショートショート「超・回復傷薬」

またやってしまった___。アキは流血した指先を見つめ思った。ほつれたスカートのはしを安全ピンで止めようとして、あやまってピンを自分の指に刺したのだ。血がどんどんにじんでくる。

アキは急いで絆創膏を探し、指に巻いた。こういうことは日常茶飯事だ。子どものころからそうだった。27歳になった今でも、怪我が絶えない。

せっかちな性格も多少の影響はあるのかもしれないが、ほぼ毎日のように怪我をしているとなる

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私たちは愛されていることを忘れている

私たちは愛されていることを忘れている

娘が通う幼稚園から送られてくる定期通信に、目を通すようにしている。

娘はプロテスタント系キリスト教会私立幼稚園に通っているのだが、長男の頃から数えて幼稚園通いは今年で10年目。

兄妹間の歳の差からこんなにも幼児教育を学び続けている母親も、珍しいのではないか・・・と我ながら思う。

だからと言って私自身は10年前と変わらず、今も育児に悩み、あたふたし続けている。

そんな私に有難い育児指南書が、

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私にとっての絵と詩

私にとっての絵と詩

今月は、幾作品か絵を描き終えた。
ただ私の場合、絵を描き終えて「さぁ完成だ」とはならない。

絵に何か一言書き添えたくなって、早起きした朝は描いた絵と向き合い頭に浮かぶ言葉を書き留めていく。
それがいつも、「詩」という形で完結する。

詩は、描き終えた絵をぼーっと眺めながら心に浮かんだ言葉を紡いでゆく。
それはまるで、言葉の煌めく小さな星屑を組み合わせるかのよう。

広い集めては繋ぎ、外しては別の

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