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心象空間 エッセイ・小説

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エッセイは日常の出来事に触れ感じたことを心のままに、書き連ねています。 小説は頭の中のモヤモヤを言葉にする作業です。
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#絵

ショートショート「水の国Ⅱ」

ショートショート「水の国Ⅱ」

ショートショート「水の国」
初めの物語はこちら⇩

美しい泉、湧水で遊ぶ子どもたち。水生昆虫があちらこちらに。子どもたちは夢中で虫を捕まえては、抱えていた携帯水槽に入れ、笑った。

水面はキラキラと輝き、親たちは木陰でくつろぐ。ああ、この国はなんと美しく、素晴らしいのだろう。

「大臣」
「ああ、すまぬ、うとうとしていた」
「ガリー会社から、第四工場の申請がきております」
「第四工場か……」

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ショートショート「勇気ある決断」

ショートショート「勇気ある決断」

浅瀬に近い海のなかで、2匹の魚が会話をしていた。魚……といっても、むなびれやおびれの骨格はしっかりとしたつくりで、岸にかなり近い浅瀬まで泳ぐことができる。そこからは陸上の、緑の植物をぼんやりと見ることができた。

1匹の魚が言った。
「おい、きみは本当に挑戦するつもりかい?」

もう1匹の魚が陸を見ながら言った。
「ああ。おれは行く。陸に進出するのだ」

「だがあの世界にはまだわからないことが多い

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私たちは愛されていることを忘れている

私たちは愛されていることを忘れている

娘が通う幼稚園から送られてくる定期通信に、目を通すようにしている。

娘はプロテスタント系キリスト教会私立幼稚園に通っているのだが、長男の頃から数えて幼稚園通いは今年で10年目。

兄妹間の歳の差からこんなにも幼児教育を学び続けている母親も、珍しいのではないか・・・と我ながら思う。

だからと言って私自身は10年前と変わらず、今も育児に悩み、あたふたし続けている。

そんな私に有難い育児指南書が、

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私にとっての絵と詩

私にとっての絵と詩

今月は、幾作品か絵を描き終えた。
ただ私の場合、絵を描き終えて「さぁ完成だ」とはならない。

絵に何か一言書き添えたくなって、早起きした朝は描いた絵と向き合い頭に浮かぶ言葉を書き留めていく。
それがいつも、「詩」という形で完結する。

詩は、描き終えた絵をぼーっと眺めながら心に浮かんだ言葉を紡いでゆく。
それはまるで、言葉の煌めく小さな星屑を組み合わせるかのよう。

広い集めては繋ぎ、外しては別の

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