飯田市

春一番の夜更けに

そこを故郷(ふるさと)だと思いたかった、遠い街の映像が私の前に現れる。自転車旅の果てに辿り着いた、丘の上の小さな街。

強い風は南アルプスを超えてやってくる。真冬にはそれがあの街で雪を降らせたあとの乾いた冷たい風になる。

旧い街だった。旧市街には昭和の空気が色濃く残り、人々もまた昔風の気質だった。あの街を訪れることは過去へ旅することに似ていた。

港街の、ノンシャランであけっぴろげな気風とは正反

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映画『いつくしみふかき』が一食18円でロケ弁賞!

映画『いつくしみふかき』がいよいよ2020年2月に公開されるとあって、じわじわ盛り上がってきています。(ちなみに、2020年公開ですけど「2019年日本映画のベスト1位」というツッコミどころのある記事も書きました。よろしければ読んでください。)

それにしても長かった。クランクアップから2年超。
「映画ってこんなに待たせるものなの?」と主演のひとり遠山雄さんにお聞きしたら、

「いや、お金なくて少

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今年もあと僅か!未だ公開されぬ「2019年日本映画のベスト1位」は異色の映画?

今年も残すところ僅かとなり、いろいろを振り返る時期になりました。
「2019年日本映画のベスト1位」と聞くと、すでに公開された映画だと思いますね。

ですが、「2019年…」にも関わらず、未だ公開されていない映画。

それが、映画『いつくしみふかき』であります。

この映画は長野県飯田市に縁のある遠山雄さんが映画監督・大山晃一郎さんと企画し、2017年10月に「オール飯田ロケ」で撮影がおこなわれま

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あなたとわたしのスケッチ会 Vo.10

参加者が交代でモデルをする、お絵かきワークショップのご案内です。長野県飯田市にあるテンリュウ堂で開催します。特別な知識や道具は要りません。お気軽にご参加ください。

この日はキッチンしろくま座さんのカフェ営業日(テンリュウ堂さんではレンタルキッチンを行われています)。私も珈琲とケーキを頂いたことがありますが、とっても美味しかったです。Instagram(@shirokumaza_)もされているので

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1993年の燕(つばめ/短編小説最終回)

その翌日、千葉に帰る日に、昭彦はもう一度和男と会い、定食屋で昼飯を一緒に食べた。
「俺の予想じゃ、スワローズは今年はリーグ優勝できないんじゃないかと思うよ。お前に次回の飲み代を払わせたいのは、やまやまなんだけどさ」と、和男は言った。
「だがもし日本シリーズで勝ったら」と昭彦は言った、「一五年ぶりになる、な」
 和男はそれには答えずに、別のことを訊ねた。
「今日帰るんでなけりゃな。今日は六時であがれ

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1993年の燕(つばめ/短編小説その2)

翌朝も、昭彦の起きた時間は昼に近かった。すでに夏の陽は高く、窓を開けると庭のベージュ色の土が眩しかった。その反射のなかに、雲母の粒子が輝いているような気がした。段丘の向こう側では、山地の青い影の上に、積乱雲の兆しが重なっている。
 実家の庭と、昭彦のややくたびれたルノーとの取り合わせは、奇妙な親和性があり、どこかしら可笑しかった。一部のフランス車は、農具に似たところがあるのだ。昭彦の実家は梨農家で

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1993年の燕(つばめ/短編小説その1)

※夏休みスペシャルの短編3分割掲載です。縦書き原稿を複写しているため、漢数字の横書きがあります。舞台は、「丘の上の小さな街で」と同じ飯坂(=飯田市)です。登場人物等はもちろんフィクションです。

 夏に飯坂に帰郷すると、昭彦が通学に使っていた道は分断されていた。両親から聞いて知ってはいたが、中央分離帯のあるバイパスがそこを横切って開通していた。実家から五〇メートルほどは離れているとはいえ、もともと

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ラーメン大学って!?

大学生の方々と「大学ってこんなとこ8/9」というイベントを企画してみました。これは地元の高校生に向けて自分たちが大学に進学してみて知ったこと、都会のことなどを語る集いです。

(ちなみに、ラーメン大学さんとは関係がございません。勝手にいじって申し訳ありません。もしご迷惑でしたら削除します。)

あまり大学のことを知らない高校生

なんでも大学生によれば大学が身近にない当地域の高校生たちは、自分たち

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効率重視の機械化に成功! 水引工場見学レポート@長野県飯田市 | #水引の自由研究 04

こんにちは! 紙単衣の水引デザイナー小松です。

ご祝儀袋に付いている紙紐「水引(みずひき)」。
その日本一の生産地である長野県飯田市で、素材の製造から結び細工まで手がける 株式会社神明堂 さんの水引素材の製造工場を見学してきました。
素材作りの効率化を徹底的に追求した機械生産の現場をレポートします!!

■特大サイズの原紙を小巻にして切断

製紙会社から届く水引の芯となる原紙は、1200m×17

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ありがとうございます
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「水引の歴史」をいらすとやさんのイラストで振り返ってみる | #水引の自由研究 01

こんにちは! 紙単衣の水引デザイナー小松です。

今回は日本の伝統工芸として知られる「水引(みずひき)」の歴史を、フリー素材サイト「いらすとや」さんのイラストとともにほのぼのと振り返ってみたいと思います。

●日本の贈答文化のはじまりは、小野妹子さんら一行

飛鳥時代に遣隋使・小野妹子さんら一行が隋から帰還した際に、答礼使が持っていた宮廷への贈り物に航海の無事を祈って紅白の麻紐が結ばれていました。

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