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#旅と対話と組織開発 〜Vol.004 河原俊文さん(南信州新聞社/三遠南信Biz編集長・長野県飯田市)

沢渡あまねが、組織や地域の景色を変えている変革実践者と対話しエンパワーし合う旅日記、 #旅と対話と組織開発
今回の舞台は長野県飯田市。南信州新聞社に勤務され、広域メディア『三遠南信Biz』の編集長もなさっている河原俊文(かわらとしふみ)さんを訪ねました。2024年4月15日(月)、浜松を出発しR151をひたすら北上!
対話の旅の始まりです。 


当社も加盟する一般社団法人日本ワーケーション協会 代表理事 入江真太郎(いりえしんたろう)さん も合流。長野県 産業労働部 産業立地・IT振興課 主任 清滝葵(きよたきあおい)さん 飯田市 産業経済部 工業課長 木下 一さんも駆けつけてくださり、カラフルな対話をすることができました。

ちなみに、#旅と対話と組織開発 とはこんな企画(↓)です。

河原さんと僕の最初の出会いはTwitter(現X)。2023年4月30日に、こんなダイレクトメッセージをいただいたのが始まりでした。

初めまして。先週の日曜日に長野県におけるダム際ワーキングについて沢渡様にリツイートしていただいた三遠南信biz編集長の河原(長野県飯田市在住)と申します。

本日、地元でダム際ワーキングを体験し、その感想を自社媒体「南信州新聞」の5月2日付に記事として掲載したいと考えております。

提唱者が沢渡様であることに触れる必要があり、その件を許可していただきたく、連絡いたしました。 お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いします。
南信州新聞社 河原俊文

河原さんが沢渡に宛てたTwitterのダイレクトメッセージ(2023年4月30日)

なんと、 #ダム際ワーキング  がフックに!そして地域で体験なさった!
それだけで僕は跳ぶように嬉しかったのですが、さらに地域メディアで記事にしてくださるとのこと。大喜びで返信しました。

浜松から飯田への道すがら、『道の駅豊根グリーンポート宮嶋』(愛知県豊根村)で
ダムカレーランチ。僕は道中の他都市にもお金と時間を落とす主義。これも越境思考。
飯田への道のりは季節のお花がとにかくカラフル。楽しいドライブ旅でした

そこから僕は河原さんと懇意になり、2024年3月に静岡放送/静岡新聞 大見拳也(おおみけんや)さんが浜松市で開催した #ダム際共創ミーティング にお声がけ。初めてリアルでお会いしつつ、浜松・佐久間町と周辺地域で #ダム際ワーキング による対話とグループワークをご一緒しました。

一行はいったん南信州新聞社さんの事業所に集合し、すぐさま松川(まつかわ)ダムへ。
飯田市街地からクルマで15分程度。都市部に近接した行きやすいダムです

僕たちが広めている #ダム際ワーキング を体感され、そして僕たちのホームである浜松に飛び込んでくださった。今度は、僕たちが河原さんのホームに飛び込む番だ。お互いの景色を見に行きたい

そんな思いもあり、僕たちの同志でもある入江さんもお誘いして今回ようやく河原さんのホーム・長野県飯田市を訪問し松川(まつかわ)ダム#ダム際ワーキング をご一緒しました。

ここが今回の越境・共創・対話スポット。桜が見頃で、ゆっくりのんびり散策と対話ができました
左から筆者、清滝葵さん(長野県 産業労働部 産業立地・IT振興課 主任)、
入江真太郎さん(一般社団法人日本ワーケーション協会 代表理事)、
河原俊文さん(南信州新聞社/三遠南信Biz 編集長)、
木下一さん(長野県 飯田市 産業経済部 工業課長)

中京圏のワーケーション文化の普及に関心を持ち始めたという入江さん。
その入江さんのお声がけで、清滝さんも参加することに。

清滝さんは県庁職員として、長野県内の産業創成や企業間共創、DX推進などに取り組んでいらっしゃいますが、南信(長野県南部エリア)にもその活動の幅を広げていかれたいとのことでご一緒しました。

ところで清い滝に葵……まさに、ダムの魅力を存分に表現したようなお名前。#ダム際ワーキング にふさわしい! そんな話をしながら僕たちはダムに向かいました。
初対面同士でも雑談や相互の自己開示が弾むのも、ワーケーションや #ダム際ワーキング の魅力。そして対話は越境と共創のエンジン
やはり景色を変えるって大事だな。

アイスブレークがてらに天端(てんば・ダム堤頂の通路)を散策。
湖面のグリーンも対話の材料に
さまざまな角度でダムを愉しみながら対話も愉しむ

木下さんは、河原さんのお声がけでご参加。飯田市の産業の現状や取り組みについてお話しいただけるとのことで、松川ダムにお越しいただきました。
ダム際で名刺交換。この景色、僕めちゃくちゃ好きです。

松川ダムの東屋(あずまや)でミーティング。そよぐ風も心地よく、対話と相互理解が弾みます

ダムビューの東屋(あずまや)でオープンなミーティング。
平日の山奥のダム際は観光客の姿もまばら、かつインバウンド客もおらず静かにミーティングや作業や読書に集中することができます

入江さんから日本ワーケーション協会の取り組みと現状を説明、次に僕(沢渡)が当社あまねキャリアの取り組みと #ダム際ワーキング および浜松・豊橋を中心とした越境学習や共創の取り組みと変化などをお話ししました。

三遠南信(愛知県東部、静岡県西部、長野県南部)のエリアマップ

木下さんは、リニアや三遠南信自動車道の拠点をハブにした新たな街づくり構想水資源の再整理活用や宇宙航空・エアモビリティなどを軸にした新産業創出など新たなチャレンジについてご説明くださいました。これらの取り組みは信州大学とも密に連携しており、まさに垣根を超えた越境・共創の姿を垣間見ることができました。

地図を広げて指さししながら広域連携の可能性をディスカッションする参加メンバー。
これも越境と共創の一コマ

三遠南信自動車道の開通は、僕たちのホームである浜松・豊橋および愛知県エリアとの産業交流や越境学習を加速しうることは間違いなく、僕たちが進める『越境学習の聖地・浜松』『あいしずHR』などと連携(越境と共創)を強化しましょうと、僕からもお話しし共感いただきました。
(『越境学習の聖地・浜松』『あいしずHR』のイベントのリンクは本記事の最後に掲載します)

僕たちのホーム三ヶ日町のみかんジュースを皆で飲みながら、ダム際でオープンな越境対話

続いて、河原さんに飯田市および南信エリアのワーケーション、リモートワーク、デジタルワークシフト、スタートアップなどの現状や課題感などをお聞きしました。以下はそのメモです。

・ワーケーション目的で訪問する人は一定数いる。首都圏かつIT関係の職種の人やフリーランスが多い。一定期間滞在する人も
・日帰りや短期のワーケーション来訪者は、中京圏の人が目立つ
・地域の企業や人たちのワーケーションに対する認知や理解は進んでいない。工業が主力産業であるところも影響しているか
・ワーケーションに利活用できる施設は(河原さんが数えた限りにおいて)飯田市と下伊那郡で10か所(公営:3、民営:6、宿泊施設併設:1)
・リモートワークは、COVID-19の蔓延により進んだものも「より戻し」もある。BCPの選択肢としてリモートワークを実装できている企業は多い
・(南信エリアの)実家に戻ったり、クラインガルテン(貸借農地や農業施設)に移住しフルリモートで他都市の企業に就業する人は増えてきている。一方で地域の人たちのデジタルキャリアの形成は今後の課題
・自治体DXの動きも始まっている。1町内会から取り組んでエリア単位に拡大、そこから地方自治のDXに広がる動きも
・人材育成や学習に対する企業の意欲について。社員に学びを提供したい意欲を持つ企業は少なくない。就業しながら通学する仕組み、経営者同士のコミュニティなども
・スタートアップは南信ではまだ少数か。南信出身者で、都内でスタートアップを起業したりスタートアップ支援をしている人はいる

河原さんにお話しいただいた南信エリアの産業やワークスタイルの現状
松川ダムに至る県道を下ったところにある風越公園でのワンショット。
ここにも東屋があり、松川ダム #ダム際ワーキング 第2会議室として活用できそう(笑)

河原さんのお話しぶりと行動から、飯田はもちろん、南信地域と三遠南信エリアの連携で広域を面白くしていきたい、良くしていきたい思いがひしひしと伝わってきます(僕もインスパイアされます)。

飯田で生まれ育ち、東京の大学に進学した河原さん。
当時はバブル経済絶頂期で、そのまま東京の広告代理店に就職し楽しく仕事をしようと思ったそう。

風越公園は桜が満開!名の通り、ダム上流方向からそよぐ涼風を感じられる素敵な公園です。
ちなみに入江さんは「今年見た桜の中で一番綺麗!」と絶賛。
京都の入江さんに褒められ、テンションがあがる清滝さん。越境リスペクト!

ところが、地域に戻り南信州新聞に就職なさった。

河原さんはどんな思いで故郷に戻ってこられ、そしてこのような越境と共創に情熱を燃やされているのでしょうか。その背景と思いを聞いてみました。

風越公園のすぐ隣、『ホテル風の山』さんに。RVパークに併設するホテル&カフェ&レストランで
ドロップインによるカフェ利用やワーケーションも可能。バーも併設しています。
究極かつ至高の #ダム際ワーキング スポット!

「(大学生時代)帰省するたびに、飯田に対する愛着が増していることに気づいたのです」

と河原さん。自分の心と感情に素直に向き合う。その生き方が素晴らしいと僕は思いました。
内省そして自分との対話。そこから、自律的なキャリアを歩み始めた人は強い。僕も日々そう感じています。
(僕が協会のアンバサダーを務める、『プロティアン・キャリア』の話も少ししました)

ホテル風の山の代表取締役社長 青山利行(あおやまとしゆき)さんも加わってくださいました。
青山さんは親会社であるIT企業、テレネット株式会社の専務取締役を兼任。
東京ご出身でいまは飯田で事業展開をなさっています。
美味しい信州和紅茶をいただきながら意見交換

「不自由の中にこそ自由がある」

河原さんはこんなメッセージもくださいました。
確かに、新聞記者とはさまざまな制約(紙面の制約、表記のルール、取材対象や関係者への配慮ほか)がある中で、事実を伝えつつも問いを立てて読者の思考・行動を促し、世論形成をしたり思いを伝える仕事

完全に自由な世界だったら、自由と真摯に向き合い手に入れることは叶わないでしょう。

ホテルの部屋を見学させてもらいました。クリエイターやアーティストの創造をかきたてる素敵な空間。自然と一体となれるバルコニーも最高です
内と外とがシームレスに越境した設計も、訪れる人のクリエイティビティを高めてくれます。
これぞ越境デザイン、共創デザイン。PC持ち込みでリモートワークする人も多いとのこと。
薪ストーブのあるバーも素敵。いろいろ「わかっていらっしゃる」ホテル&カフェレストランです

地方都市においても同じことが言えると僕は感じました。

飯田も(僕たちが活動している浜松や豊橋も)、東京のように何でも揃う都市ではない。交通の便も決して良いわけではない。ある意味で制約の多い不自由な都市かもしれません。

一方で、地域に既にあるものや、地域の切り取り方を変えてみると面白がってくれる人がいる。地域外の人が意外な着眼点で、意外な魅力や可能性を言葉にしてくれ、そこに地域の中の人たちが集まって新たなコトやストーリーが生まれる

新しいカラー、新しい自由を創ることができる。

その悦びは、自由な都市では得られない唯一無二の体験であり価値だと僕は思います。

河原さんのご案内で産業振興と人材育成の拠点『エス・バード(S-BIRD)』へ
エス・バード(S-BIRD)は高校の校舎をリノベした空間にあります
信州大学もサテライトキャンパスを構え、航空宇宙システムの研究開発も行われています

そんな河原さんだからこそ、地域に目を向けるのみならず、地域外の人や取り組みにも関心を持ち、こうして一緒に景色を見てくださるのでしょう。

今回も河原さんを中心に、僕、入江さん、清滝さん、木下さん、青山さんと地域内外の皆さんが組織や立場を超えて越境し対話をして共創する。
そんな景色を体感することができました。

地域活性も都市デザインも共創デザインも、核になるのは人、そして人と人とのつながり。それを改めて実感しました。

エス・バード(S-BIRD)にはドロップイン利用が可能なセミナールームやコワーキング、そしてオンラインミーテイングブースも。ありとあらゆるリモートワークや越境学習需要に対応。
9時から21時までオープンしているのもありがたいです
デジタルものづくりができるラボも。近隣の小学生の体験授業もおこなわれているそうです

このようなオープンな自己開示と相互理解がさりげなくできるのも、ダム際ならでは

普段は都市部の共創施設やコワーキングなどでミーティングやプロジェクト活動を行い、たまには景色を変えてダム際に。あるいは、今回のようにダム際で関係構築して、そこから都市部の施設でがっつり対話やディスカッションをする。

そのような共創の景色のバリエーションを創れるのも、地域ならではのユニークネスであり強みであると確信しました。

地域の景色をカラフルに!

風越公園、ホテル風の山、エス・バードと河原さんにご案内いただいた後、僕たちは南信州新聞社に戻りました。

河原さんとはここでお別れ。ちょうどお腹もすいてきたので僕と入江さんと清滝さんの3人で夕飯を食べて帰ることに。

飯田といえば焼肉」とのこと。

みんな大好き、お肉です!

飯田の市街地。そして飯田名物の焼肉屋さんへ

「煙の臭いが服につきますが大丈夫ですか?」
と河原さん。ええ、構いませんとも。少なくとも僕は『さわやか』で日頃から慣らしていますので。むしろ、会話のネタになるので良いかとも思っているくらいです。

焼肉も絶好の対話のツールです!

そして入った、『やきにく徳山』さん。月曜日から地域のビジネスパーソンと思われる人たちであっという間に満席に。飯田の肉パワーあなどれない!

肉の煙を存分に浴びながら、僕たち3人はディスカッションと振り返りを継続しました。以下、その雑なメモです。

・インバウンド客は近隣では中津川などに流れている。その流れを逆手にとり(?)、飯田は企業間共創や越境学習に振るのもよいのではないか。インバウンド客や観光客と混在せず、仕事や学習に集中できる環境は差別化要素に
・越境学習を軸にした地域活性に、ワーケーションや #ダム際ワーキング を絡めていきたい
・対東京ではなく、中京圏の都市間連携(共創)のストーリーを創っていこう(中京圏内交流であれば鉄道の利便性はハンデになりにくい。どうせクルマで移動しているので。むしろ高速道路ネットワークに優位性あり)
・ワーケーションや #ダム際ワーキング や越境を『体験資産(経営)』の文脈でも意味付けする。人的資本経営、組織のイノベーション能力向上などと関連付けて
・スタートアップ企業が二極化している。「ひたすらピッチ」みたいな激流スタートアップと、ワーケーションや対話などを大切にしつつじっくり立ち上げていく緩流スタートアップに。どちらのメリット・デメリットも勘案しつつ、よい共創・共生をしていけないか

焼肉屋での対話メモ(入江さん、清滝さん、沢渡)

越境・共創、体験資産などは以下のスライドの内容にも触れつつお話ししました。併せてご覧ください。

この焼肉対話(ヤキニケーション ←今この記事を書いていてとっさに命名)では、話題に併せて次の変革推進者の名前も出ました。参考までに共有します。

▼河村英昌(僧侶えいしょう)さん
寺社仏閣×地域活性といえばこの方!僕は和歌山の #ダム際ワーキング でご一緒しました。

▼神田主税(かんだちから)さん
三島市在住で全国を飛び回る、通りがかり系越境・共創推進者。最近は静岡でサウナ推進協議会の理事も務められています。

▼岸和良(きしかずよし)さん
住友生命保険の理事・デジタルオフィサーで、企業向けのDX人材育成プログラムも展開。最近では下呂市などで行政とタイアップしてのDXプログラムも手掛けられている方。山間地がお好き。

▼荒井雄介(あらいゆうすけ)さん
長野でDXそして変革といえばシソーラスさん!
その取締役の荒井雄介さんは、僕とも懇意で熱い対話のできる方です。ワーケーションなどの景色を変える取り組みにも意欲的。

こうしてまた、さりげなく新たな人と人とのつながり(社会関係資本)が生まれるのもワーケーションの良さ。

かつ誰のホームでもなくアウェイな場所だからこそ、フラットな関係でコミュニケーションが起こる。そう感じました。
(ダムに関して言えば、地域の人にとってもあまり行ったことのない良くわからない未知な場所だったりします)

そして全国各地の、 #ダム際ワーキング に手を挙げる地域や企業や施設を募集しています。僕たちと一緒に、横でつながりあって新たな文化を創造しませんか。

河原さん、木下さん、入江さん、清滝さん、青山さん。ほんとうにありがとうございました!ここから地域間の越境と共創の輪を広げていきましょう。

飯田×焼肉コミュニケーション最高です!また絶対、仲間を連れてきます
ヤキニケーション!

これからも時間を見つけて(余白を創って)、全国各地で組織と地域の景色を変えるチャレンジをしているファシリーダー(ファシリテータ+リーダーの造語)と対話していきたいと思います。

追伸)3月の佐久間町ほかでの #ダム際共創ミーティング の様子を河原さんが早速記事にしてくださっていました!感動! 皆さん、ぜひご一読を。

▼『あいしずHR』 2024年5月10日スペシャルイベント(豊橋市)

▼『越境学習の聖地・浜松』2024年6月19日キックオフイベント(浜松市)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfIOIE_lpMJ5Eu3Wh0mUj4uh5Cg0jEA6RzbbCgZfNpgCez6hg/viewform

▼書籍『新時代を生き抜く越境思考』

▼書籍『バリューサイクル・マネジメント』

▼書籍『推される部署になろう』

▼ファシリーダー育成プログラム『組織変革Lab』

▼僕たちあまねキャリアのサイト