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部下を叱れない上司
最近相談されたのは、相手の反応を考えてしまうと部下が叱れないという悩みについて。
以前のコラムで「叱る」と「怒る」の違いについて触れたことがありました。
叱るのは「相手への指摘」が目的、怒るのは「自身の感情の発露」が目的、そう分けて考えるという内容のものでした。
この相談者は、別に自分の感情を発露したいわけではなさそうでしたが、「相手に嫌な思いをさせたくない」という叱ることに対する負のイメージを持たれていました。
まずは、なんのためにその相手を叱るのか、ということからですよね。
叱らないといけない要素が、その部下にはあるわけです。
もう少し掘り下げていくと、変えてもらわないと困る要素があるわけです。
では、誰が困るのか。
お客様が困る。
仲間が困る。
結果、会社として困る。
そして、どうして困ることになるのか。
その辺りを明確にしておく必要があります。
会社は教育機関ではありませんから、部下の人間形成のための場所ではなく、また大人になった今、相手の人間性はなかなか変えられません。
変えていただきたいのは、性格ではなく行動であり、仕事の取り組み方です。
そして、叱る立場としては、叱る基準も明確にしておくことです。
当社であれば、経営方針書がありますから、そもそもはこれが社員として守る基準となっておりますので、その方針を守っていないのであれば、その項目がそのまま叱る基準となります。
叱るという言い方がきついのであれば、守っていない項目を守っていただくよう「指摘する」ということです。
よく、ダメな教育ママなどの台詞で「あなたのため」とか「あなたのことを思って」というのがありますが、そういう趣旨を誤魔化すようなずるい言葉は使わないことです。
なぜならばそういう言葉を遣う人の本音は、相手のためではなく自分のためですから。
会社として叱るのは、お客様のためであり組織のためです。究極は、組織を守るためです。
また、「相手に嫌な思いをさせたくない」という話でしたが、「叱ることは嫌なこと」そう思い込んでいる人だから「相手に嫌な思いをさせようとする意識」をもって「嫌な思いをさせる言葉」を使用して叱るのだと思います。
叱るのは「相手に正して欲しい行動を変えていただくこと」。
叱る目的を明確に持ってさえいれば、どのような感情を相手に残すかではなく、どのように伝えて相手に行動をあらためていただくか、そこに照準を合わせないといけません。
そう考えた時に、目的に合わせた言葉のチョイス、向き合う自分の表情や態度や姿勢などを適切に選び取る必要が生じます。
言い過ぎかもしれませんが、叱った後に相手に嫌な思いをさせる人は結局、「相手に嫌な思いをさせること」が目的になってしまっているのだと思います。
なんのために向き合うのか。
「向き合う相手にどう思ってもらえるような自分でありたいのか」をイメージすることが大切です。
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