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場の空気をつくるのは誰?

蕎麦屋が好きです。

正確には蕎麦屋で飲んで、〆に美味しいお蕎麦を食べるのが好きです。

有名な杉浦日向子さんによる「ソバ屋で憩う―悦楽の名店ガイド101」という本がありますが、美味しいお蕎麦屋さんの酒の肴はこれも間違いなく旨いのです。

高松に越してきて残念なのが、なかなか飲める蕎麦屋がないこと。

少し遠出して水の綺麗なところに行くと、美味しいお蕎麦を出す店はちらほら見つかるのですが、皆さん車で出向くため、とにかく肴が少ないのです。

やはりうどん文化なのですよね。

ところが、やはりうどん文化だからか、飲めるうどん屋さんはいくつもあって、そんな中で、まるで美味い蕎麦屋と同じようなラインナップの肴を出すお店を見つけたのです。

週末になるたびに、日曜日の昼間に通っておりました。

飲めるうどん屋ですから、セルフ方式ではなく、座ってオーダーをする方式です。

通常メニューとは別に、壁のボードに酒の肴の手書きメニューが掲げてあります。

板わさに手作りがんもどきに鶏皮唐揚げに鶏皮ポン酢、クリームチーズ酒盗、とうもろこしと枝豆のゆば巻き揚げなどなど、気まぐれで日替わりですが、どれも酒に合うものばかり。

そして、通常メニューにはおでんや天ぷらもあります。

天ぷらもオーダーしてから揚げてくれますので、盛り合わせやとり天なども熱々のサクサクの状態で提供されます。

これを塩やうどんのつけ汁につけて、ほんのちょっぴりスダチをかけて食べるとお酒に合うこと合うこと。

そして、〆の蕎麦の代わりとなるのが、釜揚げうどん。

嬉しいのが他の店と違って「もみじおろし」と「細かく刻んだあさつき」が付いてくること。

ふぐ刺しの薬味と同じ感じですよね。

出汁の効いたつけ汁に薬味を入れてスダチをほんの少し垂らせば、まさにあの高級な味ぽんのお味に。

美味しいものを気持ちよく食べて、気持ち良い気分になって、心地よい昼のみ後にのんびり帰宅する。

そんな休みの締め方が理想なのですが、何度か通ううちに分かってきたことがあります。

味は全く文句がないのですが、オペレーションがとても悪いのです。

オペレーションが悪いというのも語弊があるのですが、とにかく毎回店員が変わるために、仕事を覚えている人がほぼいないのです。

毎回、分かっていない店員たちに店主がイライラしながら指示を出しています。

店の奥の方に入ってしまえば、やり取りも見えずに気にならないのでしょうが、こちらはひとり飲みが多いため、入り口付近のカウンターに席を構えることが多く、イコール厨房カウンターが見える場所に座ることとなります。

把握していない従業員がいる中でお店を回さないといけない状況は分かりますが、店主のイライラ感と発言は従業員を通り越してこちらにもビンビンと伝わってきます。

美味しいお酒や肴の味や、楽しむ雰囲気もその嫌な空気に汚染されていき、こちらの楽しい気分も侵されていきます。

そして、仕事柄からか、やはり店員さんたちのことを考えてしまうのですよね。

多分あの人たちは、また次に来た際にはいないのだろうな、と。

店主からすると、理想のお店の状態を叶えられないのは「使えない店員たちのせい」なのかもしれませんが、彼ら彼女らを選んでお店を開店させている以上、その全ては店のトップの責任です。

嫌な雑音を聞きながら、私が勝手に考えた解決策は、お店をしばらく休んでもいいから教育係をひとり立てて、店主は料理を作ることのみに専念して従業員への直接指示は出さないこと。

そもそも、全てを把握しておきたいのであれば、カウンター10席くらいのワンオペで自分だけで切り盛りするのであれば向いているのでしょうが、それには店が大きすぎます。

人には向き不向きがありますから、「今の自分の在り方ややり方では人を教育できない」という自覚が必要です。

結局この日は、〆の釜揚げうどんが、私から見える厨房カウンターにずっと放置されっぱなしで、ようやく手元に提供された時には延びた状態に。延びた讃岐うどんなんて初めてなので、珍しいと前向きに捉えて食べましたよ。

それを食べ終えた頃に、オーダーが入っていないのであればキャンセルして退席しようと思っていたら、ようやく酒の肴が供されました。

今度、覗いてみた時に、今回ドヤされていた店員さんたちがいないようであれば、しばらく行くのは避けた方が無難ですね。

美味しいお酒や肴は、美味しい空気の中で楽しみたいものです。

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