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共生社会の到来

なんでこんなに新たな横文字を受け入れるのが好きなのか分かりませんが、ダイバーシティという聞き慣れなかった言葉が、ようやく「多様性」という分かりやすい表現に落ち着いてきたなと思っていた矢先、今度はインクルージョンなんて言葉が出てまいりました。

直訳すると「すべてを包括する、包みこむ」などという意味で、企業においては、すべての従業員がきちんと尊重され、個々が能力を発揮して活躍できている状態のことを示します。

これも最近は「共生(社会)」なんて表現にもなってきていて、なんだちゃんと日本語があるんじゃないか、だったら最初からそうしておけばいいのになんて思っていた矢先に、当社にもインクルージョンの波がやってまいりました。

大して意味も分かっていないくせに、大きな組織ですからとにかくは外部に向けて立派に流行りの人的資本経営に乗っかっているよというのを謳っていかないといけないわけです。(ごめんなさい、ウソです、真面目に取り組んでおります。)

で、まあてっとり早く手をつけられるのが、海外人材の登用推進や従業員の身だしなみの緩和といったテーマになってくるのですよね。

海外人材については、もともと人材不足の業界ですから、技能実習生の受け入れが認可された年から比較的積極的な登用には取り組んでまいりました。

規制緩和されたとはいえ、法律を定めるのも頭がガチガチの人たちでしょうから、日本語が分からなくて素性の分からない外国人にひとりでお客様のご自宅に訪問をさせるのはリスクがあるからという理由なのかどうかは分かりませんが、受け入れ先は施設のみというルールでスタートしました。(最近のニュースでは、近々在宅サービスでの勤務も可能になるような規制緩和があるということです。)

当社ではミャンマーとベトナムからの実習生を受け入れて、今はほとんどの方が特定技能人材に在留資格を変えて勤務を継続してくださっています。

とても勤勉で素直な方が多く、施設のお客様や日本人スタッフからも可愛がられています。

少なくとも受け入れた施設においては、よく言われるような島国だからこその排他的な思考・風潮や異分子へのマイナス反応といった現象は見受けられていません。

それどころか、言葉が話せなくて当たり前の実習生を相手に仕事を教えたり生活の世話を焼いてあげたりするわけですから、向き合う日本人の方には寛容性が求められて、いつの間にか他の日本人スタッフにも優しさの輪が広がっていくという思わぬ嬉しい相乗効果も出ています。

自然と日本人スタッフ同士の関係も良くなっていきます。

そりゃそうですよね、日本人スタッフの方が日本語ができるだけでも凄いんですから。

さて一方で、海外人材の受け入れに見られるような多様性への尊重は、果たして日本人スタッフに向けてはどうでしょうか。

身だしなみの緩和は、今さまざまな業界において推進されていますよね。

好きな服装、好きな髪型、その人らしさの尊重。

「自分らしく」いられることを職場が認めてくれるのであれば、人不足の世の中、それは求人募集時の強みにもなり得ます。

ただ、ここでまた私たちの業界の難しさがあります。

ニュースを見ていても、導入している企業というのはスーパーであったり薬局であったり店舗型ビジネスのところがほとんどです。

店舗というのは、外からお客様が訪れる場所ですから、誰の場所かというと誤解を恐れずに言うと店員の場所なんですよね。

お店の店員が会社の方針によって自由な格好をした場合、それに文句を言ってくるお客様がいたとしても、ウチはこういう方針なんだから「嫌なら来るな」で済むのだと思います。

ところが当社においては、通所型の施設もありますが、主力事業となるのはむしろ訪問系サービスであり、こちらからお客様のご自宅に訪問するというスタイルです。

ということは、当社が自由な服装でいいという方針を打ち出したとしても、そのスタッフを受け入れるお客様の側から「お前は来るな」と言われたら、サービスが提供できなくなってしまいます。

難しい問題ですが、やはり訪問系サービスにおいては、ここは相手に不快感を与えないような一定の基準を設けておく必要はあるのかと思っています。

基準がないと、上長としても部下の身だしなみについて何も触れることができなくなるのではないでしょうか。

悩んだ末に、捻り出せたのは「他者への配慮(元気な挨拶、好印象な接客)と自分らしさのバランスのとれた身だしなみ」という何ともフワッとした表現のものでした。

こちらはもう少し詰めていく必要性がありそうです。

ただ、個人的に思うのは、いくら黒髪で髪型がきちんと整っていたとしても、空気が読めずにお客様を困らせるようなスタッフと、例え髪の色が青かったとしてもお客様を喜ばせるようなより良い関係性が築けるスタッフと、果たしてどちらの方がいい仕事をしてくれる人材であるのかということ。

刺青やタトゥーへの嫌悪感や忌避感情の問題もありますので、掘っている人は一様に不採用というのもひとつの基準ですが、少なくとも着衣している上からは見えない状態であるのであれば採用するというのもひとつの基準だと思います。

何が正解かというのは、それぞれ組織の規律によるものかとは思いますが、少なくとも人材採用に苦戦している今日において、内面を見ないで外見だけで判断してしまうという基準で進めていくというのはとても大きな機会損失になっているのではと感じています。

もちろん、「人は見た目が9割」というベストセラーがあったように、それも一意ありますが、それを言うのであれば髪型や服装ばかりを見た目とするのではなくて、表情や態度といった見た目も判断基準にできれば、また違った選考になるのではないかと思います。

そもそも、髪型をうるさく言う人がいますが、髪なんてあるだけマシなんですよ。

取り返しのつかない状況になる前に、少なくともいじれるうちに、好きなだけいじっておけばいいじゃないですか。

というのが私の心の底からの結論なのです。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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