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会話の先に求めるもの

以前、対話や議論について触れたことがありました。

私たちのような人的サービスを提供する仕事をしていると、拠点としても多くのスタッフを抱えることとなります。

そして、当然そこには人間関係が発生します。

年齢差もありますし、性差もありますし、仕事での経験値の差もあれば、人生における経験値の差も生じます。

そして、抜擢された役職者となると、必ずしも経験値が部下よりも高いとは限りません。

私は男性なので、どうしても男性目線になってしまいますが、誤解を恐れずに言いますと、女性が8割以上の割合を占める介護の現場においては、男性も愛嬌が必要だと思っています。

経験も浅く若くして上長となった男性がいたとしても、彼に素直さや謙虚さ、それと愛嬌があれば、年上の女性陣は「仕方がない、何とかしてあげるか」という心持ちになられて助けてくださることが多いです。

ところが、上述したような「素直さ」や「謙虚さ」や「愛嬌」がない可愛げのないやつというレッテルを一度貼られてしまうと、これまでの温かく見守ってやろうという空気感は一変します。

まあひと言でいうと、部下たちは上司に食って掛かります。

もちろん立場が違いますから、上司からの歩み寄りがまず大前提ですし絶対条件だとは思いますが、部下による譲歩も必要です。

人間関係とは鏡のような関係です。

もう一つ言うと人間関係は、減点方式よりも加点方式の方が上手くいきます。

結婚生活だってそうですよね。

誰もがその人なりの正義感をもっていますが、それを振りかざして自分のことは棚に上げて一方的に相手を責め続けたらどうなるか。

大抵の相手は、逃げてしまいます。退職もあるでしょうし、精神的に追い詰められて病んでしまう場合もあるでしょう。いずれにせよ上長が入れ替わるような事態になれば、その拠点は安定しません。

食って掛かったスタッフからしたら、新たな上長に期待をするでしょうが、そこでまた自分の正義感や価値観との一致がなければ、上長への反発は延々と繰り返されることが予測されます。

スタッフ当人からしたら、「仕事をしやすい環境をつくって欲しい」「より良い上司であって欲しい」という想いから上司へ進言しているだけなのでしょうが、その結果はというといつも上司がいなくなってしまうという事態。

では、何がいけなかったのでしょうか。

進言するのはとても良いことだと思いますが、その先に果たして何を求めていたのか。

本来の要望は、自分の正義を主張して、相手を打ち負かして、上長を追い出すことではなかったはずです。

「私は何のためにこの話をしようとしているのか」

「この話が終わった後に、お互いにどのような表情で、どのような空気感の中に身を置いていたいのか」

議論は相手を打ち負かすもの。

対話は、お互いに足りないものを確認して、これからどうするかを確認し合うもの。

上下の立場関係なく、「進言の先に求めている本来の目的」を明確に捉えておくことで、言葉のチョイス、態度、表情、相手に伝えたい情動をコントロールしながら情報伝達をすることが可能となるのだと思います。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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