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風日記

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GPSSグループには、CEOや仲間との対話を経て、サステナビリティという課題に向き合い始めた人もいます。カミーユは独自の感性を頼りに、サステナブルを体現するために日々挑戦していま… もっと読む
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記事一覧

風日記⑨ 春、ツェッペリンと雨の歌、エモ・ウォッシュへの反抗

風日記⑨ 春、ツェッペリンと雨の歌、エモ・ウォッシュへの反抗

猛烈な通り雨に降られた。洗濯物を干していたので急いで取り込まなくては。本が濡れないように鞄を守りながら猛ダッシュで駆けていく。たぶん桜の一種だと思うのだけれど、雨粒と一緒にピンクの花びらが飛んできて、びたびたとくっついてくる。息を切らして部屋に着いた。幸い洗濯物と鞄は無事だった。

濡れた髪の毛とワンピースをドライヤーで雑に乾かしながら、西日に照らされた、横殴りの黄色い雨を眺める。きれいだな。濡れ

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風日記⑧ 舞踏とサステナビリティ  -言葉、身体、境界-

風日記⑧ 舞踏とサステナビリティ  -言葉、身体、境界-

4月から舞踏(Butoh)を始めた。平日の夜、月に3回ほど、即興で踊っている。GPSSには、アルゼンチンタンゴを踊る人が代表のまーさん含め大勢いるが、まだ彼らの踊りを生で観たことはない。彼らも私の踊りを観たことはない。まーさんがタンゴの話を引用するのは、自己と他者の意識の境界線について話をしている時だ。「自分が自分に満足しているから、他者への幸せに興味が向く」「『この身体しかない』と思うことは、生

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風日記⑦ フリーズドライにしたデモの記憶と、サステナビリティ

風日記⑦ フリーズドライにしたデモの記憶と、サステナビリティ

2022年3月5日。反戦デモイベント《全感覚祭 presents No War 0305》。新宿駅南口。12時30分から日の入りまで。バンド・GEZANの自主レーベル「十三月」が主催。アーティスト、哲学者、政治学研究者、ジャーナリストら、表現者が集う。ウクライナ・ロシア出身の個人が登壇するシーンもあった。彼らの肉声がバスタ新宿前に響き渡る。

フライヤーに記された言葉。「ウクライナ侵攻によって傷つ

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風日記⑥ 妖怪・倉ぼっことサステナビリティ

風日記⑥ 妖怪・倉ぼっことサステナビリティ

「PM(プロジェクトマネージャー)の仕事は、倉ぼっこみたいだ」

そう思いついたのは、つい最近のこと。2022年3月8日には、水木しげる生誕100年を迎えた。『ゲゲゲの鬼太郎』第6期が2018年に放送。水木氏の存在は今なおとても身近に感じる。

私はすっかり妖怪オタクに育ってしまった。「妖怪大百科」に載っている135種類の妖怪たちを覚えるのが楽しかった。水木氏の世界観が好きなのは、妖怪側の言い分を

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風日記⑤ 喫茶店とサステナビリティ

風日記⑤ 喫茶店とサステナビリティ

喫茶店は、私たち人間の不揃いな人生を祝福する場所なのかもしれない。

私はつい最近まで、ある町の喫茶店で働いていた。いわゆる地域密着型の、ちいさな地下喫茶。マスターは二代目として半世紀近くお店を守っている。常連のお客様も多い。ぼんやりとした黄色の照明。都の受動喫煙防止条例が施行される2020年4月まで、店内は愛煙家で溢れていたので、壁には今でもうっすらとヤニがつき、焦げ茶色のテーブルとカウンターが

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風日記➃ ゴドーを待つ私たちとサステナビリティ

風日記➃ ゴドーを待つ私たちとサステナビリティ

エストラゴン  どうにもならん。
ESTRAGON   Nothing to be done.

ヴラジミール いや、そうかもしれん。そんな考えに取りつかれちゃならんと思ってわたしは、長いこと自分に言いきかせてきたんだ。ヴラジミール、まあ考えてみろ、まだなにもかもやってみたわけじゃない。で……また戦い始めた。

VLADIMIR I’m beginning to come round to tha

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風日記③ マクベスとサステナビリティ

風日記③ マクベスとサステナビリティ

日常生活のなかで、仕事の最中でも、ふとした瞬間、頭の中で唱える戯曲の台詞がある。

明日、また明日、また明日と、
Tomorrow, and tomorrow, and tomorrow,
時は小きざみな足どりで一日一日を歩み、
Creeps in this petty pace from day to day,
ついには歴史の最後の一瞬にたどりつく
To the last syllable of

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風日記② シンディとサステナビリティ-Girls Just Want to Have FUNDEMENTAL HUMAN RIGHTS-

風日記② シンディとサステナビリティ-Girls Just Want to Have FUNDEMENTAL HUMAN RIGHTS-

シンディ・ローパー(Cyndi Lauper)が好きだ。

「一番好きなCD/レコードジャケットデザインは?」と聞かれたら、シンディの《She’s So Unusual》と答える。

クールでフレッシュな赤いドレス。左手に花束を握りしめ、シンディがはだしで踊っている。踊っているというか、なにかを振り払っているような。

ビビッドで色合いのこの写真の中で、彼女の表情のトーンは少し違う。とても真剣で、

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風日記① カミーユとサステナビリティ

風日記① カミーユとサステナビリティ

生きるべきか、死ぬべきか、それが問題になる以前に、私は生きることにしか興味がない。

四半世紀と少し。生きるのが決して得意なわけではないけれど、私という人生を生きることはどうにかできてきた気がする。

15歳でフランスへ渡って、自由と責任を学んだ。

21歳で家出をした。それから23歳までの記憶は曖昧だ。

大学を休学し、とりあえず学費2学期分と少しの独立費をアルバイトで稼いだ。演劇、文学、社会学

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