見出し画像

【実践編2:「悩む」から「考える」へ~“何があれば決められるのか”を決める~】

◆「悩む」と「考える」の違い

 私自身そうですが、なんだか知らない間に仕事が溜まってしまっている、思うように進まないということがあるかと思います。大抵こういう場合は、「考えている」ではなく、「悩んでいる」という状態になってしまっているのですよね。悩むと考えるでは大きく異なります。直観的にわかると思いますが、各々の言葉を辞典で調べてみると

「悩む」
1 決めかねたり解決の方法が見いだせなかったりして、心を痛める。思いわずらう。
2 対応や処理がむずかしくて苦しむ。困る。
3 からだの痛みなどに苦しむ。また、病気になる。
4 とやかく言う。非難する。
5 (動詞の連用形に付いて)その動作が思うようにはかどらない意を表す。

ここでいう悩むというのは主に1,2が該当しますね。

次に考えるです。

「考える」
1 知識や経験などに基づいて、筋道を立てて頭を働かせる。
2 関係する事柄や事情について、あれこれと思いをめぐらす。
3 工夫する。工夫してつくり出す。「新しいデザインを―・える」
4 問いただして事実を明らかにする。取り調べて罰する。
5 占う。占いの結果を判断・解釈する。

5,以外はイメージにあいますね。

考えているときと悩んでいるときの決定的な違いは、「決めるための思考ができているか、いないか」だと私は思っています。悩んでいるときは、時間ばかりかけても決められない。小さな意思決定ですらできない時間が続いている状態だと思います。考えているときは、小さな意思決定を積み上げているときなんですよね。

◆悩むループに、嵌っている時に足りないもの

当たり前のようですが、自分の仕事が進まないとき、「自分は悩んでいるのか」「考えているのか」と自分で問いかけてみるようにしています。
例えば、こんなことがあります。製造現場では、当然設備・品質トラブルというのはつきものです。

 -ある設備でトラブルが発生し、生産が不安定、不良率上昇。
 -しかし、良品が取れないわけではない。この製品の納期は迫っている。
 -この場合、低い確率で良品をとりながらでも納期に間に合わせるために生産 
      を続けるべきか、それとも納期遅延覚悟で設備を停止して修理対応をすべき
      か。どちらかをリーダとして判断しなければならない。

 この場合、セオリー通りに言えば、止めるべきです。しかし、現場はそんな単純にはいかないことが多いです。その遅延で莫大なロスを客先がするかもしれない。前回遅延して上司から絶対に遅れるなと言われているかもしれない。そもそも設備を止めること自体にリスクがある場合もある。などなど状況は複雑な場合がほとんどです。こんな時、「瞬時に意思決定ができるかどうか」がリーダーとして現場から信頼を得れるかどうかが決まります。

 言わずもがな、ここであてずっぽうに適当に決めるのはNGです。それは百歩譲ったとしても、悩んだ挙句ふわっと回答してその場を立ち去るリーダーが一番最悪です要するに決めない。ふつーにいるので気を付けてください。
 当然、「考える」そして「決める」ということが重要になってきます。では、悩むだけと考えることができる人の差はなんなのでしょうか。それは「”なんの情報があれば決めることができるか”をわかっているかいないか」の差なのです。意思決定が迫られる場面では、方向性を決めるために計算したり、予測しないといけないのですが考えるための情報がなければ何も前に進みません。むしろ、そんな情報が最初からあればだれでも考えて決めることができます。まず、物事が進まなかったら考えるために何の情報が足りないのか考え調べることから始めるのが肝要なんですよね。

例えば、先ほどのケースで言えば、

 -不良率はどの程度上がるのか
 -設備を止めた場合どの程度で修理が終了するのか
 -客先はどこか、
 -修理して遅延した場合のインパクトはどの程度(数量と期間)

をまず問いかけます。だいぶ単純なことですが、多種多様な場面でパッと問いを作るのは簡単なようで意識しないとできません。これら情報があれば、100%と言えないまでも、周りが納得がいく意思決定ができます。仮にすべての情報が手に入らなかったとしても、これら情報から腹くくって判断をしたと説明し、方針を示せれば、結果はともかくとして現場管理者としては合格です。そうやって、決めるための情報を明確にすることで「考える」ということができるようになっていきます。

 また、現場作業だけでなく日々の事務業務や改善計画作成の中でも、どう進めていいのかと悩んでしまう場面があると思います。この場合も“何がわからないから悩んでいるんだろう”と自問自答し、とにかく書き出すようにしています。そのわからないことを明確にして、調べられるものとそうでないものにわけます。調べられるものは調べて整理する、そうでないものに関しては自分の仮説を置いて答えとしてしまう。そうして、一つずつ不明点をつぶしていきます。それが明確になれば、業務において悩むことから考えることに移行することができます。
 仕事に煮詰まっているときは、悩みループに入ってしまっている、つまり、決めるための情報を持っていないのに決めようとしているのではないかと疑ってみるといいかもしれません。

最後

本日はここまでです。私自身の戒めとしても投稿させてもらいました。(笑)もし参考になった方がいればうれしいです。明日は、”データは嘘をつく〜因果関係と相関関係〜“をテーマに投稿させてもらいます。製造現場だけでなく全ての業種でデータ分析は必要です。ただ、数字を見るだけでは間違った解釈をしてしまうことがあります。そうならないポイントを解説したいと思います。

なお、下記noteリンクに、ものづくりに携わる人であれば、最低限必要であろう内容を対話形式でまとめています。もしご興味あれば、覗いていただければ幸いです。

1,5Sの基本ステップ(トヨタ流 最強の5Sに沿って)
https://note.com/go_nakajima/m/m79498fd10844

2,トヨタ生産方式とTOC理論
https://note.com/go_nakajima/m/m42a373704009

3,マネジメント基本知識(ドラッガーの“マネジメント”と“もしドラ”)
https://note.com/go_nakajima/m/m0156b3990410

4,会計の基礎知識(“餃子屋と高級フレンチではどちらが儲かるのか?”)
https://note.com/go_nakajima/m/m69b232fea139

5,ビジョナリーカンパニー解説
https://note.com/go_nakajima/m/mef0e98284fcb

6,両利きの組織をつくる解説
https://note.com/go_nakajima/m/m815340ebf984

7,アドラー心理学(もしもアドラーが上司だったらに沿って)
https://note.com/go_nakajima/m/mf97d52aa0e88

8,心理的安全性の理解
https://note.com/go_nakajima/m/madc85f111bf3

9,IT全般知識、情報リテラシー、要件定義
https://note.com/go_nakajima/m/m8d3d5281b6e3

10,ザ・会社改造
https://note.com/go_nakajima/m/m676e200dfe1f

11,自工程完結
https://note.com/go_nakajima/m/m79498fd10844

12,見える化
https://note.com/go_nakajima/m/m9f1d1ce130c7

休憩がてら、番外編マガジンもありますw

#製造
#理論と実践
#ものづくり
#成長
#5S
#トヨタ生産方式
#ジャストインタイム
#自働化
#リーンプロダクション
#ザゴール
#制約理論
#ドラッガー
#ビジョナリーカンパニー
#アドラー
#コーチング
#情報リテラシー
#要件定義
#会計
#損益計算書
#決算書
#損益分岐点
#原価低減
#平準化
#両利きの経営
#両利きの組織
#心理的安全性
#グーグル
#推薦図書
#システム
#発注側
#会社改造
#事業再生
#見える化


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?