マガジンのカバー画像

パン職人の修造 101話〜 江川と修造シリーズ

41
独立して江川と店を始める修造。パン職人として、経営者として、一家の主人として。頑張れ修造。
運営しているクリエイター

記事一覧

パン職人の修造 143 江川と修造シリーズ flowers in my heart

パン職人の修造 143 江川と修造シリーズ flowers in my heart

flowers in my heart

今日は鴨似田フーズの創立30周年のパーティーだった。

NNホテルの豪華な会場に所狭しと鴨似田フーズの商品で作られた料理の数々が並べられ、招待客達は舌鼓を打っていた。

藤岡は兼ねてからの鴨似田夫人の念願だった『立食パーティーのサンドイッチコーナーで給仕をする』為に立っていた。客の希望のサンドイッチやタルティーヌなどを皿に取り分け渡す、その時笑顔がご希望だ

もっとみる
パン職人の修造142 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

パン職人の修造142 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

「買収ですわ、異物混入事件を起こした企業が回収の為に世間にその事を知らせなければならず、企業への不信感が生まれて株価が下がった所を買い占めて乗っ取るんですの」

「株主総会で解任議決がなされて経営者が解任させられるし従業員も生活の不安にさらされる」と大和田も言った。

それを聞いた小田達も「冗談じゃないよ!私達は誇りを持ってここで働いているんだよ、あんた達にしょうもない邪魔されてたまるかってんだよ

もっとみる
パン職人の修造141 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

パン職人の修造141 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

倉庫で縛られていた杉本は誰かが鍵を開けている音を聞いて口を塞がれながら「ふがふが〜(助けて〜)」と騒いで足をバタバタしたが、押し込まれた2人を見てびっくりした」「ふがふがふが(藤岡さん)」

「杉本」口を塞いでいたガムテープを取ると「藤岡さん何で捕まってんですかあ?得意の一本背負いで投げ飛ばしてやれば良かったのに」と捲し立てた。

「スーツが苦手なんだよ、動きにくくて。それを言うならお前だって何捕

もっとみる
パン職人の修造 138 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

パン職人の修造 138 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

休みの日、由梨と藤岡はYouTube用の動画「各駅停車パン屋巡り」を撮る為に日光に来ていた。

電車を降りる前から動画を撮り始める。

電車が去って行くのを撮った後、観光客の流れに乗って一緒に日光街道を動画を撮りながら歩き始めると、すぐに目的のパン屋さんにやって来た。

1階はベーカリー、2階はカフェで2人は可愛らしい小花柄の皿に乗って運ばれてきた厚切りのパンを3切れに切ったシナモントーストを分け

もっとみる
パン職人の修造140 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

パン職人の修造140 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

次の朝

藤丸パン横浜工場の朝は早い。

もうとっくに皆働いているが杉本は6時出社と言われていた。

丁度昨日の4人が裏庭で屯している。

植え込みの影に隠れてちょっと話を聞いてみる。

「昨日パスワードを書き換え済みだ」足打が言うと

「その後で機械を操作してあれをばら撒くぞ」最上も残りの2人に言った。

「はい」

パスワード?ばら撒くの?何をばら撒くの?

4人が歩き出したのでとりあえずつけ

もっとみる
パン職人の修造139 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

パン職人の修造139 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

振り向くと4人組は消えていた。

「大和田工場長いますかー」

小学校程の大きさの施設の中は概ね2つに仕切られていて、一つは工場に入らなくても通れる様になってる入口から出口まで続く通路、もう一つは巨大な工場だ。ガラスで仕切られていて通路からも中で作業をしているのかよく見える。工場は奥の機械の所から大型の装置が延々と繋がってそのまた奥へと伸びている。

「大きな工場、それにいい匂い」

機械の部屋の

もっとみる
パン職人の修造 137 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

パン職人の修造 137 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

東南駅から西に続く東南商店街

その真ん中にある人気パン店パンロンドでは今日もオーナー(通称親方)がパン工場の真ん中に立ってパンを成形していた。その周りには元ギャンブラーの佐久山浩太、のんべえの広巻悠二という古株の職人が2人と、イケメンで仕事のできるタイプで実はYouTuberの藤岡恭介、最近また髪の色が『肌の色に合うから』と明るめになってきた元ヤンキーの杉本龍樹、実家が呉服屋の花嶋由梨が忙しそう

もっとみる
パン職人の修造136 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

パン職人の修造136 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

そして試合当日

大坂はタルテイーヌの食材を前にして園部、大坂、森岡や他の助手は自分のペアを組む選手が来るまで20人で待っていたが、どんどん脱落した選手の助手達ががっかりして帰っていく中で心細かった。

園部は黙って立ったままだったが食材の方をじっと見ているので「あ、何処に何があるのか覚えてるのかな?」と思い自分も順番に食材を見ていった。特にソースに使える物を見て組合せを考える「立花さんならどのソ

もっとみる
パン職人の修造135 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

パン職人の修造135 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

「観客の皆さん、テレビをご覧の皆さんこんばんは安藤良昌です。NNテレビが総力を挙げてお送りするパン職人頂上決定戦のお時間が始まりました!パン職人の皆さんには何時間も前から戦いを繰り広げて頂いておりましたが、その中から選ばれた3人のシェフと3人の助手の方々に並んで頂いています」

画面にはそれぞれの経歴と名前が流れた。

江川はそれを見ながら「これって誰が勝ち上がってくるかわからないのに20人と助手

もっとみる
パン職人の修造134 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

パン職人の修造134 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

「勝つのは俺だ」鷲羽は江川に向かって言った。

しかし江川の奴、細い体でよくあの生地を持ち上げられたな。基礎体力と体幹が大事なんだ、細い奴でも体幹が強ければ持ち上げられる。
「そういえば北国で育ったって言ってたな。やっぱ雪国の人って足腰が強いのか?江川」
「えっそうかな?わかんない」
「ふん」
ふんだって、相変わらずだな鷲羽君。

ところで残ったのは5人の中の誰なのか?それはそこに立ってる5人共が

もっとみる
パン職人の修造133 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

パン職人の修造133 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

パン職人の修造133 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

分割を済ませた者は出口から出て行った。

皆ざわざわして分割を始める者が出てきた。

そんな中、じっと生地が倍の大きさになるのを待っていた。

「よし」やっと分割だ。

もはや半数が部屋から出ていた。

江川はケースから生地を出しフラットにした、そしてなるべく一発分割を心がける。

もっとみる
パン職人の修造132 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

パン職人の修造132 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

パン職人の修造 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

北風が吹いてリーベンアンドブロートの駐車場の落ち葉がクルクルと舞っている。

パンを買いに来たお客さん達はいつもならテラスでパンを食べるのだが最近は店内の暖かい喫茶コーナーが満員だ。

開店当初は不慣れだったスタッフも今では無駄の無い動きをしている。

パン粉(瀬戸川愛莉)はパンの品出しを

もっとみる
パン職人の修造131 江川と修造シリーズ 製パンアンドロイドと修造

パン職人の修造131 江川と修造シリーズ 製パンアンドロイドと修造

さて、製パンアンドロイドアンコンベンチナルβ750が世に出ることになった。

今までも製パン用のロボットはあったものの、とにかく故障が多くて困っていたがその原因の多くは粉の目詰まりによるものだ。その点β750は江川のしつこい要請により、ボディの周りを薄くて丈夫なシートでコーティングしてあるから目詰まりは防げる。

動きも滑らかになり、パン作りができるアンドロイドを平方は動画にとってあちこちに営業し

もっとみる
パン職人の修造130 江川と修造シリーズ 製パンアンドロイドと修造

パン職人の修造130 江川と修造シリーズ 製パンアンドロイドと修造

リーベンアンドブロートが創業して半年が過ぎた。

修造と江川は2人で生地を成形してバヌトンという発酵の為のカゴに入れていく作業をしている。

そしていつも気の利くカフェ部門の岡田はテキパキと店の清掃を済ませ、窓ガラスの汚れがないかチェックしていた。

そのガラスの向こう、駐車場兼入口の方から『基嶋機械』の営業マン後藤とその他三人の男が歩いてくる。

岡田は店の前に移動して、出迎える為に立って待って

もっとみる