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格 言

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これまでの読書体験などから私に強い影響や感動を与えた先人たちの言葉を紹介しています。ありきたりな名言・名句集とは違う方向性を目指しています。
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対話が成立しない国

対話が成立しない国

宮台真司氏が暴漢に襲われ、首などを切られたとのこと。

犯人はまだ捕まっていません。事件についての無責任な憶測は控えます。早く元気になって欲しいです。

私が、宮台氏を初めて知ったのは、平成8年ごろです。『終わりなき日常を生きろ』という彼の本が、話題になっていました。

彼は、新進気鋭の社会学者という触れ込みで、テレビの討論番組やニュースショーのコメンテータとして、当時よく見かけました。例えば、平

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勇気をもらった言葉

勇気をもらった言葉

私は自分が納得できない話には、「みなさん、ちょっと違うんじゃないですか?」とこれまで学校や職場などで言い続けてきた。
反応はいつもこうだった。
「わがままが過ぎる」、「悪口しか言わないヤツ」、「考えすぎじゃない」という感じで批判や冷笑を浴びた。
自分の考えが未熟であったり、間違っていた場合が何度もあった。
そのたびに己の至らなさを痛感した。
損得を考え、多数派に合わせて、自分が言いたいことを我慢し

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少しは不便でもいいから、もっとのんびりさせておいて貰いたい。

少しは不便でもいいから、もっとのんびりさせておいて貰いたい。

今回も、中野孝次著『生きることと読むこと-「自己発見」の読書案内』を読んでいて、面白かった箇所を紹介します。

中野は、先輩作家尾崎一雄が老年のころ、親しく出入りをするようになったことを、人生の幸運の一つとみなしていました。尾崎の陶淵明風の生き方に、大きな魅力を感じたそうです。彼は書いています。人間社会での格闘に勝つことに一生こだわるより、世間から一歩退き、人生の最も根源的なものにだけ意識を向け、

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求めよさらば与えられん

求めよさらば与えられん

週刊ブックレビューというテレビ番組が、かつてありました。児玉清が司会を長年担当。毎回3人の書評ゲストが登場して、自分がおすすめする本をめぐって、児玉をはじめとする司会者たちと、絶妙なやり取りを進める番組でした。

書評ゲストの1人として、作家の中野孝次が時々出演していました。和服を着て、頑固そうな風貌で、本の魅力を愚直に語っていた姿が印象に残っています。中野の著は、『清貧の思想』までたくさん読んで

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今までの自分に疑いを持つ

今までの自分に疑いを持つ

とても示唆に富んだ言葉を紹介します。

塩野七生『ルネサンスとは何であったのか』から引用しました。

この言葉と関連して塩野は、池内恵との対談の中で、キリスト教世界とイスラム世界との比較に話題が及んだ際、このように発言しています。

注)引用は上記の対談から抜粋しました。

特に、「自らに疑いを持つことで、疑いを持って自分を見つめ切った後にしか、本当の飛躍がないことを。」という言葉は、平穏無事な今

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自分という存在

自分という存在

私が30年の刑事生活でわかったことは、たった一つだ。それはね、人間っていうのは、ずるくて汚くて、浅ましくて卑しくて嘘つきで、恐ろしくて、そして、弱くて哀しいものだということだ。

今から35年前、特捜最前線で大滝秀治演じる船村刑事が、後輩刑事へ諭すように話した言葉です。

私がこのシーンを見たのは、25年ほど前の再放送でした。こころを強く揺り動かされました。感動で涙が溢れ出て、顔がぐしゃぐしゃにな

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