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今までの自分に疑いを持つ

とても示唆に富んだ言葉を紹介します。

ルネサンスとは、一言で言えば、今までの自分に疑いを持つということですね。そこから始めて、あらゆることに疑いをもっていく。

ルネサンスとは何であったのか

塩野七生『ルネサンスとは何であったのか』から引用しました。

この言葉と関連して塩野は、池内恵との対談の中で、キリスト教世界とイスラム世界との比較に話題が及んだ際、このように発言しています。

いつか池内さんにお聞きしましたよね。「イスラム世界にとって、ルネサンスはいつだったか」と。すると、池内さんは「それはイスラムが成立して拡大発展していった時期。イスラムがもっとも勢いのよかった時期。これこそがルネサンスだと思っている」とおっしゃった。しかし、イスラムの人たちはわかっているのでしょうか。

塩野七生『ローマ亡き後の地中海世界(上・下)』|「波」対談

ルネサンスとは、自らに疑いを持つことで、疑いを持って自分を見つめ切った後にしか、本当の飛躍がないことを。キリスト教世界はルネサンスを経験し、さらにもう一度、啓蒙主義も経るわけです。しかし、イスラムはそれらを経ていない。私が書いた時代の話ではなく、現代のイスラム世界のことですが、自分自身に疑いを持たない、つまりは自分の行動について反省をしない人間というのは、もしも不都合が起こった場合に、他人に責任を転嫁しませんか。

塩野七生『ローマ亡き後の地中海世界(上・下)』|「波」対談

注)引用は上記の対談から抜粋しました。

特に、「自らに疑いを持つことで、疑いを持って自分を見つめ切った後にしか、本当の飛躍がないことを。」という言葉は、平穏無事な今日という日常がこれからも永遠に続く、と思い込んでいる日本人に対する、強い警告にもなりましょう。

そして、「自分自身に疑いを持たない、つまりは自分の行動について反省をしない人間というのは、もしも不都合が起こった場合に、他人に責任を転嫁しませんか。」とはイスラム世界を評しての塩野の発言ですが、そっくりそのまま現在の日本人にも適用できると思います。

自分を疑うことのみならず、あらゆることに疑いを持つ人が増加すれば、袋小路で身動きが取れなくなり、無駄な時間ばかり過ぎている日本社会が変化する第一歩になると感じました。


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