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ながやまこはるが薦めていたサクラミナトの漫画3つの願いが面白かった

から感想を書いています。ヘッダ画像をお借りしています。

期せずして、昨日見たレジェンド・オブ・フォール/果てしなき想いと同じくどこからどう話しても内容ばれになる物語なので、頑張ってそれをしないように感想を書きたい。

まず集英社のSNSの使い方である。この3ページで全く先の内容がわからないようになっているあたりが実にしたたかである。この次のページ読んでほしい。

殊まんがとSNSの相性を最大限に引き出すためには、このような実に慎重な絵の貼り方が重要である。小出しにしすぎても苔にされるだけだし、いきなり全開にしても「はいはい」で終わりだ。

言うなれば、新人漫画屋であることをいいことに担当だの編集が「Twitterに載せるために、冒頭3ページはこういう内容にしろ!!」と命令したんじゃないか?とさえ思える「実にSNS向けの引き」となっているあたりに現代漫画のマーケティングにおけるディレンマを思う。

内容ばれ全開で話すと、いや、宣言通りできるだけばれないようにするつもりだが─────メタフィクションもここまで突き抜けてくれればまええか……的な仕草である。

ぼくは誤解を恐れずに言えば、そろそろメタフィクション的なものに飽きてしまったのかもしれないと思っていた。世界系とか、現実を上位現実が包んでるみたいなそれですね。

最初世界系に触れた時に、あ、すげーわそんなの思いつかねーわと衝撃を受けつつも、以後そのような話が乱造され安上がりになってしまった感がある。コモディティ化といえばわかりやすいでしょうか。

だから「転生した俺が死ぬ前の知識をいかしてヨーロッパ諸国が12世紀ぐらいに戻った世界で鬼軍曹化してしまうなんて!?」的なものに対してもどこか穿った見方をしていたことだろうと思います。

といいますかあるクールにおけるアニメが平均10個も20個も放映されて、アニメータが恐ろしく安く買い叩かれている(=クソ安い賃金で20時間ぐらい働かされながら作らされている)時代が異常といえるのかもしれなくて、そのような環境下で青春や思春期を送った人々とはもしかしたら似たような感想を持っているのかもしれないのだが、別にこの文は論文でもなんでもないのでそんな定性調査はクソ面倒なのでいちいちしない。

となるとそのメタフィクションで囲まれた市場をどのように切り開くかが新しい漫画屋たちのテーマになるんだろうけど、いや漫画だけじゃなくて物語なんでもそうですね。活字、映画………もしかしたらそのような葛藤を経て生み出されたのかもしれない。メタフィクションで埋め尽くしてぼくの生活を取り戻して……みたいな

漫画とはその時代ごとにスタンダードがあり、かつて異彩を放っていた(と思える製品は紛れもなく今でもそうだと言えるだろうが)物語の造り方が逆にデファクト・スタンダードとなってしまい……むしろそれで溢れかえったからにはそのような物語の手法が当然であると思える新しい世代は、かつては異彩や異形だと思えるその方法からさらなる異形を生み出し、このように新しく美しい物語として昇華できるのであれば、アートとか芸性みたいな市場は衰退することはないのだろうと安心できる。

そのような光を持った漫画である。

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