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エッセイ

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エレベーター・やさしい人(中島みゆきの歌によせて)・分身の術など あれこれ
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残り物には懺悔がある

残り物には懺悔がある

深夜のコンビニ、棚の上の売れ残りたちがひそひそ話している。
塩にぎり「あ~あ一日中ここにいたのに買ってもえらなかったなぁ」
ネバネバサラダ「わたしだってそうよ。夕方来たお姉さんたち、歯にくっつくとか唇につくと痒くなるとか買いそうだったのにやめてったし。体にいいのにね」
三色弁当「値下げして売ったりしないのかしら」
天ぷらそば「値下げするより捨てる方が儲かるみたいだせ。ほら、恵方巻さん、可愛そうだっ

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私の歌物語  「ミエハルカラオケ残暑バージョン」

私の歌物語  「ミエハルカラオケ残暑バージョン」

さいとうT長さんからバトンが廻ってきました。

ヤバ猫さんからも(^^)v

そこで私の恋物語を歌で辿ってみたいと思います。
一曲目は五輪真弓さんの「恋人よ」なんと切ない・・・
大事な人を失った悲しみは一生癒えません。
カラオケ何度も本気で歌いました。( ;∀;)

その寂しさ哀しさを埋めようとしたのがまた恋でした。
道ならぬ恋もしたかも・・・この歌のように👇・・・
「金曜日の妻たちへ」というド

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懐かしい

懐かしい

「懐かしい」という言葉は英語には無いと聞いた。Google翻訳で調べてみるとnostalgic と表示される。う~んなんか薄っぺらだ。意味だけならあってはいるが、「懐かしい」という言葉の持つ温かさ切なさ重さ心に広がる「なにか」が足りない。

「懐かしい」の「懐」は「ふところ」とも読む。着物文化の日本では「大切なもの」をしまう場所だった。「懐寂し」といえば「お金がない」という意味だし、秀吉が信長の草

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パソコン事件

パソコン事件

15年間趣味の会のホームページを作っていますが、徐々にアップロードができなくなり、転送ファイル(FTTP)を開いてもアップされているファイルが取得できなくなりました。普通なら左側に私のPCの中に保存されているファイルが、右側にホームページ上の画像やファイルがズラリと表示されるのですが、何度やりなおしても右側は真っ白のまま。つまり接続できないのです。
思いつく限りの方法を試してみてもだめで、ついに○

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今朝の月

今朝の月

 今朝の月は満月と半月のちょうど間くらい、欠けた右側がぼんやりと空に溶けていた。早く目覚めてしまいカーテンを開けると、待っていたよというようにふっと浮かんでいたのだ。そして10年も前、当地に移り住んだ友人に誘われ、南会津の山あいに出かけた日を思い出した。あの日の早朝、窓から眺めた月と同じだ。

 鍬の重さによろけ、炎天下の雑草取りで手指の筋を痛め、日照りに苗をからし等々、困難を乗り越えての収穫の喜

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腹が立つ言葉

腹が立つ言葉

以前住んでいた家の電気は転居後も少しの間そのままにしておきました。新しい居住者も決まったため、解約することにしたのですが、東電に電話をしたら「こちらで電気を切ったあと、ブレーカーを落としておいて下さい」とのこと。
ところが家具もなんにもないので、ブレーカーまで手が届かず「まあ、そのままでいいや」と帰ろうとしたら管理人にばったり。事情を話し、
「こういうわけでそのままにしてありますがいいですよね」と

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ラムネの音

ラムネの音

ラムネの音と言えば、ポン!シュワーだろうか。それと夜店の大きな氷水の入ったポリバケツに浸されてコン!コン!と瓶同士が触れ合う澄んだ音。

小さいころ近くのお寺の境内に年一回夜店が出て、母と出かけるのが楽しみだった。浴衣に、「三尺」という柔らかい帯をふわりと金魚のような形に結んでもらい、焼きイカの匂いを嗅ぎながら歩く。決まって買ってもらったのはヨーヨー。どきついピンク色に赤や青で波打つ線が描かれたヨ

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#百人一首恋の巻夏

#百人一首恋の巻夏

この空は大きな傘ね君とさす相合傘のぬくもり想う

雨を眺めていると大好きだった人を思い出す。今はどこにいるのかさえ分からない人。

雨の日のデートで彼はピンクの傘を持って現れた。しばらく相合傘で歩いた後、彼が笑顔で言った。
「この傘プレゼントするよ、可愛い色だから君がずっと使うことが出来るだろう?」
「え?なぜピンクの傘持ってるの?だれか他の女の人が忘れて行ったかなにか?」
気になっていたことをズ

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先生は100歳

先生は100歳

フランス語の先生が100歳を迎えられました。
必死で暗記してきたフランス語のお祝いの言葉をいうと「Merci、
まぁ、こんなに生きると思わなかったのにね」と、きはずかしそうな笑顔。部屋はプレゼントされたという、大きな花束の百合の香りで満ちていました。

私のお祝いもピンクの花々をあつめた可愛い花束と、大好きと伺っていた、アップルパイ。日曜日には甥御さん一家が訪問して大賑わいだったそうです。
相変わ

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引っ越しました

引っ越しました

何と一か月以上休んでしまいました。皆さんお元気でしょうか。
段ボール35個詰め、引っ越し先で開けてどこに入れようか置こうか
さんざん考えてやっと納め、一息つきました。
今度は10階ですが、南向きで広い空が眺められます。
連れてきた薔薇、ムクゲ、ゼラニウム、ベゴニア、ゴムの木、クロトン、皆元気で芽を伸ばしています。
レースのカーテンは薔薇模様のものを新調しました。
バラ色の人生が始まるように・・・

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変わる時

変わる時

変わる時は思いがけなく訪れる。これは紺色が赤に変わった物語・・・

遠い日のことです。
母がわたしのワンピースを2着縫ってくれました。紺色の布地と赤色の布地を畳の上にパーッと広げ、どっちにしようかな、と言いながら、
結局3本白線の入ったセーラーカラーの同じデザインで色違いを2着。

ミシンを踏む母のそばで、もらった端切れで私はお人形のギャザースカートをチクチク縫っていました。

手先が器用で縫物上

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独立の花#シロクマ文芸部

独立の花#シロクマ文芸部

始まりは・・・貝母という不思議な名前の花に魅かれた始まりは、随筆家、岡部伊都子のある逸話を知ったことによる。彼女が婚家を身一つで飛び出して独立した時、新しい部屋にこの一輪を挿して独立記念日の花としたというのだ。花の著作も多い達人が選んだ一輪とは、いったいどんな花かと興味深々だった。

貝母という花を見てみたいと、花に詳しい詩の会の友Kさんに話したところ、その花ならうちの庭にあるので、咲いたら「貝母

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イントロ好き

イントロ好き

マツコ・デラックスさんが、「ちょっと聞くだけで歌が分かっちゃうイントロってあるのよね~」と、のたまっていたが、本当にそうだ。
「裕次郎のブランディグラスって、あの忍び泣くようなコーラスから始まるの、たまんないわね~」とも。
ブランディグラスという歌は知らないので調べてみるとなるほど、女心が
ふるえる。よかったらイントロだけでも聞いてみてください。

さすがプロの作詞家は落としどころを知っている。

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朝焼け#青ブラ文学部

朝焼け#青ブラ文学部

窓の外の空が白み、ほのかな紅色が広がり始めた。「ああ、朝焼けだ」
生まれて初めて試験勉強で徹夜した朝のことだ。

英文学史の試験には泣かされた。英文が一行書かれていて、これを書いた作家名と作品名を書くという問題がずらり、と並ぶ。
To be or not to be ,That is a guestion.
ならば Shakespeare の Hamlet  とすぐ分かるが、こんなに分かりやすい問

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