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パン

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2019年3月の記事一覧

日常を少しだけ愉快に。

日常を少しだけ愉快に。

March14, 2019

身の引き締まるような原稿の依頼をいただいて、考えている。パンとは。

「パンは小さいけれど確かな幸せ。つくり手にとっては、生きかたそのもの」

これは拙著『BAKERS おいしいパンの向こう側』(実業之日本社 2018)の帯の言葉だ。

小さいけれど確かな幸せ。
レイモンド・カーヴァーのいう”A small, good thing”、村上春樹のいう小確幸。

それをと

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ホワイトデーイブの混雑とスコーンに思う

ホワイトデーイブの混雑とスコーンに思う

March 13, 2019

ホワイトデーイブの行列欲しいものがあって、夕方のデパ地下に足を踏み入れると、よく知る場所なのに動けない。買おうと思った焼き菓子を買おうにも長蛇の列で諦めて、パン屋さんのアンデルセンでマフィンやスコーンなど買って帰る。アンデルセンも並んでいたが、お菓子屋さんほどではなかった、そのときこの賑わいは明日がホワイトデーだからと気がつく。仕方がないな。欲しかったものは帰ってか

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パンと本、そして産直野菜のような直接の売り方

パンと本、そして産直野菜のような直接の売り方

March 10, 2019

今度のスタンダードブックストア(心斎橋)で『月の本棚』の一連のトークイベントも一段落する。有名作家でもないのに4回も、何をしているのか?

これは出版記念イベントのかたちをとっているけれど、よい(とわたしが思う)本、『月の本棚』で紹介している本と出合うきっかけ、買ってもらう機会になれば嬉しいな、という活動だ。わたしは作者というより紹介者なのだ。

著者や編集者自ら本

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きっとミミが好きになる

きっとミミが好きになる

March9, 2019

昨日に続いて、パンのミミの話。子供がパンのミミを残すのは、おいしいミミが解決してくれるに違いない。おいしいというのは、食べたときに心身が心地よい感覚になることだ。

おいしいミミは、ミ(中身)のおいしさを確約してくれる。それは特別な素材を添加したりしなかったりすることではなくて、ミとまったく同じ生地にもかかわらず、焼くことで異なるものになる、職人技によるサプライズなのだ

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新発売のフワフワ食パン

新発売のフワフワ食パン

March 8, 2019

食パンをスライスせずにちぎって食べる、とパン好きな女の子に聞いたのは、数年前のことだった。最近は、非常に柔らかくて形を保たせるのも至難の技だという食パンに行列を作る人々もいて、フワフワの食パンが何かと話題になっている。そういえば、ミミを感じさせないように焼くトースターについて考えているひともいる。

わたしはトーストした「ミミ」と「ミ」(身という漢字にもなるけれど、フ

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雨の日のクロワッサン

雨の日のクロワッサン

March 7, 2019

雨の夕方、クロワッサンを買って帰る。
普段、クロワッサンを食べる機会があまりない。朝のイメージだし、早朝から開いていて、クロワッサンを焼いている店が、近くにないから。

夕方で、ぱりぱりの層が湿気を含んでしまいそうな雨降りで、わたしは車から降りて店に飛び込んで、クロワッサンと、ついでにいくつかのパンを買い込んで、車に戻った。

クロワッサンを食べたい気分だったのだ。

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