岩佐 文夫

プロデューサー/編集者。音声メディア「VOOX」編集長。書籍『シン・ニホン』『妄想する…

岩佐 文夫

プロデューサー/編集者。音声メディア「VOOX」編集長。書籍『シン・ニホン』『妄想する頭 思考する手』『降伏論』『熟達論』などを手掛ける。元ハーバード・ビジネス・レビュー編集長。本ブログはアフィリエイトプログラム「amazonアソシエイト」に参加しています。

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記事一覧

楽しい対話のシンプルな法則とは?

人との何気ない対話は、人生におけるスパイスのようなもので、なくても生きていけるけど、あると日常が味わい深くなる。 ここでいう「対話」とは、日常的な会話やお喋りと…

岩佐 文夫
1か月前
59

「必要とされる」からの解放――書籍『2035年の人間の条件』

本は大きく分けると、「そうだよね」系と「考えもみなかった!」系に分かれる。出版されたばかりの『2035年の人間の条件』は後者の傑作ではないだろうか。 本書は、ソニー…

岩佐 文夫
1か月前
41

勇気をなぜいま語るのか?――内田樹著『勇気論』を読む

「いまの日本人に一番足りないものは勇気じゃないだろうか?」 内田樹さんのこんな投稿を見て、異常に反応した編集者がいた。この言葉に、何かが引っかかったその編集者は…

岩佐 文夫
2か月前
34

「できない」が「できる」に変わる本――鈴木奈津美著『I型(内向型)さんのための100のスキル』

頑張っている人を見ると応援したくなる。 ましてや、そんな人が初めて本を書いたとなると、そう!おめでとう!これはすぐ読む! 「なつみっくすさん」こと鈴木奈津美さん…

岩佐 文夫
2か月前
80

初めて会った仕事相手に、好かれようとする必要はない

編集者になりたての20代の頃、本を出しているようなその道の第一人者にお会いするとどう接すればいのかわからなかった。たいした成果を出していない自分が、社会できちんと…

岩佐 文夫
9か月前
135

ライバルの存在を活かすには

仲間の活躍を喜べない同期の仲間、趣味の仲間、あるいは同じ仕事相手に、あなたはライバルと言える存在はいないだろうか。そして、「ライバルの存在が自分を高めてくれた」…

岩佐 文夫
9か月前
36

「自分は何者か」にどう答えを出すか

わかるようでわからない、もっとも身近で全てを知っているのにわからない、それが「自分」という存在ではないだろうか。 そもそも観察される対象と観察する対象が同じであ…

岩佐 文夫
9か月前
61

「忘れてほしい」というお願いほど難しいものはない−―『最愛の』を読んで

ひょんなことから恋愛小説を読む。上田岳弘さんの『最愛の』である。帯には、「芥川賞作家が最高純度の恋を描く、デビュー10周年記念作品」とある。これまでS Fもののイメ…

岩佐 文夫
10か月前
40

自分の仕事の実力をどう測るか

アメリカ大統領の仕事とはある外資系企業の社長の人と話していた時のことである。この人は、外資系のコンサルティング会社に勤めた後、アメリカのビジネススクールに留学し…

岩佐 文夫
10か月前
112

自分を「語る」のではなく、「語られる」存在になる

自己紹介に代わる「他者紹介」10年くらい前のこと。20人くらいのセミナーに参加したら近くの3人でグループを組まされ、そこでお互いの自己紹介をするようにと。グループ内…

岩佐 文夫
11か月前
148

自分を語る記事が読まれない理由

一生懸命書いても読まれなかったブログ記事僕がビジネス雑誌の編集長をしていた時の話である。月刊誌だったため、読者との接点を増やそうと思い、毎週、編集長ブログを書い…

300
岩佐 文夫
11か月前
1,770

他者と仕事をするとき、自己PRより大切なこと

自己PRのパラドクス出版社に勤めていた頃に行った業界のパーティでの話である。 たまたま名刺交換したAさんは翻訳者であり、自己紹介でこれまで手掛けた本の名前と売れ部…

岩佐 文夫
11か月前
167

為末大さんは『熟達論』をいかに書き上げたか

7月13日に発売された為末大さんの『熟達論』。ご自身が「これまでの集大成」と言う本はいかに生まれたか。プロデューサーとしてその執筆を間近に見ていた立場から、この本…

岩佐 文夫
1年前
160

生成AIという道具は人類をどう変えるかーー『ChatGPTと語る未来』を読む

ChatGPTが登場して半年余りだが、今年の話題の主役と言っても過言ではない。ネットはもちろんのこと、テレビや雑誌で取り上げられたり、早くも書籍売り場でもこのテーマの…

岩佐 文夫
1年前
46

「言葉を扱う」とは身体的な行為ではないか――『言語の本質』を読んで

オンラインセミナーをする際、冒頭で参加者の緊張を和らげるために、「今の気持ちを一言、紙に書いて出してください」とやる。すると「ドキドキ」「ワクワク」が圧倒的に多…

岩佐 文夫
1年前
29

書籍『降伏論』はこうして出来上がった。

この度、日経BPから高森勇旗さんの『降伏論』が出版された。僕はこの本の出版にプロデューサーとして関わった。どのように高森さんと出会い、なぜ高森さんの本を出そうと思…

岩佐 文夫
1年前
87
楽しい対話のシンプルな法則とは?

楽しい対話のシンプルな法則とは?

人との何気ない対話は、人生におけるスパイスのようなもので、なくても生きていけるけど、あると日常が味わい深くなる。

ここでいう「対話」とは、日常的な会話やお喋りとは違う。仕事などでの意思疎通で必要とされる会話とも違う。ここでの対話とは、二人の人がお互いに話を行き来せる行為であり、そのインプットとアウトプットを繰り返すプロセスから、知的な面白さが感じられる行為とする。それは大真面目な哲学的な問答もあ

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「必要とされる」からの解放――書籍『2035年の人間の条件』

「必要とされる」からの解放――書籍『2035年の人間の条件』

本は大きく分けると、「そうだよね」系と「考えもみなかった!」系に分かれる。出版されたばかりの『2035年の人間の条件』は後者の傑作ではないだろうか。

本書は、ソニーコンピュータサイエンス研究所フェロー、チーフサイエンスオフィサーの暦本純一さんとメディアアーティストの落合陽一さんとの対談である。ともに情報科学の研究者でありかつ子弟関係にある。そんなお二人の対話は、読者が「そうだよね」と共感できる部

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勇気をなぜいま語るのか?――内田樹著『勇気論』を読む

勇気をなぜいま語るのか?――内田樹著『勇気論』を読む

「いまの日本人に一番足りないものは勇気じゃないだろうか?」
内田樹さんのこんな投稿を見て、異常に反応した編集者がいた。この言葉に、何かが引っかかったその編集者は、内田先生に会いに神戸まで出向く。そうして出来上がったのが、本書『勇気論』だという。

そんな出版の裏話のような背景のみならず、本書はその制作過程そのままを表に出している。使った手法は、往復書簡だ。編集者の古谷勝彦さんが、内田さんの投稿を見

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「できない」が「できる」に変わる本――鈴木奈津美著『I型(内向型)さんのための100のスキル』

「できない」が「できる」に変わる本――鈴木奈津美著『I型(内向型)さんのための100のスキル』

頑張っている人を見ると応援したくなる。
ましてや、そんな人が初めて本を書いたとなると、そう!おめでとう!これはすぐ読む!

「なつみっくすさん」こと鈴木奈津美さんが書かれた『I型(内向型)さんのための100のスキル』である。内向型は英語で「Introvert」であり、最近では日本でも「I型」という呼び方がされているそうだ。

読み始めて、自分の思い上がりに気がついた。この本を読もうと思ったのは、な

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初めて会った仕事相手に、好かれようとする必要はない

初めて会った仕事相手に、好かれようとする必要はない

編集者になりたての20代の頃、本を出しているようなその道の第一人者にお会いするとどう接すればいのかわからなかった。たいした成果を出していない自分が、社会できちんと価値を生み出してきた人と仕事をする上でどう貢献ができるのかに自信がなかったのだ。それから長い年月をかけていろんな人と仕事をしたことで、このような不安がいつの間にかなくなっていた。「相手が自分のことをどう思うのか?」ということをあまり意識し

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ライバルの存在を活かすには

ライバルの存在を活かすには

仲間の活躍を喜べない同期の仲間、趣味の仲間、あるいは同じ仕事相手に、あなたはライバルと言える存在はいないだろうか。そして、「ライバルの存在が自分を高めてくれた」ときれいに言うことができればいいのだが、その存在が自分のネガティブな感情を引き出す、そんな経験はないだろうか。僕にも苦い経験がある。

学生時代にサッカー部に所属していた。今から思えば三流のチームだったが、とうの本人たちはそれなりに真剣に取

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「自分は何者か」にどう答えを出すか

「自分は何者か」にどう答えを出すか

わかるようでわからない、もっとも身近で全てを知っているのにわからない、それが「自分」という存在ではないだろうか。

そもそも観察される対象と観察する対象が同じであるため、他者を観察するように、自分を見れないのは当然かもしれない。それでもなお、我々は、「自分は何者か」を知りたい。

先日、仕事を一緒にしている人たちと会食した。そこで言われたのは「最初は怖い人だと思った」という第一印象と、「いまだに掴

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「忘れてほしい」というお願いほど難しいものはない−―『最愛の』を読んで

「忘れてほしい」というお願いほど難しいものはない−―『最愛の』を読んで

ひょんなことから恋愛小説を読む。上田岳弘さんの『最愛の』である。帯には、「芥川賞作家が最高純度の恋を描く、デビュー10周年記念作品」とある。これまでS Fもののイメージが強い上田さんが恋愛小説を書いたというのにそそられた。

我々にとって現実とは何か。『最愛の』を読んで最も考えさせられたのは、このことだった。

主人公は外資系通信機器メーカーに勤める38歳の独身男性、久島である。東京で働く日常も、

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自分の仕事の実力をどう測るか

自分の仕事の実力をどう測るか

アメリカ大統領の仕事とはある外資系企業の社長の人と話していた時のことである。この人は、外資系のコンサルティング会社に勤めた後、アメリカのビジネススクールに留学し、帰国後は外資系企業に転職され何社ものトップを勤めてこられた。

当時盛り上がっていた、アメリカの大統領選挙の話になった。そこで面白いことを言われた。「アメリカ大統領ほど魅力的な仕事はそうないと思う。自分の意思決定一つで世界が大きく変わると

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自分を「語る」のではなく、「語られる」存在になる

自分を「語る」のではなく、「語られる」存在になる

自己紹介に代わる「他者紹介」10年くらい前のこと。20人くらいのセミナーに参加したら近くの3人でグループを組まされ、そこでお互いの自己紹介をするようにと。グループ内での自己紹介が終わると、今度は、そこで聞いた他人の話をみんなの前で披露するように言われた。つまり自己紹介ならぬ「他者紹介」である。

これがとても気持ちよかった。なんせ、自分のことを他の人がみんなの前で披露してくれるのだ。そこには初対面

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自分を語る記事が読まれない理由

自分を語る記事が読まれない理由

一生懸命書いても読まれなかったブログ記事僕がビジネス雑誌の編集長をしていた時の話である。月刊誌だったため、読者との接点を増やそうと思い、毎週、編集長ブログを書いていた。内容は、その週に出会った人との会話や、雑誌を作りながら考えた経営マターについてなどであり、固定読者もついてそこそこ人気のコンテンツとなった。中でも、読んで面白かった本の記事がよく読まれ、紹介した本の著者や出版社からお礼を言われること

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他者と仕事をするとき、自己PRより大切なこと

他者と仕事をするとき、自己PRより大切なこと

自己PRのパラドクス出版社に勤めていた頃に行った業界のパーティでの話である。

たまたま名刺交換したAさんは翻訳者であり、自己紹介でこれまで手掛けた本の名前と売れ部数をいくつも上げられた。知らない本だったが、数々のベストセラーを手掛けた実力者であることがわかる。「すごいですね」というと、Aさんは他の書名も上げて、「こんな本もやりました」と教えてくれる。短い時間でありながら、この人は実に見事に自己紹

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為末大さんは『熟達論』をいかに書き上げたか

為末大さんは『熟達論』をいかに書き上げたか

7月13日に発売された為末大さんの『熟達論』。ご自身が「これまでの集大成」と言う本はいかに生まれたか。プロデューサーとしてその執筆を間近に見ていた立場から、この本の出版プロセスを書いてみたい。

「現代の『五輪書』を書いてみたい」出版プロジェクトはひょんなことから始まった。

その日は中目黒のブルーボトルコーヒーで、為末さんとお会いしていた。仕事の合間にいろんな話しをしていたが、じっくり話すのはこ

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生成AIという道具は人類をどう変えるかーー『ChatGPTと語る未来』を読む

生成AIという道具は人類をどう変えるかーー『ChatGPTと語る未来』を読む

ChatGPTが登場して半年余りだが、今年の話題の主役と言っても過言ではない。ネットはもちろんのこと、テレビや雑誌で取り上げられたり、早くも書籍売り場でもこのテーマのものが続々と増えてきた。そんな中で選んだのが、本書『ChatGPTと語る未来』である。

選んだ理由は著者にある。リード・ホフマンは、いわゆる「ペイパル・マフィア」の一員でありリンクトインの共同創業者。現在は投資家としても活動されてい

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「言葉を扱う」とは身体的な行為ではないか――『言語の本質』を読んで

「言葉を扱う」とは身体的な行為ではないか――『言語の本質』を読んで

オンラインセミナーをする際、冒頭で参加者の緊張を和らげるために、「今の気持ちを一言、紙に書いて出してください」とやる。すると「ドキドキ」「ワクワク」が圧倒的に多い。なので、今では「今の気持ちを「ドキドキ」「ワクワク」以外のオノマトペで描いてください」と言うようにしている。これがとても面白く、「ワサワサ」「オソオソ」など、その人らしいユニークな表現が出てくるのだ。

このオノマトペ。実に人の気持ちの

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書籍『降伏論』はこうして出来上がった。

書籍『降伏論』はこうして出来上がった。

この度、日経BPから高森勇旗さんの『降伏論』が出版された。僕はこの本の出版にプロデューサーとして関わった。どのように高森さんと出会い、なぜ高森さんの本を出そうと思ったのか。それらを踏まえ本書出版プロセスの裏側を紹介したい。

「高森さんという面白い男がいて、、、」ちょうど1年半ほど前のこと、仕事で経営学者の楠木建さんとご一緒させてもらう機会があった。楠木さんは雑談の中で、こんなことを話された。

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