岩佐 文夫

プロデューサー/編集者。音声メディア「VOOX」編集長。書籍『シン・ニホン』『妄想する頭 思考する手』などを手掛ける。企業の新規事業や組織開発プロジェクトも。元ハーバード・ビジネス・レビュー編集長。本ブログはアフィリエイトプログラム「amazonアソシエイト」に参加しています。

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      2018年3月19日から3か月の予定でハノイに短期滞在します。現地で感じたことを書き残す。

    • 気仙沼ニッティング 東北探検隊

      2017年8月9日から1ヶ月間、気仙沼ニッティングは東北探検隊を派遣しました。隊長に任命された私は、毎日ブログを更新しました。このマガジンはその記録です。遡ってお読みいただければ幸いです。

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    本は頭で書くのか、心で書くのか?――『矛盾と創造』を読んで

    どの著書にも手抜きが感じられない著者読んだ本の面白さは、書き手ではなく内容が全てである。ただ、読む本を決めるとき、書き手がどんな人なのかは大きな影響を及ぼす。僕には「この人の書いたものなら無条件に読む」という著者がいる。社会心理学者の小坂井敏晶さんがその一人だ。 10年ほど前に最初に読んだ『責任という虚構』で、「当たり前を疑う」その深さに感服した。責任の所在を追及する本書では、社会が捏造した「虚構」であると言い切る。責任が虚構であるなら、その裏返しにある自由とは何か?我々が

      • 自分で自分を楽しませる人は最強である。――『ひとりあそびの教科書』

        かつて、フランフランの社長だった高島郁夫さんが『遊ばない社員はいらない』という本を書かれた。経営者は、少しでも社員に働いてもらいたいものだが、高島さんは、あえて「遊び」の重要性を強調された。仕事だけしていてもいい仕事ができない。このメッセージは、薄々多くの人が感じていたであろうが、それを表立って発言されるあたり、いかにも高島さんらしい。 翻って、先日『ひとりあそびの教科書』という本が発売された。著者は、批評家の宇野常寛さんであり、『母性のディストピア』『遅いインターネット』

        • 問い続ける旅に誘う本――『冒険の書』を読む

          カバーのイラストとデザインに一目惚れして読み始めた。『冒険の書』という書名がまた不思議なのだが、著者は、孫泰蔵さんである。説明不要だが、シリアルアントレプレナーであり投資家であり、これまでのエッセイや発言から分かるように現代の思想家の一人だと思う。そんな孫泰蔵さんの単著である。 読書体験は、小説のようだった。書名の「冒険」の意味も明確にはわからないまま、次のページをめくりたくなる言葉が並んでいる。謎解きのようなワクワク感があるのだが、その謎は「問い」という形式で現れ、どれも

          • 遠くのことを「知らなかった」と済ませられるか――『生命の旅、シエラレオネ』を読む

            久しぶりに骨太のノンフィクションを読んだ。 『生命の旅、シエラレオネ』は、国境なき医師団の一員として、4週間にわたり西アフリカのシエラレオネで活動した医師の記録である。2014年当時、世界ではエボラウィルスが猛威を奮っていた。その蔓延の最前線に赴いた著者、加藤寛幸さんが当時の日記をもとに書き表したものだ。 もともと国境なき医師団には興味があった。ニュースでしか知ることがないのだが、人道支援を目的に、それこそ国境を越えて医療支援活動をする団体である。人の命に関わる専門技術を持

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            「読書」は本選びから始まっている

            誰にとっても「いい本」は存在するか書評を書いているからか、「おすすめの本はありますか?」と聞かれることが多い。だが、いつも答えるのに苦労する。考えすぎかもしれないが、僕が読んで面白かった本が、質問してくれた人にとって面白いかどうかがわからないからだ。お笑いが好きな僕は先日、M-1に関する本を読んで非常に興奮したが、漫才に興味のない人にとってはまるでつまらない本かもしれない。 質問をする人は、ただ興味本位に聞いているだけかもしれないが、誰にでも面白い本があるという前提を置かれ

            今年読んだ2022年の新刊ベスト5

            先日、今年読んだ2022年発行の「新書のベスト5」をブログに書いた。新書を豊富に読んだ一年だったが、単行本の中にもとても心に残る新刊がいくつもあった。 そこで今回は、今年読んだ「2022年の新刊ベスト5」を紹介したい。僕は小説はあまり読まないので、必然的にノンフィクションが中心である。選定基準は、とにかく読んで面白かったかどうかでジャンルは問わない。なお紹介順はランダムであり、順番はランキングではない。 語学書を超えた、学びの面白さを伝える冒険的ノンフィクション最初に紹介

            読後で決める「2022年の新書ベスト5」

            なぜ今年、新書を読みまくったのか?この一年、新書を読みまくった。おそらく学生時代より多く読んだはずなので、人生でダントツで新書を多く読んだ一年となったのは間違いない。 動機はピュアな知的好奇心というより、仕事がらみである。僕は現在VOOXという音声メディアのコンテンツづくりをしている。VOOXは各界の専門家の方に、10分1話を6本、合計60分、専門テーマについて話してもらう学びのコンテンツである。これを毎週お一人ずつ公開しているのだが、結構大変なのだ。毎週新しいコンテンツを

            コンテンツを作る人は『映画を早送りで観る人たち』を読んで何を考えるか

            これは若い人だけの現象か?『映画を早送りで観る人たち』。この書名が気になっていた最中、友だちに勧められたのがダメ押しになって読んでみたら大当たりだった。人と会話する際にも、自分がコンテンツを考える際にもこの本の内容が頭から離れなくなっている。 著者の稲田豊史さんは、ライターでありコラムニストであり編集者。世の中に徐々に浸透してきたこの現象について、データや取材を元に実に多彩な角度から抉り出している。 「映画を早送りする」。この言葉を聞いて驚くと同時に、「ありうる」と思える

            瀧本哲史さんが遺したもの。ーー『瀧本哲史論文集』を読んで

            ほぼ一年ぶりに瀧本哲史さんのことを深く思い出す機会となった。 『瀧本哲史論文集』が発売されたのだ。 本書は瀧本哲史さんが生前に自著以外で書き残した文章をまとめたものである。それらを時系列で並べてあるので、読みながら、瀧本さんのメッセージの変遷が辿れるようになっている。 2019年に永眠された瀧本さんは、エンジェル投資家であり京都大学客員准教授も務め、ビジネス書作家としてもベストセラーをいくつも発表した人だ。せっかくなので、彼の著作を並べると以下のようになる。 『僕は君た

            本物の楽観は、悲観の壁を打ち破ったところに訪れる?―『絶対悲観主義』を読んで

            『絶対悲観主義』という、これまた人のやる気を失わせるようなタイトルの本が出た。僕は「どうせダメだ」的な話は聞いていて楽しいと思えないので、こういうタイトルの本は普段スルーする。 だけど、この本の著者は経営学者の楠木建先生である。『ストーリーとしての競争戦略』や『「好き嫌い」と経営』などの経営書はどれも読み応えあるし、一般的なビジネス書もどれに面白い。特にキャリアについて読者からの相談に回答する『好きなようにしてください』という本が大好きだ。読者の「転職すべきかどうか」あるい

            ひとりの好奇心が、多くの人を魅了するものを生み出す。――『四角六面』を読んで

            以前、「麻婆豆腐を最初に作った人って偉大だな」と思ったことがある。挽肉と豆腐を一緒に炒めるという発想はどこから出てきたんだろう。今では、定番の料理として定着しているものだけに、それを「生み出した人」がいるとしたら、それはルンバやiPhone、あるいはウーバーなどのような製品やサービスと同じように偉大だと思う。生み出されたモノの偉大さは、それが社会の中で、当然のように存在しているその「当たり前度」によって測られるのではないか。 そんな偉大なモノの一つに、ルービック・キューブが

            Living for Todayという生き方にどう迫れるか−−『「その日暮らし」の人類学』を読んで

            毎日、勤勉に働くことが大切だと思う。その一方で、映画『男はつらいよ』の寅さんではないが、風来坊的な生き方にどこか憧れる。先のことを考えるのではなく、気の向くままに、思い立った場所を訪ね、好きなことをして時間を過ごす。刹那的なその自由気ままな生き方への憧れは確かに捨てがたい。 なのに僕らが「勤勉な生き方」を目指すのは、社会の信用を得て、未来の生活を約束してくれるからだと信じているからである。風来坊的な生き方では、履歴書は目も当てられない。プロポーズした相手の親御さんに挨拶する

            後悔をなくすことができなくても、後悔を活かすことはできる。――『後悔を活かす心理学』

            買えばよかったもの、買わなければよかったもの。やればよかったこと、やらなければよかったこと。言えばよかったこと、言わなければよかったこと。ことの大小は違えど、「よかったこと」と後悔は紙一重で、僕らは常にこのせめぎ合いの中で生きている。 『後悔を活かす心理学』を読んで、この日常の「事後的」なフィードバックとどう付き合っているのかを改めて考えるきっかけとなった。 そもそも、それぞれの「後悔」については身近な存在であり日々意識するのだが、抽象的に「後悔」という言葉を考えたことは

            嘘がないのが誠実なわけではない

            ようやく人と会う機会が増えつつある。そんな機会は、いつも新しいコンテンツのネタ探しにも活かそうとする。僕がやっているVOOXという音声メディアは、人の可能性を広げるコンテンツを毎週1本リリースしている。なので365日、その新しい企画を考えていて、会う人にもそのヒントをもらおうとする。 その日は旧知の編集者と、新宿にある昭和レトロな喫茶店で久しぶりに会った。近況報告とともに、「最近、面白い人いない?」と聞いてみたところ「作家の浅生鴨さんとかどうですか?」と意外な方面から返事が

            読み始めると、仕事が滞おり生活リズムが崩れる。――『編集とは何か。』

            知り合いのTwitterで知ったこの本。『編集とは何か。』という書名に、編集者の端くれとしては見過ごせるはずもなく。手元に届いて驚いたのがその厚さだ。新書なのに、732頁もある。思わず笑ってしまい、これは全部読まないかもしれないなと思った。 机の片隅に積んでいたのだが、この厚さが思わず手にとりたくさせる。仕事中パラパラとページをめくっていたら、読み始めていた。そうしたらやめられない。朝の仕事前に1時間、移動時間の間、昼食後の腹ごなしの時間、そして夕食後にカフェに出かけて閉店

            真面目な問題を「不謹慎」ギリギリで攻める人ー『笑える革命』を読んで

            「注文をまちがえる料理店」はいまだに忘れられない。認知症患者の人にレストランのホールで働いてもらい、注文をまちがえてしまうことも含めてお客さんに楽しんでもらう。それによって、認知症の人の実態をより身近に感じてもらうというプロジェクトだ。 仕掛け人は当時NHKのディレクターであった小国士朗さん。現在は独立されてプロデューサーとして、数々のプロジェクトに携わる。その小国さんの新刊が『笑える革命』である。 「革命」とは物凄く強い言葉である。「無血革命」という言葉があるくらい、血