岩佐 文夫

プロデューサー/編集者。音声メディア「VOOX」編集長。書籍『シン・ニホン』『妄想する…

岩佐 文夫

プロデューサー/編集者。音声メディア「VOOX」編集長。書籍『シン・ニホン』『妄想する頭 思考する手』『降伏論』『熟達論』などを手掛ける。元ハーバード・ビジネス・レビュー編集長。本ブログはアフィリエイトプログラム「amazonアソシエイト」に参加しています。

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    2018年3月19日から3か月の予定でハノイに短期滞在します。現地で感じたことを書き残す。

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    2017年8月9日から1ヶ月間、気仙沼ニッティングは東北探検隊を派遣しました。隊長に任命された私は、毎日ブログを更新しました。このマガジンはその記録です。遡ってお読みいただければ幸いです。

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初めて会った仕事相手に、好かれようとする必要はない

編集者になりたての20代の頃、本を出しているようなその道の第一人者にお会いするとどう接すればいのかわからなかった。たいした成果を出していない自分が、社会できちんと価値を生み出してきた人と仕事をする上でどう貢献ができるのかに自信がなかったのだ。それから長い年月をかけていろんな人と仕事をしたことで、このような不安がいつの間にかなくなっていた。「相手が自分のことをどう思うのか?」ということをあまり意識しないようになったのだ。 今では若い人と仕事で一緒になると、「相手に好かれよう」

    • ライバルの存在を活かすには

      仲間の活躍を喜べない同期の仲間、趣味の仲間、あるいは同じ仕事相手に、あなたはライバルと言える存在はいないだろうか。そして、「ライバルの存在が自分を高めてくれた」ときれいに言うことができればいいのだが、その存在が自分のネガティブな感情を引き出す、そんな経験はないだろうか。僕にも苦い経験がある。 学生時代にサッカー部に所属していた。今から思えば三流のチームだったが、とうの本人たちはそれなりに真剣に取り組んでいた。チームの勝利も重要だが、それ以前に試合に出られるかどうかは大きな関

      • 「自分は何者か」にどう答えを出すか

        わかるようでわからない、もっとも身近で全てを知っているのにわからない、それが「自分」という存在ではないだろうか。 そもそも観察される対象と観察する対象が同じであるため、他者を観察するように、自分を見れないのは当然かもしれない。それでもなお、我々は、「自分は何者か」を知りたい。 先日、仕事を一緒にしている人たちと会食した。そこで言われたのは「最初は怖い人だと思った」という第一印象と、「いまだに掴みどころがない」という現在の印象だった。これらのコメントに対し、当の本人としては

        • 「忘れてほしい」というお願いほど難しいものはない−―『最愛の』を読んで

          ひょんなことから恋愛小説を読む。上田岳弘さんの『最愛の』である。帯には、「芥川賞作家が最高純度の恋を描く、デビュー10周年記念作品」とある。これまでS Fもののイメージが強い上田さんが恋愛小説を書いたというのにそそられた。 我々にとって現実とは何か。『最愛の』を読んで最も考えさせられたのは、このことだった。 主人公は外資系通信機器メーカーに勤める38歳の独身男性、久島である。東京で働く日常も、コロナ禍で仕事はオンラインが中心となる。まさに多くの人が数年前に経験した状況であ

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        • 英治出版オンライン連載「ベトナム、ラオス、ときどき東京」
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          自分の仕事の実力をどう測るか

          アメリカ大統領の仕事とはある外資系企業の社長の人と話していた時のことである。この人は、外資系のコンサルティング会社に勤めた後、アメリカのビジネススクールに留学し、帰国後は外資系企業に転職され何社ものトップを勤めてこられた。 当時盛り上がっていた、アメリカの大統領選挙の話になった。そこで面白いことを言われた。「アメリカ大統領ほど魅力的な仕事はそうないと思う。自分の意思決定一つで世界が大きく変わるという仕事はゾクゾクしますね」と。特に気負ったわけでもなく、さらっとこんな言葉が出

          自分の仕事の実力をどう測るか

          自分を「語る」のではなく、「語られる」存在になる

          自己紹介に代わる「他者紹介」10年くらい前のこと。20人くらいのセミナーに参加したら近くの3人でグループを組まされ、そこでお互いの自己紹介をするようにと。グループ内での自己紹介が終わると、今度は、そこで聞いた他人の話をみんなの前で披露するように言われた。つまり自己紹介ならぬ「他者紹介」である。 これがとても気持ちよかった。なんせ、自分のことを他の人がみんなの前で披露してくれるのだ。そこには初対面の人ということもあり、話も盛ってくれるので、こちらとしては王様気分である。自分の

          自分を「語る」のではなく、「語られる」存在になる

          自分を語る記事が読まれない理由

          一生懸命書いても読まれなかったブログ記事僕がビジネス雑誌の編集長をしていた時の話である。月刊誌だったため、読者との接点を増やそうと思い、毎週、編集長ブログを書いていた。内容は、その週に出会った人との会話や、雑誌を作りながら考えた経営マターについてなどであり、固定読者もついてそこそこ人気のコンテンツとなった。中でも、読んで面白かった本の記事がよく読まれ、紹介した本の著者や出版社からお礼を言われることも度々あった。 このブログでは、雑誌の発売に合わせ、月に一度は、自分の雑誌の内

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          自分を語る記事が読まれない理由

          他者と仕事をするとき、自己PRより大切なこと

          自己PRのパラドクス出版社に勤めていた頃に行った業界のパーティでの話である。 たまたま名刺交換したAさんは翻訳者であり、自己紹介でこれまで手掛けた本の名前と売れ部数をいくつも上げられた。知らない本だったが、数々のベストセラーを手掛けた実力者であることがわかる。「すごいですね」というと、Aさんは他の書名も上げて、「こんな本もやりました」と教えてくれる。短い時間でありながら、この人は実に見事に自己紹介をされた。 別の方ともご挨拶した。Bさんも「翻訳者」だが、あまりご自身のこと

          他者と仕事をするとき、自己PRより大切なこと

          為末大さんは『熟達論』をいかに書き上げたか

          7月13日に発売された為末大さんの『熟達論』。ご自身が「これまでの集大成」と言う本はいかに生まれたか。プロデューサーとしてその執筆を間近に見ていた立場から、この本の出版プロセスを書いてみたい。 「現代の『五輪書』を書いてみたい」出版プロジェクトはひょんなことから始まった。 その日は中目黒のブルーボトルコーヒーで、為末さんとお会いしていた。仕事の合間にいろんな話しをしていたが、じっくり話すのはこれが初めてである。 いつも通り、為末さんは自ら自分の語るというより、いろんな問

          為末大さんは『熟達論』をいかに書き上げたか

          生成AIという道具は人類をどう変えるかーー『ChatGPTと語る未来』を読む

          ChatGPTが登場して半年余りだが、今年の話題の主役と言っても過言ではない。ネットはもちろんのこと、テレビや雑誌で取り上げられたり、早くも書籍売り場でもこのテーマのものが続々と増えてきた。そんな中で選んだのが、本書『ChatGPTと語る未来』である。 選んだ理由は著者にある。リード・ホフマンは、いわゆる「ペイパル・マフィア」の一員でありリンクトインの共同創業者。現在は投資家としても活動されているが、過去の著作『ALLIANCE』『ブリッツスケーリング』などはどれも、その先

          生成AIという道具は人類をどう変えるかーー『ChatGPTと語る未来』を読む

          「言葉を扱う」とは身体的な行為ではないか――『言語の本質』を読んで

          オンラインセミナーをする際、冒頭で参加者の緊張を和らげるために、「今の気持ちを一言、紙に書いて出してください」とやる。すると「ドキドキ」「ワクワク」が圧倒的に多い。なので、今では「今の気持ちを「ドキドキ」「ワクワク」以外のオノマトペで描いてください」と言うようにしている。これがとても面白く、「ワサワサ」「オソオソ」など、その人らしいユニークな表現が出てくるのだ。 このオノマトペ。実に人の気持ちのあやを映し出す表現ではないか。それ以来、僕は、自分や他人がどういう時にどんなオノ

          「言葉を扱う」とは身体的な行為ではないか――『言語の本質』を読んで

          書籍『降伏論』はこうして出来上がった。

          この度、日経BPから高森勇旗さんの『降伏論』が出版された。僕はこの本の出版にプロデューサーとして関わった。どのように高森さんと出会い、なぜ高森さんの本を出そうと思ったのか。それらを踏まえ本書出版プロセスの裏側を紹介したい。 「高森さんという面白い男がいて、、、」ちょうど1年半ほど前のこと、仕事で経営学者の楠木建さんとご一緒させてもらう機会があった。楠木さんは雑談の中で、こんなことを話された。 「最近、高森さんという面白い男がいて、、、」と。 続きを伺うと、この高森勇旗さ

          書籍『降伏論』はこうして出来上がった。

          本は頭で書くのか、心で書くのか?――『矛盾と創造』を読んで

          どの著書にも手抜きが感じられない著者読んだ本の面白さは、書き手ではなく内容が全てである。ただ、読む本を決めるとき、書き手がどんな人なのかは大きな影響を及ぼす。僕には「この人の書いたものなら無条件に読む」という著者がいる。社会心理学者の小坂井敏晶さんがその一人だ。 10年ほど前に最初に読んだ『責任という虚構』で、「当たり前を疑う」その深さに感服した。責任の所在を追及する本書では、社会が捏造した「虚構」であると言い切る。責任が虚構であるなら、その裏返しにある自由とは何か?我々が

          本は頭で書くのか、心で書くのか?――『矛盾と創造』を読んで

          自分で自分を楽しませる人は最強である。――『ひとりあそびの教科書』

          かつて、フランフランの社長だった高島郁夫さんが『遊ばない社員はいらない』という本を書かれた。経営者は、少しでも社員に働いてもらいたいものだが、高島さんは、あえて「遊び」の重要性を強調された。仕事だけしていてもいい仕事ができない。このメッセージは、薄々多くの人が感じていたであろうが、それを表立って発言されるあたり、いかにも高島さんらしい。 翻って、先日『ひとりあそびの教科書』という本が発売された。著者は、批評家の宇野常寛さんであり、『母性のディストピア』『遅いインターネット』

          自分で自分を楽しませる人は最強である。――『ひとりあそびの教科書』

          問い続ける旅に誘う本――『冒険の書』を読む

          カバーのイラストとデザインに一目惚れして読み始めた。『冒険の書』という書名がまた不思議なのだが、著者は、孫泰蔵さんである。説明不要だが、シリアルアントレプレナーであり投資家であり、これまでのエッセイや発言から分かるように現代の思想家の一人だと思う。そんな孫泰蔵さんの単著である。 読書体験は、小説のようだった。書名の「冒険」の意味も明確にはわからないまま、次のページをめくりたくなる言葉が並んでいる。謎解きのようなワクワク感があるのだが、その謎は「問い」という形式で現れ、どれも

          問い続ける旅に誘う本――『冒険の書』を読む

          遠くのことを「知らなかった」と済ませられるか――『生命の旅、シエラレオネ』を読む

          久しぶりに骨太のノンフィクションを読んだ。 『生命の旅、シエラレオネ』は、国境なき医師団の一員として、4週間にわたり西アフリカのシエラレオネで活動した医師の記録である。2014年当時、世界ではエボラウィルスが猛威を奮っていた。その蔓延の最前線に赴いた著者、加藤寛幸さんが当時の日記をもとに書き表したものだ。 もともと国境なき医師団には興味があった。ニュースでしか知ることがないのだが、人道支援を目的に、それこそ国境を越えて医療支援活動をする団体である。人の命に関わる専門技術を持

          遠くのことを「知らなかった」と済ませられるか――『生命の旅、シエラレオネ』を読む