記事一覧
愛犬のこと、マロンのこと、
「一緒にいろんな景色を見よう。一緒に旅をして、いろんな空気を吸って、いろんなことを考えて、いろんなことを思おう。約束だよ。一緒に、
ずっと、ずっと一緒に、」
悲しくて、寂しくて、あの瞳で見つめられたくて、涙が溢れて、溢れて、
根拠はない、けれど、この言葉はマロンにちゃんと、
ちゃんとマロンに伝わっているんだと、そう思えた。
そう、信じられる気がした。
僕がマロンに出会ったのは、小学校3年生の時だ
砂漠、モラトリアム、
そこは果てしの無い広大な砂漠、
宇宙服を着た僕は、何とかその砂漠から抜け出そうとする。
しかし体力は尽き、水は尽き、酸素すら尽き、
僕は一歩もその場から動けないでいる。
このままでは本当に死んでしまう、そう頭では分かっているのに、
眼前に広がる砂漠はひどく広大で、広大で、
果てしがなくて、果てしなくて、
一歩すら、動けるはずのあと一歩すら、踏み出せなくて、
ああ、それにしてもこの砂漠は広大で、広大
孤独感、『コントが始まる』
僕には友達がそれなりにいる。
たまに会った時他愛のない話をしたり、
たまに遊びに行こうよ、なんて言ってくれたりする友達がいる。
僕には仲間がそれなりにいる。
一緒に演劇を作ったり、一緒に何かプロジェクトに携わったり、
一緒にミュージカルを作ったり、一緒に合唱したり、一緒のゼミにいたり、
互いに教え合ったり、一緒に小説を書いたり、とかとか、
コミュニティの数だけで言えば他の人よりも多いんじゃないか
毛むくじゃら、過去、
くらやみから、僕をのぞき込む何か、
毛むくじゃらで三頭身くらいの、一つ目の何か、
それは様々な形を取り、時々薄くなったり濃くなったり現れたり消えたり、
しかし異様に大きい目だけは変わらずそこに在り続けていて、
僕を様々な角度から吟味し続けている、ぱちくり、
少なくとも僕にはそう見える、不確かで不気味な何か、
それを僕は過去と呼ぶ。
気がついた頃から、僕は過去への執着が薄かった。
それは別に特別な
「距離感」や「遠さ」のこと
過去より、
1
癖癖するほど見たはずの空が今日はなんだか幻想めいて見えた。
かき氷にシロップをかけるみたいにじんわりと夕日の色に染まる雲をタクシーの車内から呆然と見つめる。特にそれについて何を考えているわけでもないし、それに対して何かを感じたわけでもなかった。それでも妙に腑に落ちたというか、すとんと何かが胸の中に落ちてくる感覚、そんなものだけが心の中で静かに灯っていた。
普段はタクシーなん