レペゼン地球

こういう場で、僕のような人間が書くというのも面白いと思って。
というのは建前、本音は、
書かずにはいられないほど動揺したから。
レペゼン地球は、年末のドームライブをもって解散するらしい。

こういう機会でないと書かないと思うから、
レペゼン地球との出会いと、どうしてこれを書くに至ったのかを、
どうして彼らの解散にこれほど胸を熱くさせているのかを、
ここに書いて、残しておきたいと思う。

1. レペゼン地球との出会い

レペゼン地球の動画に出会ったのは、大学1回生の頃だったと思う。

youtubeでは音楽しか聴かなかった僕の「あなたへのおすすめ」に、
何故かレペゼン地球の動画が出てきた。

その時に観た動画は、今はもう本家で動画が無い、
DJ社長がテキーラチャレンジをする動画だった。

パリピと呼ばれる存在でもなく、さして社交的でもない僕は、
うわぁ...と思うと同時に、何故か興味をそそられた。

汚いことに変わりはないのに、その動画を気が付いたらリピートしていた。
今まで見たことが無かったから、
そしてどこか怖いもの見たさでもあったのだと思う。

とにかく、そのテキーラチャレンジの動画を僕は何度もリピートした。
なんでもない退屈な時間、
youtubeを開いたはいいものの、やることが尽きたとき、

そういうありふれた虚無を潰してくれるのが、
どうしようもなく吹っ切れた、レペゼン地球の動画だった。

人には言えなかった。
友人が、レペゼン地球を否定している場面を目にすることも少なくなかった

けれど、それでも見ることは止めなかった。
というか、気が付いたら見てしまっていた。

そんなこんなで、
アーティスト以外で初めてチャンネル登録をしたのが、
レペゼン地球だったりした。

これが僕とレペゼン地球との出会い、
でも、本格的にレペゼン地球を好きになったのは、
やはりこの動画からだった。

2. 好きなことで、生きていく

レペゼン地球には珍しく40分を超える動画が投稿されていて、
やはり虚無に浸っているとき、その動画をクリックした。

その動画を観て、当時の僕は泣いてしまったと思う。

その動画で語られたDJ社長の来歴、レペゼン地球のなれそめ、
そして、DJ社長やレペゼン地球の皆の想いだった。

この人たちはこんなことを考えていたのか。
こんな目標を持っていたのか。

今まで見てきた動画と、その想いが重なった瞬間、
鳥肌が立って、そして何故か涙が零れた。

そのメッセージを聞いた時、その力強さに、
僕は心を激しく揺さぶられた。

そして思った。「小説家になろう」と。

僕は読書が好きで、本をよく読んでいたし、
大学では文芸部に所属し、そこで小説を書いていた。
だから、小説を書いたり、文字を書く仕事をしていきたいな、
漠然とそういう思いはあったと思う。

それでも、小説家になろう、とはっきり思ったのは、
レペゼン地球のその動画がきっかけだった。

なれるわけがないよな、そう思っていた自分に、
もしかしたらなれるかもしれない、
いや違う、かもしれない、じゃなくて、なるんだ、
そう思わせてくれる内容だった。

だけど、その夢はその日中に破れることになった。
母親に、真っ向からその夢を否定されたからだ。

3.否定された夢とその後

軟弱な夢だな、と、思い出している今でも思う。
実際に今、夢は何ですか?と聞かれても即答できない。
それほどに、小説家の夢は、木っ端みじんに砕かれてしまった。

母親からの意見だけでなく、僕自身もどこかで、
「ああ、無理なんだな。無理だよな。」
と思ってしまったんだと思う。

現実を見て、自分の周りにあることを見つめて、
そんないいものじゃない。
単純に、挑戦する前から諦めた。それだけ。

その後僕が周りにあることを頑張ったとか、
そんなことは一切なかった。

何の目的もなくなって、
ただ目の前の事をする、それだけの毎日、
目の前に敷かれたレール通りに進む毎日。それだけ。

それでも、どこかに未練が残った。
「母さんに否定されたからって...」という抵抗心もどこかにあって、
小説を書くことを辞めることは無かった。
かと言って、もう一度小説家になりたいと思う事もなかった。


時は流れ、少し前までの話、
僕はyoutubeをアーティスト以外にもよく見るようになった。

レペゼン地球の他にもいくつかのyoutubeをチャンネル登録して、
更新を待って、更新された動画をリピートする、

小説は小説で、時々脚本に手を出しながらも、
細々と書き続けていく、

さらに、自分の身の回りのやらなければいけないことが、
そろそろ切羽詰まってしまったという事もあり、
その周りの事に時間を割くことも多くなっていた。

夢というものを具体的に描けず、
かといってそのことを疑問にも思わない、
そしてそのことに違和感を覚えない、
そんな日々が続いていた。

4.解散ライブ、最後の動画

そして、とうとうこの日がやってきた。

解散ライブをやります、という動画が出た時、
驚くと同時に、嘘なのかな、という思いがどこかにあった。
嘘であってほしかった。

また、この後もレペゼンの動画は見られるんだろうな、と思っていた。

けれど、今日の最後の動画を観て、
DJ社長の魂の叫びにも似た動画を観て、
本当の本当に最後なんだ、と実感した。

そして、この人達は、
最初から最後まで一貫してレペゼン地球なんだ、
一つの信念を曲げずにここまで這いあがってきた人達なんだ、と思った。
心の底から、カッコいいなと思った。

動画の中でDJ社長はもう一度、夢に言及した。
夢を見る、でもそれと同じくらい鏡と現実を見る、
当たり前のようにも思えるこの言葉、
でもその言葉は僕の胸に深く、深く突き刺さった。

あの頃、40分の動画を観たころに観ていたらまた違った感想だったのだろう
今観るからこその実感を肩で確かに感じる。

それはもしかすると、レペゼン地球の動画を観てきた積み重ねで生まれた、
彼らの発する言葉の重みなのかもしれなかったし、
夢を一度完膚なきまでに叩き潰され、
その劣等感に似た負い目を持ち続けてきたからこその、
僕だからこその実感かもしれなかった

僕はもう一度、夢を見たい、そう思った。

誰しもが夢を持っている、DJ社長は言う。
けれど僕には今、夢と言えるものが無い。
目標も、希望も、何も持っていない。

認められていないわけじゃない。
僕を認めてくれるひとは周りにたくさんいるし、
僕に期待してくれている人もたくさんいる、

この数年間何も得てこなかったわけじゃない、
沢山の経験をして、たくさんの人と関わって、
そして自分自身も成長できた自負はある。

それでも、僕には夢がない。

だけど、何度か最後の動画を見返して気付いた。
やってみたいことなら、僕にもいくつかある。

夢なんて言うと壮大だし、
それを目指す、とか、そんな大それたこと...と思うけれど、
まずはやってみたいことを見据えて、
夢をその中で探しながら、
とにかく、前へ進んでいこうと思った。

とりあえず、前へ進んでみようと思えた。


なんというか、とりとめのない文章になってしまったけれど、
とりあえず、前に進んでみるよ。

ありがとう、レペゼン地球。


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