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30日間の革命

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毎日小説をアップしていき、100日間で1つの作品を作り上げます。
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30日間の革命 #毎日小説45日目

30日間の革命 #毎日小説45日目

 日常とは、何も変わらないようで確実に変化しているものである。白の会が発足してから、メンバーたちの生活も、少しずつではあるが、確実に変化していた。それは加賀のように、良い方向へ変化する場合もあるが、全員が必ず良い方向へ向かうとは限らない。

 手崎はもとより地味で目立たない存在だった。それに加えて、毎日一人で将棋を指していることで周囲からバカにされることも多かった。ただ、それくらいなら手崎も気にし

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30日間の革命 #毎日小説48日目

30日間の革命 #毎日小説48日目

 橋田は手崎とは違うクラスだったため、放課後に接触することにした。そして、授業が終わると図書室へ向かった。

 図書室に訪れると、そこには数人の生徒しかいなかった。そして、その中に手崎の姿を見つけることができた。噂通り、図書室の隅で一人将棋を指していた。

 (ほんとに一人で将棋やってんじゃん。家に帰ってからやれば、誰かに変な噂言われなくても済むのに、頭悪いのかな)

 橋田は心の中でそう思った。

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30日間の革命 #毎日小説49日目

 橋田は手崎の手を引きながら、屋上から更に上へつながる階段を進んでいった。そして、階段を上りきり外へ出ると、そこにはベンチが置いてあった。

 「なんだ、こんな場所があったんだ」

 橋田は驚いたが、ちょうど人目につかない場所だと思い、それまで引っ張て来た手崎の手を離した。手崎は相変わらず泣き続けていた。

 「ほら、もういい加減泣き止みなよ。それに、そんなに泣かせるほど私はきついこと言ってないで

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30日間の革命 #毎日小説50日目

30日間の革命 #毎日小説50日目

 橋田からストレートに「みんなに陰口を叩かれている」と言われ、再び手崎は泣きそうになった。何とくなくそうだろうなとは思っていたが、その事実が明るみに出ると、やはり傷つくものである。手崎は心が押しつぶされそうになっていた。

 「泣いちゃダメだよ」

 橋田が言った。

 「泣きたい気持ちは十分わかるよ。でも、泣いたって誰でも助けてくれないんだよ。だから、今出来ることは泣かないこと。ぐっとこらえるん

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30日間の革命 #毎日小説51日目

30日間の革命 #毎日小説51日目

 手崎は橋田の胸を借りて泣いた。今までこんなに泣いたことはなかった。誰かに嫌われたり陰口を言われることが、こんなにも悲しくて、辛くて、そして悔しいことなんだと手崎は思った。

 それから5分ほど泣き続けた。その間、橋田は無言で手崎のことを支えていた。だんだんと沈んでいく夕日が二人の影をひっそりと薄めていった。

 しばらくすると、下校を促す放送が流れた。

 「ほら、もうすぐ下校時間だよ。あんたま

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30日間の革命 #毎日小説52日目

30日間の革命 #毎日小説52日目

 この日、江藤はいつも通りバレー部の朝練に出ていた。朝の江藤は機嫌が悪い。この日の朝練では、後輩たちの連携ミスが目立ったため、特に機嫌が悪かった。練習も途中で中断し、罰として過酷な筋力トレーニングを科した。

 「やる気がないなら辞めろよ」

 江藤の怒号が体育館に響いていた。

 そして、部活が終わり部室で着替えを行うが、いつもなら雑談などでわいわいしている部室も、この日に限っては重たい沈黙に包

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30日間の革命 #毎日小説53日目

30日間の革命 #毎日小説53日目

 「お、お先に失礼します!」

 女子バレー部の部員たちは、江藤に挨拶をしながら早々に部室を後にした。橋田も、そうせざるを得なかった。部室から教室へ戻る途中、2年生の部員たちは手崎の話題でもちきりだった。

 「江藤さん、めっちゃキレてたよね。手崎って子、まじでヤバいんじゃない」

 「てか、よくあそこまで粘れたよね。私なら、帰れって言われたらすぐ帰るよ」

 「それよりも、このせいで明日から江藤

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30日間の革命 #毎日小説54日目

30日間の革命 #毎日小説54日目

 江藤は、女子バレー部のキャプテンになってから、全て自分の思い通りに物事が進んでいた。誰も逆らう者はおらず、教師ですら干渉してこない。江藤がかつて憧れた女子バレー部のキャプテンを超える存在になれたことに、江藤は満足をしていた。

 しかし、今自分自身の目の前にいる、小さくてひ弱な女子生徒は、自分の指示に「嫌です」とはっきりと答えた。江藤のプライドは、それを許すことが出来なかった。

 「お前さ、今

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30日間の革命 #毎日小説55日目

30日間の革命 #毎日小説55日目

 手崎はしばらくそのままバレー部の部室にへたり込んだ。不安や恐怖で、体を動かすことが出来なかった。そのまま、気づけば一限目を終えるチャイムが校内に鳴り響いた。それをきっかけに、手崎はようやく重い腰を上げることができた。手崎は、バレー部の部室を後にし、ふらふらとおぼつかない足取りで自分の教室へと戻っていった。

 階段に差し掛かったところで、橋田が手崎を待っていた。手崎が歩いてきたことに気づき、橋田

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30日間の革命 #毎日小説56日目

30日間の革命 #毎日小説56日目

 昨日、あんなに泣きじゃくっていて、か弱いと思っていた女の子が、こんなにも強いものを持っていたことに橋田は素直に驚いていた。だからこそ、白の会に選ばれているんだと、橋田は納得をした。

 「本当に大丈夫?」

 橋田は、最後に手崎へ確認した。

 「はい。もちろん、途中で心が折れそうになると思います。でも、自分は一人じゃないって思えるので、乗り越えられそうです」

 手崎は笑顔で答えた。

 「…

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30日間の革命 #毎日小説57日目

30日間の革命 #毎日小説57日目

 江藤は授業が終わるのを心待ちにしていた。自分に対して、生意気にも歯向かってきた手崎を徹底的に追い込もうと息を巻いていたからだった。手崎にあえて部室の鍵を託したのも、逃げられなくするためだった。もし、部室の鍵を返しに来なければ、それはそれでバレー部に迷惑をかけたという理由も加わり、より追い込むことが出来る。もし素直に返しにくれば、その時点で、女子バレー部全員を巻き込んで、手崎を追い込む算段だった。

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30日間の革命 #毎日小説58日目

30日間の革命 #毎日小説58日目

 「せっかくこっちが穏やかに話を進めようとしてるのに、何だよその態度は」

 江藤は今朝と同様に、手崎へ詰め寄った。

 「わ、私は白の会を辞めるつもりもありませんし、バレー部にも入部しません! だ、だから、部室も掃除しませんし、言いなりにもなりません! それでは失礼します!」

 手崎は、半ばやけくそのように大声で江藤へと言い返した。そして、そのままの勢いでバレー部の部室から飛び出した。

 「

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30日間の革命 #毎日小説59日目

 「おい! お前らもっとしっかり動けよ! 今朝とまったく変わってねぇじゃん!」

 体育館には、江藤の怒号が響き渡っていた。江藤は手崎に逃げられ、いつも以上に機嫌が悪くなっていた。そうなると、バレー部の後輩たちへの当たりが強くなる。江藤にとって、部活はストレスのはけ口となっていた。

 「お前ら全然ダメだよ。今からグラウンド10週走ってこい!」

 江藤は一人のミスをきっかけに練習を中断させ、1、

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30日間の革命 #毎日小説60日目

30日間の革命 #毎日小説60日目

 その日のバレー部の練習が終わったのは19:00を過ぎた頃だった。1、2年生はグラウンドを罰走として10週し、その後も腕立てや腹筋などの筋力トレーニングを課せられ結局ほとんどボールを触ることはなかった。そして、バレー部では部活終了時に終礼が行われる。終礼は、江藤の機嫌によってその長さが変わる。この日の終礼は、もちろんとんでもない長さとなった。そして、最後には手崎の話しとなった。

 「2年生に手崎

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