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管理職向けワークショップで振り返る、『Stopすべき振る舞い』と『少しの配慮と寛容さ』への気づき


CHROパートナーとして、ある日系企業の組織開発・戦略人事の施策推進をしている一環で、全管理職向けのワークショップを実施しました。きっかけは、役員の方々からいただいた「管理職向けに "1on1フィードバック" のレクチャーを実施して欲しい」というご要望でした。
 
CHRO機能として組織の中に入っているからこそ見えている特有の課題(=成長機会)を鑑み、私から役員の皆さまに、「そのレクチャー以前に、まずは、人との接し方への "気づき“ を促すことが大事では?」という提起をしました。その提起に非常に関心を持ってくださり、結果、役員の皆さまも参加対象として、ワークショップを実施することにしたのです。
 

このワークショップでは、「KISS」の観点から "Stop” と "Start” に焦点を当てることで、より効果的な双方向の気づきを促せるように工夫をしてみました。ちなみに、「KISS」とは、「Keep(上手くいっていることで、継続すべきこと)」、「Improve(改善することで、より良い効果・結果につながること)」、「Stop(すぐに止めた方が良いこと)」、「Start(すぐに取り入れた方が良いこと)」 を表します。
 
 
今回のワークショップ実施の結果、役員とHRの皆さまより、「このワークショップでの気づきを、ぜひ、色々な機会で情報展開して、多くの方々に広げてくだされば、とても有益で嬉しいです」とコメントいただいたのです。そのような双方向の関係性で、組織の変革期の伴走支援ができていることは、非常に喜ばしいことです。

そのお気持ちを受けて、守秘義務の観点で企業特有の具体的なことは控えさせていただいたうえで、ここでは、「どの組織でも当てはまるかもしれないこと」「他者と接するいかなる場面でもご参考になるかもしれないこと」という観点で、少し共有をしたいと思います。
 

まず、管理職として "Stopすべき振る舞い" について、自己開示含めたチームディスカッションです。テーブルの島ごとの発表に対して、他の島からの想いや考えもオープンにどんどん重ねていき、「その会場(=全管理職 + 役員の皆さま)全体で合意形成されたひとつの見解」にまとめていくスタイルを取りました。
 
その結果が、以下の5点です。
Excuses(言い訳から始まる)
Complaining(不満・批判的発言が多い)
Negativity(相手や物事に否定から入る)
Gossiping(他のメンバーの噂話をする)
Judging(傾聴せぬまま判断する)

 
なぜ日系企業で "英単語“になったかの背景は、「これを『行動変容』につなげないと!」という強い想いから始まりました。ふとひらめき、それぞれを英単語に置き換えたうえで、「頭文字の "E・Co・N・G・J” で、"え、これ、NGじゃん!” って記憶し、常に自問していくのはどうでしょう??」って、皆さんに提示したのです。咄嗟の私の無理くりな提示にもかかわらず、皆さまに好評で 笑。
 

話を戻すと、これらは、"管理職としての信頼を自ら損ねている行動" であることに間違いありません。また、これらが継続されると、組織風土にも悪影響を及ぼす可能性が高まるでしょう。もっと言えば、日常のいかなる場面でも、"周りから人が離れていく可能性を高める振る舞い" とも言えるでしょう。
 
その後のセッションでは、この『ECoNGJ(え、これ、NGじゃん!)』を深堀して、自己開示を含めた議論をさらに続けることで、『気づき』から『行動変容』へと促すプロセスを取ってくださったのです。そのうえで、次に、管理職として "Startすべき行動" の議論に移り、新たな行動のアイデアを出し合ったのです。
 
このワークショップを通じて、皆さんが自身の行動を客観的に振り返り、"Stopすべき行動" を見つめ直し、"Startすべき行動" を明日から取り入れることで、より良いチーム環境を築くための具体的なアクションプランを立てるところまで進みました。私は今後、伴走しながら継続モニタリングをして、元々のご依頼である「1on1フィードバック」のレクチャーを皮切りに、「対話」をベースにした風土醸成支援もしていく運びです。


ところで、これらの "Stop行動" って、そんな難易度が高いことでしょうか?

組織の中においても、日常生活においても、"世代や価値観などが異なる他者" と接するうえで、個々が『ちょっとした配慮』と『寛容さ』を意識するだけでも、周囲からは軽減されていくのではないでしょうか。

"同質" ではなく "異なる" からこそ、感情が生まれ、学びや刺激があり、新しい発想やイノベーションが創造され、個も組織も生きていくのではないでしょうか。

今回の事例を参考のひとつに、"Stop行動" と "Start行動" をリフレクションし、そこからのちょっとした行動の積み重ねを心掛けてみてはいかがでしょうか。それが、"自身" と "周囲の大切な方々" の『人生を豊かにする』きっかけにつながることになれば、とても素適なことだと思うのです。

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人事の仕事

外資系17年(HRトップ 7年)とプライム市場上場企業 Global CHRO(最高人事責任者)経験の私が「誰もが独自性を強みとして持ち、新しい無限の可能性を秘めている」を自身のコーチング哲学に、2023年3月 起業をしました。サポートくださる方々と一緒に日本を元気にしたいです!