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かをりのよろこび

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日本の伝統的な香りについていろいろコラムを書いています。
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#日本の伝統文化

お正月の香りと香りの語彙力

お正月の香りと香りの語彙力

あけましておめでとうございます。
今年も香りと古典の話をしていきたいと思います。
人間の嗅覚というのは、もともととても軽視されていました。というのは、ギリシアの哲学者がいうように、「ほかの感覚(味覚や聴覚、視覚、触覚)よりも原始的」と思われていたからなのかもしれません。
じじつ、動物は(人間ももちろん含めて)脳より先に鼻の器官が出来上がるので、確かに原始的ではあるのでした。

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アロマとお香~クリスマス・三賢人の贈り物~

アロマとお香~クリスマス・三賢人の贈り物~

サンタクロースは来ましたでしょうか。
我が家では小学生までの子どもにはサンタがやってくることになっています。そのためにはサンタさんに手紙を書く必要があります。
悩みに悩む次男。そろそろサンタさんに出さないと届かないから!!と焦る親。
焦る親。(発注が、配達が・・・!!)
2日前ようやく手紙を書き上げる次男。
贈る前に見せてもらったら、漢字クイズがついていた。いいクイズが出来上がり、満足する次男。

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私が香道を学ぶ理由

私が香道を学ぶ理由

「ねえ、香道ってどんなことをしているの?」
1カ月のあいだ2週間は上海で、2週間は日本で生活しながら仕事をしている夫は2020年の早春、旧正月での帰国から1年以上上海に行けなくなりました。そこで、ふと長年連れ添っているこの人、毎日何しているのだろう?ああ、そうそう「香道」だっけ?でも香道って何だろう?と思ったのだそうだ。ちょっと失礼な話です。
とはいえ、言われた私もうーん、なんて説明すればいいのか

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行きて帰りし物語

行きて帰りし物語

子どもが久しぶりに『かいじゅうたちのいるところ』を本棚から持ってきて熟読していました。この作品はモーリス・センダックによる絵本で、絵本のアカデミー賞といわれるコールデコット賞を受賞している作品です。主人公のマックスはおおかみの着ぐるみを着て、やらかしたいたずらのせいで夕食抜きで部屋に閉じ込められてしまいます。すると、不思議なことに部屋から木がにょきにょき生えてきて、ジャングルになってしまいました!

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ツーブロックとばさら大名

ツーブロックとばさら大名

「これって、ツーブロックだよね」
帰宅したムスコ氏が言いました。ツーブロックとは男子のヘアスタイルで、一般に頭部の耳より上を残して下を刈り上げるスタイルのことです。一般紙などでもブラック校則のひとつとして話題になっていたことがある、あのツーブロックです。整容検査では男子の頭髪は耳にかかるといけないという校則があるそうで、ずぼらで面倒くさがり屋のムスコ氏は、まったくだらけた感じのもっさり頭だったわけ

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憧れのあのひとは何色の香りですか

憧れのあのひとは何色の香りですか

「こんなおとなになりたい」という憧れをもって成長することができるのは幸せです。

2020年、小学生が選ぶ憧れの人物ランキングでは1位が『鬼滅の刃』の竈門炭次郎でした。ちなみに3位が胡蝶しのぶで10位までのなかに7人が入るという『鬼滅の刃』の独占具合でした。
『鬼滅の刃』は主人公が鬼になってしまった妹を助けるために鬼と戦う姿を描いた作品です。主人公の竈門炭次郎は緑と黒の市松模様着物を着て戦い、妹の

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日本初の推し活

日本初の推し活

「源氏物語が読みたい」と1000年前に等身大の薬師仏を作らせて、一日中一心不乱に祈っていた女の子がいます。菅原孝標娘です。

沼にはまった女の子父親の仕事の都合により東国で暮らすことになった菅原孝標娘さんは、義母から聞く宮仕えのキラキラした話、とりわけ当時大人気だった『源氏物語』の話を聞いて即のめりこみました。日本史上初の沼にはまった、という人で有名です。寝ても覚めても源氏物語のことばかり。当時は

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さざれ石の香りが忘れられないとそのひとは言った

さざれ石の香りが忘れられないとそのひとは言った

「さざれ石の香りが忘れられない」と初めて香を聞いた男性は言いました。
パリのとある美術館にしつらえられた香席でのことです。私たちはここで香道をするために招かれて来ていました。ちなみにさざれ石というのは当日行われた渚香、という組香で使用した香木の銘(名前)のことです。

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かをりはドラえもんである理由

かをりはドラえもんである理由

香道をご存じでしょうか。一応、日本三大芸道(茶道、華道、香道)と言われていますがひとつだけ中身をほとんどだれにも知られていない芸道、それが香道です。お香なんて言ったりもします。

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